ホンジュラスのコーヒーとスモークチーズをあわせる
休日出勤の休憩タイムに、職場近くの「珈ノ介コーヒ」を訪れた。大通りの堀川通から一筋西に入った静かな場所にあるカフェだ。
京都・西陣の喫茶店文化
マスターによると、織物産業(このあたりでは「糸へん」という)が盛んだった頃、喫茶店は旦那衆が打ち合わせしたりするのに都合がよかった。だから、西陣に喫茶店が多いのだという。この店の場所はその前もそのさらに前も喫茶店だったそうだ。
似た話を愛知県一宮市にある織物工場の訪問時に聞いたことがある。そこではションヘルと呼ばれるクラシックな織機を使っていた。その稼働音で会話ができないため、工場の外で打ち合わせをする必要があった。愛知・岐阜の喫茶店文化はこうやって発達したとのことだった。
京都と名古屋の喫茶店文化は、だいぶ違ったものだけれども、発祥が似通っている。おもしろい。
お茶請けにスモークチーズ
この日のシングル・オリジンのコーヒーはブラジルとホンジュラスだった。ふと、若い頃の中南米エクストリーム・バス旅行のことが心に浮かんで、ホンジュラスを注文した。
飲んでみる。よく焙煎された感じがする味わいで、コクがある。鋭くて軽やかで、それでいて、くっきりとした酸味と、まっすぐな焙煎香が直つして向き合っている。そして切れはよい。後口にレモンティーのような酸味と苦味、加えて豊かな焙煎の香り。少し冷めると、コクが盛り上がり酸味も際立つ。余韻の焙煎香もさらにくっきりする。
コーヒーにはスモーク・チーズが添えられる。マスターによると、コーヒーとミルクが合うように同じ乳製品のチーズも合う。スモークしたのは、コーヒーの焙煎の香りと合わせるためだという。
早速合わせてみると、スモーク・チーズのうま味とミルキーさがコーヒーによって引き立てられると同時に、コーヒーがさらりとしてきた。たしかに合う! 後味にある焙煎香とほのかな燻製香と、チーズの乳っぽさがよかった。
2021年7月 珈ノ介コーヒ(京都・西陣)にて
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