単元計画の作り方
授業を行う前に「単元計画」を作成していますか?
子どもたちに資質能力(「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」)が育成されるようにするためには、単元の内容や時間のまとまりを見通しながら、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を行うこと、「指導と評価の一体化」を実現することが重要であると言われています。
単元の内容や時間のまとまりを見通すために、単元計画を作成します。また、単元計画の中で指導と評価の計画を作成することが「指導と評価の一体化」の実現につながります。
つまり、単元計画を行って授業を行うことが大切なのです!
私が提案する「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善については、また別の記事でお伝えします。
ここでは、単元計画の作り方についてお伝えしたいと思います。🐢
◆単元計画作成の手順◆
①単元の目標を設定する
基本は、「学習指導要領の目標や内容、学習指導要領解説を踏まえて設定する。」ですが、学習指導要領って読む気になりませんよね・・・。なので、私は、教師用教科書(朱書き)を見ます。どの教科も単元の初めのページに、単元の目標(ねらい)が載っているかと思います。【知識及び技能】【思考力・判断力・表現力等】は、その部分を丸写しします!(文末は「〜できる。」と示す。)児童の実態や前単元までの学習状況等を踏まえて少し変更しても大丈夫です。
※【主体的に学習に取り組む態度】については後ほど。
上記の内容を踏まえて単元の目標をまとめるとこんな感じになります。
②単元の評価規準を作成する
【知識・技能】
・目標の文末を「〜できる。」から、「〜している。」に変える。
【思考・判断・表現】
・目標の文末を「〜できる。」から、「〜している。」に変える。
・国語科の場合、指導事項の冒頭に、指導する一領域を「(領域名)において」を付け足す。
【主体的に学習に取り組む態度】
目標の時点では、「主体的に学習に取り組む態度」ではなく、「学びに向かう力、人間性等」です。また、具体的な指導事項は示されていません。そのため、当該学年目標(3)等を参考にして作成します。
上記の内容(赤枠の中)を踏まえた上で、当該単元で育成する資質・能力と言語活動に応じて作成します。
具体的には、
①【知識及び技能】を獲得した り、【思考力・判断力・表現力等】を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面
と
②【知識及び技能】を獲得した り、【思考力・判断力・表現力等】を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面の双方を適切に評価しないといけません。
そのため、【知識及び技能】【思考力・判断力・表現力等】の2観点において、特に、粘り強さを発揮してほしい内容と、当該単元で、自らの学習調整が必要となる具体的な言語活動を考えて授業を構想し、評価規準を設定することが大切です。
・「粘り強さ」に関わる言葉『積極的に、進んで、粘り強く』
・「自らの学習の調整」に関わる言葉『学習の見通しをもって、学習課題に沿って、今までの学習を生かして』
を付け足すと分かりやすくなります。
【主体的に学習に取り組む態度】の評価については、色々なパターンがあります。
上記の内容を踏まえて、国語「なまえつけよ」の評価規準を作成すると、こなります。
【知識・技能】
・語感や言葉の使い方に対する感覚を意識して、語や語句を使っている。
【思考・判断・表現】
①「読むこと」において、登場人物の相互関係や心情などについて、描写を基に捉えている。
②「読むこと」において、人像や物語などの全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりしている。
【主体的に学習に取り組む態度】
・進んで、登場人物の相互関係や心情などについて、描写を基に捉え、今までの学習を生かして、考えたことを話し合おうとしている。
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設定理由:【知識及び技能】【思考力・判断力・表現力等】①②の中で、【思考力・判断力・表現力等】①の内容で粘り強さを発揮して欲しいと思ったからです。また、4年生までの学習内容を生かして、考えたことを話し合って欲しいと思ったからです。
評価基準の作成について、長々と述べましたが、「よく分からない。」「難しい!」という方は、文部科学省の国立教育政策研究所が出している「『評価と指導の一体化』のための学習評価に関する参考資料」の巻末資料を参考にするのをお勧めします。
③単元の指導と評価の計画の決定
・各時間の具体的な学習活動を構想する。
・単元のどの時間で、どの評価規準に基づいて評価をするのかを決定する。
〜具体的な学習活動を構想〜
私の場合は、特に身につけさせたい目標に基づいて、単元のメインとなる学習活動を考えます。その活動は、単元の終末になることが多いです。
国語「なまえつけてよ」(5時間設定)の場合だと、【思考力・判断力・表現力等】①の目標達成に向けて考えたことを十分に話し合って欲しいと思ったので、4時間目に話し合いの時間を設定しました。45分間、しっかりと話し合わせます。話し合いに向けて、十分に思考して欲しいので、3時間目の後半(20分間)は一人で考える時間(一人学び)を設けました。
メインの活動に向けて、必要な活動を逆算して、1〜3時間目の活動内容を考えます。
〜評価〜
まず、評価の考え方についてお伝えします。
評価は2種類あります・
・記録に残さない評価(形成的評価)
・記録に残す評価(総括的評価)
【記録に残さない評価】は、指導を改善するための評価です。全ての子どもに対して行わなくてもいい評価です。ノートを回収して、数人だけのノートをチェックしたり、机間指導の際に評価をしたりするだけで大丈夫です。大切なのは、その評価内容を基に次の指導につなげることです。したがって、単元の終末ではなく、序盤、中盤に評価することが多くなると思います。
【記録に残す評価】は、評定のための評価です。通知表にも関わる評価です、そのため、全ての子どもに対して行い、記録も付けます。単元の中で、育成を目指す資質・能力が顕著に現れる場面で評価することが多くなると思います。
つまり、単元のメインとなる学習活動に関わるところが、評価の対象になることが多いと思います。
国語「なまえつけてよ」の場合だと、【思考力・判断力・表現力等】①の目標達成に力を入れたいので、【思考力・判断力・表現力等】①の評価を記録に残します。(3時間目)
また、【思考力・判断力・表現力等】①の内容で粘り強さを発揮して、これまでの学習内容を生かして、考えたことを話し合って欲しいので、【主体的に学習に取り組む態度】の評価も記録に残します。ただ、話し合っている姿は、全ての子どもを平等に見取ることが難しいので、振り返りの内容で評価を付けます。
単元の中で、3観点を必ず評価に残す必要はありません。年間を通して、全ての資質・能力をバランスよく評価するようにすれば大丈夫です。
私は、子どもたち(3年生以上)にも単元計画を配付するようにしています。単元の初めに、(何のために学習をするのか)目標と計画を伝えることで、見通しをもって授業に臨むことができます。なので、同時に「児童用単元計画」も作成します。どこで評価をするのかも伝えるようにしています。
単元目標の内容で難しい言葉は、子どもたちに分かりやすいように変えています。
初任校では、私が赴任した時から「単元計画を作りましょう。」「単元計画は大切です。」と言われていましたが、日々の業務に必死な私にとっては、「タンゲンケイカク何それ?」状態でした。前日に授業の準備をしていたので、毎日夜遅くまで授業の準備に追われていました。
でも、3年目くらいから単元計画を作るようになり、余裕をもって授業を行うことができるようになりました。子どもたちに、何を身につけさせなければならないのかを意識しながら、指導を行えるようになったからか、子どもたちも授業に対して前向きになってきたように感じました。「〜の単元で〜の力が身についた。」と自分の成長を振り返られる子どもたちも増えてきました。
単元計画を作成して授業を行うことには、メリットがたくさんあります。
唯一のデメリットは、作成に時間がかかることだと思います・・・。慣れるまでは、結構時間がかかります。
時間に余裕がない時は、誰かが作成したものを使わせてもらうのでもいいと思います。私が投稿したものも使ってみてください。
そして、長期休みの間など、時間に余裕があるときに一度作ってみてください。
では!🐢