「艦これ」をよく知らない人間が見た、「艦これ」佐世保本遠征イベント
西の国からおはよう、こんにちは、こんばんは。
誕生日である七夕に天の川を見た記憶が全くないうみみちです。今年も曇りというか雨が降ってました。梅雨だからしょうがない。けど辛いです。
さて夏と言えば、フェスや祭りといった盛り上がるイベントの季節です。
そりゃ熱中症等の病気にも気をつけないといけませんし、大雨や猛暑等の異常気象だって気がかりなわけですが、楽しいことも沢山あるんですから精一杯満喫したいですよ、この夏を。
という訳で、今回はそんな「盛り上がるイベント」に因んだ話題を1つ。
前置き
軍港佐世保と忍び寄る影
さて、私の住む長崎というのは、何というか多民族かつ多文化な国家のように、文化風習、自然環境等が様々で面白い地域ではないかと思います。
とりわけその中でも「佐世保」というのは、名物の「佐世保バーガー」や盛んに演奏されるジャズ音楽等に見られるように、日本文化と欧米文化が混淆した独自の文化を醸成してきた、長崎でも異質な文化を持つ地域です。
これは明治時代以降に軍港として急速に発展し、戦後も米軍や海上自衛隊の基地が置かれている国防上の要衝として栄えてきた地域構造が大きな要因でしょう。その中にはもしかしたら、佐世保の地域性として「新しいもの好き」といった、新しいものや文化を受容する寛容さがあったりするのかもしれません。
そんな不思議の国な佐世保の街も、実は年々人口が減少し少子高齢化も進みつつあります。世知原や鹿町等の平成以降に合併された地域なんて顕著ですが、市街地中心部も他人事と言いにくくなってきています。主幹産業だった造船業の衰退(特に佐世保の経済を引っ張ってきたSSKの現状は厳しい・・・)をはじめとした県内産業の衰退、物価の高さに反して低い賃金水準など、考えられる理由を挙げ出すといつまで経っても本題に入れませんし、そんな重苦しい話をしたいわけではないのでここで考えるのをやめておきますが。
・・・・・・とまあ、他地域の話に漏れず厳しい状況にあるのがこの佐世保であり長崎県なのです。
「長崎県は観光で訪れるには良いが、住むとなれば話は別だ」
と冗談か本気か分からない話を偶に聞くので、長崎への観光目的での来訪における魅力度とUターンIターンの魅力度は大きな差がありそうです。
そういう厳しい状況にあるため、佐世保でも地域活性化策が検討されてきたのですが、その中の1つとして出たのが、この「艦隊これくしょん」とのコラボだったわけです。
佐世保と「艦これ」 はじまり
まず、そもそも「艦これ」こと「艦隊これくしょん」とは何か。
基本的な事項を素人のうろ覚えで書くのですが、かつての艦船(日本に限らず海外まで)をモチーフとしたキャラクター「艦娘(かんむす)」たちが、敵と戦闘して勝利を目指すという戦略シミュレーションゲームになるようです。このゲームのプレイヤーは「提督」と呼ばれ、そしてこのゲームは元々同人サークルだった「C2プレパラート(C2機関)」等が開発・運営している・・・といった認識で良いのでしょうか。
一方、佐世保も鎮守府の置かれた街らしく「艦これ」の舞台としてずっと登場しており、「艦これ」にとって佐世保は縁の深い地域だったと言えます。そんな「艦これ」が、現実の佐世保の街と初めてコラボしたのが2018年のことになります。
2018年3月の『佐世保鎮守府巡り』と呼ばれるこの企画は、C2機関と佐世保の地元経済界関係者などで構成された地方創生プロジェクトチームとの協力により実現。市内でのスタンプラリーの他、一部飲食店でのコラボメニューや立て看板設置といった内容のイベントが2日間に亘り行われました。また、佐世保を走る西肥バスも、高速バスの車内で艦娘による車内放送を流していました。
話によれば、イベントが開催された当初は来訪者数は3,000人を見込んでいたようですが、蓋を開けてみれば初日でその2倍の6,000人近くも来訪していたとのこと。2日間で3,000人が1日で大幅に超えてくると言う、C2機関にとっても地方創生PTにとっても嬉しい誤算だったようです。
この時の成功が、佐世保の地方創生において、所謂「聖地巡礼」観光モデルの可能性や期待値を大幅に上げたといっても過言ではないかもしれません。
そして、1年後の2019年。佐世保鎮守府が開庁130周年を迎えた記念すべき年だったこの年、再びC2機関と佐世保地方創生PTが協力して始まった『佐世保鎮守府開庁130周年』イベント。
スタンプラリーや飲食店コラボに加えて、アルカス佐世保等でのC2機関主催のライブイベント、西肥バスによる「艦これ」フルラッピングバスの運行(1年くらい走っていた記憶がある)、ローソン一部店舗とのコラボ、JALによる“提督”向け専用プランの設定等と、前年以上のボリュームに「おいおい、エンジンフルスロットルどころかオーバーヒートもんだよ、こりゃ」と期待と不安と驚きとが内心交錯していました。いくら前年あれだけ盛り上がったからと言って・・・・・・心配する声も多かったのかもしれません。
しかし、始めてみればこの杞憂は瞬く間に払拭されたもので。「街を歩けば提督に当たる」と言わんばかりに、街中に溢れる“提督”の皆さん。嬉々とした表情を浮かべながら、「次どこ行くか」「あ、ここいいんじゃない?」等と胸を躍らせ街を歩く姿が印象的だったものです。最終的には数万人規模の来訪者数を記録したとの話もあり、佐世保の街に与えた経済効果の大きさは計り知れないものがあります。
また、街の人に話を聞いてみると「最初は何事かと思っていたけれど、礼儀正しいし話してみると楽しい」等と、“提督”の皆さんに対する好印象ぶりを話す声も多く見られました。全力で、五感で、好きなものを楽しむ・・・・・・提督さんたちの活き活きとした姿が、街の人にも元気を与えていたようです。
この2019年のイベントに関して、佐世保に校舎を置く長崎県立大学の教員が論文を発表しています。一長一短分かりやすくまとめられた内容だけに、読み応えがあるかと思いますので、ぜひ。
(論文については、こちらをクリック)
と、まあ佐世保×艦これの動きって実は5年前から盛り上がっていたんだよという簡単な概略を書いてみました。何も2023年に突発的に始まって、急に盛り上がったわけではなく、何年も前から醸成されてきたC2機関と佐世保、C2機関と提督、提督と佐世保の関係があってこそだったということです。
しかしながら、そんな健全かつ強固に築かれてきた関係にも“あの試練”は例外なく降りかかってきたのです。
佐世保と「艦これ」 試練を超えて
皆さんご存じのあのウイルス。2020年以降、世界に本格的な流行をもたらし続けているあのウイルスは、当然佐世保の街にも流行をもたらしています。
大規模なイベントを自粛する風潮は、次第に人々の精神までをも蝕んでいき・・・・・・なんてクサい言い回しで語るのも変な話ですが、本当にあの頃って何もかも元気が無くなって、希望を無理やりでも引き出そうとする空元気が却ってきつく感じることもあったように思います。「見えない恐怖との闘い」のために、己の好奇心やら何やらを犠牲にしてきて疲れていたんですね。
そんな肉体的にも精神的にも疲弊していた時、“彼女”は突然佐世保バスセンターに現れたのでした。2021年2月末の佐世保バスセンターに現れた彼女の名前は「さい」・・・・・・「西肥バスの“さい”ちゃん」です(上画像真ん中の立て看板の女の子)
西肥バスの塗装をモチーフとしたワンピースやリボン、靴下に、お淑やかに笑みを浮かべる可憐な少女――実に、完成度の高いキャラデザインです。
一目見て「推すしかないだろう、可愛い」と思って今に至ります。その内、私が感じたこの子の魅力とかを別途記事にして書けたら良いんですが、如何せん未だに公式設定が定まっていないのか情報が少ないのです。それが惜しいぞ西肥バス。
――さ、話が逸れる前に(というか本題にも入ってないですけど)
結果的に2021年は大きなイベントの実施は無かったとは言え、この子の登場には何かしらの期待を感じずにはいられませんでした。またあの賑やかな、お祭り騒ぎのような数日間が来てくれることを。しかし、待てど暮らせど話は出てこず、西肥の“さい”ちゃんも動きが見られず・・・・・・。状況が状況故に仕方ないとは思いますが、やっぱり寂しいものがありました。
「もうあんな盛り上がるようなイベントは出来ないのか――」
そう思われていたであろう矢先のこと。
なんと、今年2月になって「今月中に佐世保でイベントやるよ」と公式が発表したではないか!急すぎるにも程がある!
この頃、「艦これ」ではアニメ『「艦これ」いつかあの海へ』が休止を挟みながら放映され、その舞台として佐世保も登場していた。4話に至っては、西肥バス及び西肥バスの常務執行役員 運行本部長がエンドロールにクレジットされる等、「艦これ×佐世保」が盛り上がっていた時期です。
およそ3年半の期間を経て、「艦これ」は佐世保に帰ってきてくれたのでした。
あくまで「プレイベント」としての開催だった、2月の『先行偵察遠征』
とはいえ、物販やステージイベント、ラッピングバス運行等も行われており「これで“プレ”なんですか?」と首を傾ぐ程の勢いがあったのは事実。本イベントではないにしろ、あの2018年や2019年の賑わいが帰ってきたような懐かしさがそこにはありました。冬の寒さをも打ち消すような熱気は、この時いつ開催されるかも分からない「本遠征」への期待へと変わっていくのでした。
以上、ここまでが前置き。
長いね、私の話は実に長い。ですが、これらイベントの成果や課題は、こんな場末のnoteで語り尽くせるほど浅いものではないと思います。様々な人の意図や思惑の交差の果てに、地方創生の方向性として1つの答えを多くの人へ提示した好事例として、視察や検証研究もなされていると聞きます。それだけ多くの人を動かしているのだから、あっさり語れるはずもないのです。
・・・・・・と、長話の言い訳をした所で本編に行きましょうか。
「艦これ」本遠征イベント2023の概要
「艦これ」再び佐世保に投錨す
2月に行われた『先行偵察遠征』もまた、多くの関係者の努力により目立ったトラブルなども起きず、街の人からも“提督”からも「楽しかった」との声が聞こえる等、円満な形で幕を閉ざしました。
その熱気が冷めぬ中で1つの疑問が浮かび上がります。
「本イベント(本遠征)っていつやるのか?」
です。プレイベントの状況を鑑みての判断になるだろうとは想像に難くないとはいえ、その判断が下されるのがどのくらい先の話になるのか、そもそもこの社会情勢下で開催できるのか等と心配する風潮もありました。良い実績があっても必ずしもイベントが開催できるとは限らない、世知辛いにも限度があるだろう!と言いたくなるようなこの世の中。募る心配をよそに月日は流れていったのでした。
そのような日々が続いたある日のこと。C2機関はまたもやってくれました。
「ら、ら、来月前半!?」
両ツイートが投稿されたのが5月中旬。開催までの猶予は、残り1ヶ月あるかないかぐらい。2月の先行偵察遠征の告知よりはマシとはいえ、まさかこのタイミングになって公式発表があるとは!と、話を聞いたときには目を丸くしたものです。
2月のプレイベントから半年足らずの開催という早い決断。嬉しく思ったと同時に、発表から開催までの期間がそう長くないのもあって、果してどれだけの“提督”が足を運んでくれるのかと不安もありました。出迎える側の佐世保の人々の中にも、出迎える準備が間に合うかどうかといった不安もあったようです。
そんな喜びと不安の入り混じる中、「艦これ」佐世保本遠征イベント(正式には:C2機関佐世保本遠征「艦これ」公式コラボ【Operation SASEBO Expedetion 2023】)は幕を開けたのでした。
西肥バス、提督のため動きます
今回の「艦これ」コラボにおいても「何かやってくれるだろう」と一部の提督らの間で期待されていたのが、長崎県北の公共交通の雄『西肥バス』です。C2機関からイベント開催告知が出て以降、そわそわとしながらその動きを注視していた人も多いはず。かくいう私もその1人で。
そして、イベント開始数日前の6月5日、西肥バスから発表がありました。
おいおいおい、何かあるだろうと思っていたら、今回も盛りだくさんじゃないの!どうしてくれようか!(褒め言葉)
フルラッピングバスの運行に車内放送、特別デザイン版1日乗車券にアクリルカレンダーと、バスでもグッズでも力を入れてくださいました!2018年のイベントから何かと関わってきた西肥バス、今回も期待を裏切らない展開ぶりに喜びを感じた方も多かったのではないでしょうか。
ラッピングバスは運行予定を公式サイトで現在も公開中。基本的に固定運用なのですが、偶に整備等で運用から外れている場合もある様子。撮影する際は運行予定を見てから撮りに行った方が無難でしょうね。
車内放送はイベント期間限定の特別仕様。“さい”ちゃんがFacebookで語った内容曰く、時雨等の艦娘たちの他に“さい”ちゃんも少しだけお話ししていたらしく。生憎バスに乗る機会のなかった私は聞けずじまいでした。
(以下、少し余談)
というか、“さい”ちゃん。何気に君は新立ち絵を公開してきましたね。前よりも幼気な可愛らしい雰囲気で、背負ってる鞄には西肥の社章が描かれたキーホルダーが付いていて・・・・・・全く、最高ですよ。(余談終了)
さて、1日乗車券やアクリルカレンダーは、イベント期間中の3日間は凱旋記念館前の特設ブースで販売されてました。
まず乗車券は1枚1000円、6月10日分の青券と6月11日分の赤券の2種類が販売され、各種類2枚ずつまで購入できました。各日1枚ずつの2枚購入やどちらかを1枚購入といった感じの人が多かったと思いますが、中には先述の最大購入可能枚数で購入する方もいましたね。実用と保管用でしょう。「使うか使わないかは貴方次第です」なので、売る側からしたら買ってくれるだけでも嬉しいという感じなのかもしれませんが。ただ、まあ売る側も売る側で「夏服(冬服)の時雨ちゃん」と呼びかけながら売っていた記憶があります。売る側も買う側も楽しそうで何より。
そして、アクリルカレンダー。カレンダーのパネルを月跨ぎの都度動かすことで、半永久的に使用できる仕様の万年カレンダーなのが特徴。1つ2500円で1人2つまで購入可能でした。実際買ってみて使ってますが、思ったよりもコンパクトで使い勝手が良いです。可愛らしいデザインと実用性を兼ね備えたお得なカレンダーで、評判も良い感じです。こちらはイベント終了後の今も、九州銘菓オンラインショップや九州銘菓売店(島瀬除く)で販売中とのこと。在庫無くなり次第販売終了とのことで、買うならお早めに。
ようこそ提督、おかえり提督
前項で西肥バスの取り組みについて紹介しました。
では次に、佐世保の街の対応を見ていきましょう。西肥バスが『提督たちを佐世保へ運ぶ』役割を務めたのに対し、佐世保の街は『やってきた提督達をおもてなしする』役割を務めたという感じで、街の至る所に提督達を歓迎するような看板や貼り紙等が見られました。
そして、何と言っても飲食店コラボ。今回の公式コラボは13店舗にもなり、初参加の店舗も複数あった様子。
その中でも個人的に印象的だったのは「マルハラーメン」さん。コラボ店の中では、比較的夜遅い時間帯まで営業していたこともあって、後述するステージイベントが終了した後の夕食及び夜食目的で来店する“提督”さんで大混雑。上にある画像がまさにその様子で、夜10時頃の撮影だったかと思いますが、それでもズラリと長蛇の列が出来ていまして、近くを通りかかる人が我が目を疑うような素振りを見せながら通過している様子も見かけました。尤も、私も最初見た時は一瞬何が起こったのか理解出来ませんでしたが。
他のコラボ店でも、普段中々起きないような混雑が発生し品切れなどのトラブルもあったようですが、この3日間を概ね好意的に述懐されているようでした。イベント終了後も一部店舗ではコラボを継続しているようで、今でも立て看板が設置されて、“提督”を歓迎している店舗の姿も見られます。
その他、させぼ五番街の一部店舗など佐世保市街地の一部対象店舗では、3900円以上の買物をされた人を対象に「艦これ」コラボショッピングバッグが進呈されるというサービスもありました。中々うまいこと考えられたビジネスです。“提督”にとっては、佐世保土産となるような商品を沢山買えば特別なグッズが手に入るし、売り手としては商品が沢山売れる分売上が入るわけで、両者にとってwin-winな企画でした。
実際に街の中を歩いていると、このショッピングバッグを手に提げた“提督”の姿を多数見かけてます。沢山の商品の詰まったバッグを片手に、次はどのお店に行こうか等と話し合い思案する姿は『今この時を全力で楽しみたい』提督達の活き活きとした情熱そのものでした。
走れ!躍れ!盛り上がれ提督!
この「艦これ」本遠征イベントのメインといえば、「スタンプラリー」と「ステージイベント」の2つになるでしょう。
市内数ヶ所(今回は7ヶ所だったか?)にブースを設置し、全ブースでスタンプを押すと特別景品が貰えるという恒例となっている企画。今回も開催されまして、提督は各々市内を歩き回ったり、購入した1日乗車券を活用してバスに乗ったりしながらスタンプを押して回ってました。私も参加してみようかと思いましたが、すぐに台紙が売り切れたりして、結局参加は断念・・・・・・。次があれば参加したいものです。
それにしても、提督さんはすごいもので。スタンプラリーをしながら公式コラボ店で飲食したり買物したり、中にはステージイベントの昼の部に参加したりと、複数の企画を掛け持ちしながらスタンプを押して回っていた方もいらっしゃったらしく――。底知れぬバイタリティーには驚きを隠せません。
さて、最後に書くのはステージイベントの話。ここでいう「ステージイベント」というのは、アルカス佐世保にて6月9日に開催された「前夜祭」と、6月10日の昼と夜に開催された「Special Stage」の他、佐世保駅みなと口前の公園で開催された「艦娘音頭」です。
「艦娘音頭」は、その名の通り艦娘の声優さんがステージに立って「艦娘音頭」を躍るというもの・・・・・・ですが、今回はゲストでプロスケーターの無良崇人さんも『提督』役で登場。会場は当然大盛り上がり。提督からの熱いラブコールにも爽やかに答える無良さんの姿が印象的でした。
また、この「艦娘音頭」では海上自衛隊の音楽隊もゲストで登場。「艦これ」のアニメやゲームの音楽の演奏で会場を盛り上げていました。アニメ「『艦これ』いつかあの海へ」のOP曲「時雨」や、アニメ「艦隊これくしょん ー艦これー」のED曲「吹雪」はボーカル付きでの演奏でしたが、特に後者は歌っていた女性の隊員さんが途中で台詞パートを挟んだり主砲を付けた際には大盛り上がり。何でも主砲は自衛隊の方の手作りらしく、自衛隊の「艦これ」への愛に提督さん達は喜びを隠せないといった感じでした。
そして、「前夜祭」と「SpecialStage」ですが、私は機会がありまして「前夜祭」と「SpecialStage 夜戦(昼の部・夜の部をそれぞれ昼戦・夜戦と呼んだ)」の2ステージを観覧することが出来ました。
昼戦は観覧していないので推測になってしまうのですが、これらステージの構成としては、1MYB(C2機関公式のガールズバンド)さんや艦娘声優さんによるライブ演奏ステージ、艦娘声優さんによるステージトーク、スペシャルゲスト(来賓・・・前夜祭は西肥バスの常務執行役員運行本部長、夜戦は地方創生PT「艦これ」委員会委員長)による挨拶、艦娘声優さんやゲストさんによるミュージカルステージといった感じですね。あと、終わってからのアンコール演奏やC2機関からの告知もありまして、フルで1時間30分~2時間ほどのステージになってました。最初から最後まで大盛り上がりで、「艦これ」をよく知らない私や同席した知人でも楽しめる内容でした。
ゲストに声優の島津冴子さんや俳優の京本政樹さん、スケーターの無良崇人さんや伊藤みどりさんが来てた辺りに、改めて「艦これ」というコンテンツの影響力の大きさを感じました。どういう縁によるのかは、私はよく存じなかったのですが、ただ豪華なゲストを生で見られて興奮してたので、そう言う話は気にはならなかったのですが。
さて、
・1MYBの演奏で盛り上がる→分かる
・声優さんのトークや歌で盛り上がる→分かる
・ミュージカルステージで盛り上がる→分かる
・ゲームなどの告知で盛り上がる→まあ分かる(ただ提督ではないので、どれ程のビッグニュースなのかは分かりかねますが)
ここまでは分かるとして、
・スペシャルゲスト(来賓)の挨拶で盛り上がる→?!
吃驚しました。登壇から降壇まで、話をしているときも、提督さん達は「おお~!?」とか「わあぁ~!」とか歓声を上げて盛り上がってました。ライブ演奏でも声優さんのゆるかわトークでも無いのに、特別なパフォーマンスがあったわけでも無いのに、・・・・・・何故あんなに盛り上がったのか。で、話す側も話す側で、提督さん達の熱いコールに応えている様子が窺えました。互いの愛の深さが、如実に表れた結果――なのでしょうね、恐らく。
本遠征イベントを肌で感じて
思えば、この本遠征イベントの行われた3日間というのは、あっという間に過ぎていったような気がします。「え!?そんなすぐにやるの!?」と驚いていたら、気がつくとイベント開始数日前で、いざ始まってしまえば、色々と街中で興味深いなと思って見ている内にすぐ終わってしまった――夢のようなというと大袈裟なのかもしれませんが、楽しい事ってあっという間に過ぎるように感じるものだと改めて痛感した次第です。いや~、この負の錯覚に何かこう名前を付けたいですね(というか名前って無いのでしょうか)
タイトルにもある通り、私自身「艦これ」自体はよく知りません。名前は聞いたことあるし、大まかにどんなコンテンツなのかも頭に浮かびはします。が、ゲームはやったことがないですし、多数いる艦娘の名前もあまり分かりません。横文字に弱い人間故に、海外の戦艦モチーフの艦娘となればなおさら。ゲームの世界観というのも、大まかに理解したふりをしてるだけでもしかしたら殆ど理解出来てないのかも分かりません。その程度のど素人です。申し訳ありません。
しかし、そんな私でもこのイベントは心の底から楽しめました。
ステージイベント――特にライブやミュージカルは、ワクワクするような演出や音楽ばかりで「次、どんな感じになるのかな」と終始胸を躍らせていたような感覚を覚えています。力強いサウンドに心を揺さぶられ、ドキドキさせるような世界観の展開に目を輝かせて・・・・・・ずっと釘付けになってました。終わってしまう瞬間がとても寂しかったです。
ステージイベント以外でも、街を歩けば楽しそうに歩き回る提督達の姿をずっと見かけました。「艦これ」のシャツを着たり法被を着たり、沢山のグッズを抱えていたり、佐世保の美味しいグルメに舌鼓を打ったり、・・・・・・「艦これ」や「佐世保の街」を全力で楽しむ姿には、一住民として私自身とても嬉しく思いましたし、何なら元気を貰えたと思っています。皆様、ありがとうございました。
3日間このイベントを見続けてきて、このイベントが何故面白いと感じられたのか、そもそもこのイベントの魅力とは何かを、「艦これ」ど素人の自分なりに考えていました。
このイベントの魅力・・・・・・その本質たるものというのは、主催側と参加する側の一体感でしょうか。
主催する側であるC2機関や佐世保の企業や組織等は、あの手この手で提督達を楽しませようと一生懸命駆けずり回り、参加する側の提督等はそれらを余すこと無く楽しもうと駆けずり回ります。主催側は自分たちが提供するコンテンツやサービスを思いっきり楽しんでくれる人を好ましく思い、一方で参加する提督側も提供されるコンテンツやサービスに興味関心を持って『楽しさ』を見つけ出し、その『楽しさ』を全身で享受して心体を養ったり快楽を得る。ここに互いの需要と供給の合致が発生して、一大ムーブメントとして盛り上がったのが、今回のイベントをはじめとした、佐世保における「艦これ」イベントの事例だったのかなと思うのです。
この互いに良好な関係を築き上げることで、主催側の中では「またこういうことをしてみたい!」と、このような大規模イベントに対し好意的な感情が芽生え、参加側の中では「また佐世保に来たい!」と地域に対して好意的な印象が芽生えるようになります。その芽生えた小さな芽を、少しずつ大切に育て上げていっているのも、佐世保における「艦これ」イベントの事例の良い点ではないかと思います。主催側における、西肥バスの“さい”ちゃんや一部店舗でのコラボ継続なんていうのは、その感情が如実に表れた例ですね。参加側で言えば、あくまで噂話ですが、佐世保への移住のきっかけが「艦これ」だった方もいらっしゃるという話を聞いたことがあります。
また、その一体感の中に私のような素人――“新規”を拒むような雰囲気が殆ど無かったのも良かった気がします。実際、新規だろうが玄人だろうが関係無く一緒に楽しもうぜ!という雰囲気が感じられまして、「佐世保観光に来たら面白そうなことやってる」と思ってきたであろう観光客や、地元住民のおばちゃんらしき人もグッズを買ったりスタンプラリーに興じたりしてる姿を見ました。それが「艦これ」コンテンツに対しあまり知見が無い私のような人間にも『楽しさ』を感じることができた理由なのかもしれません。
この心地よい一体感の輪が広がっていけば良いですね。
「艦これ」のために、佐世保のために。
おわりに
今回のイベントを通じて「自分の“好き”を全力で楽しむこと」の良さを強く感じました。「好きを全力で楽しむこと」は楽しんでいる自分は勿論、周りの人間も楽しく元気にさせることがありますから。
とはいえ、それはあくまでマナーやモラル、リテラシーを守った上での話ですよ。今回のイベントでは販売されたグッズの転売が横行しているのを確認していますし、佐世保バスセンター周辺でのバス撮影に際しては「センター構内への立入」等の危険行為も見かけてますから、そういったことを減らしていくことが今後の課題でしょうか。特に後者なんていうのは交通事故にも繋がりかねず、安全第一を標榜する運輸事業者にとっては気分の良いものではないですしね。
自分の気持ちに素直になって、自分の“好き”が何かを理解して、それを全力で楽しめる人間になろう。
――そう思いながら、明日も明後日も楽しく過ごしていけたら良いですね。