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主婦年金の行方

今「主婦年金」が国の財政負担になっていると言われています。問題視されているその制度は「第3号被保険者」です。ご存知のように、これは、扶養される配偶者の社会保険料が免除されたうえで、配偶者が基礎年金権を得るという制度です。

そして、わたしもまた、この問題が気になっています。

ご興味のある方は、お付き合いいただけますと嬉しいです。


この制度は、今、廃止の方向へと進んでいるようですが、わたしから見ますと、その変化が、どうにも北風と太陽のように感じられるのです。

北風ではコートを脱がない旅人でも、太陽で温まるとコートを脱ぎます。

主婦とて、きっと同じなのではないでしょうか。


「もっと働いて、自分の保険は自分で納めてね」というのが北風です。

既に、自分で保険料を納めている主婦も大勢いますので、普通に考えると当たり前の話に思えると思うのですが、、、

ただ、この制度から抜けようにも、どうしても抜けられない主婦もいることも知って欲しいと思うことがあります。

なぜなら、夫よりはるかに稼ぎの少ないパートで働く場合、どうしても家事育児を妻が一人で抱え込んでしまうケースが多いためです。

数年前、某テレビ番組で、2人のお子さんを育てる若いママが、これ以上働いて年金を納めてと言われても、削れるところは「自分の睡眠時間だけ」ですと話されていました。

それを観ながら、あゝ、決して大げさなことではないな、とわたしも思ったのです。

なぜなら、わたしにも、かつて同じような経験があったからです。


わたしは夫の海外駐在で仕事を辞め主婦になっています。妻を帯同する社内ルールがあったのです。けれど、帰国後、働いていませんので、子どもを保育園で預かってもらえず、パートでしか働けません。

4年働いた会社では、一度も時給が上がりませんでした。わたしは限界を感じて仕事を辞めています。たとえ一生懸命働いても、会社では評価の対象ですらありません。

そして、家では、仕事+家事育児をしますが、夫からはまるで遊んでいるようにしか思われない賃金しか手にできないため、やがて、働く気力を無くし、自分に対する自信まで失って行きました。

こうした「パートは別枠」という考えが今も労働市場にあるのは、「あなたはご主人に養ってもらっているから、このくらいの賃金でいいですよね」という暗黙の了解があるためです。


そして今、2016年から、国は労働者の被用者年金の適用の拡大を本格的にはじめています。

この流れで、働く時間をセーブする主婦は問題だと言われますが、そこには理由があることを知って欲しいのです。その大半は、かつて約1500円以上で働いた人たちです。そこには高学歴者も多く含まれます。

わたしたちは、賃金の話しは「はしたない」とほとんど口にしませんし、わたしはパートなのだから仕方ないと考える女性が沢山いる社会であることも知っています。


終戦直後に人手が足りず、企業がオファーを出したのが主婦でした。この当時、主婦には年金は無く、パートは家計の足しになって喜ばれました。

ところが、この主婦が保護される制度は、「男女雇用機会均等法」と時を同じくしてできています。この制度は、この国の男は働き女は家という文化を守り、さらに、女性を保護するという考えの元作られています。

けれど、夫と死に別れた、離婚した女性が、恐ろしく暮らしていけなくなるのは、こうした制度が続いて来た結果、主婦の働き方が終戦直後と変わらず続いているためです。

それでも耐えてしまうのがこの国の女性だということも知っています。


先進諸国では、こうした主婦のパートのような働き方は、単に、働く時間が短い「短時間労働者」と呼ばれます。日本の主婦も他の先進諸国と同じように、ビジネスパーソンの一人としての仕事に参画できるようになるといいと、心から思っています。

「第3号被保険者」制度の話を耳にするたび、パートの働き方を多くの方に気にして、考えて頂けたならどんなにいいだろうと思っています。


もしよかったら、こんな話を一度ご家庭でもしてはいただけませんか?

そして、今、我が家では、夫とこんな話をよく話します。夫と話すようになって、立場や性差で見える世界がこれほど違うことに驚くばかりです。夫が変わらないと思っていた時期が長かったのですが、まず変わるべきは自分だったということに、わたしはようやく気づいているところです笑。


※最後まで読んで頂きありがとうございます。

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