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ずっと同じとは限らない

親との会話で混乱することはありませんか?今朝、朝食の時、娘が母に年金のことを尋ねたのです。わたしの父は勤め人で、母は専業主婦。

すると、母が、

「そうよ、わたしは103万円しか働けなかったの」

というのです。で、娘が、

「壁かぁ」

といいます。

ここでわたしが、

「母さんには年金無償化とは関係ないでしょ?」

といいます。

すると母が、

「そうじゃないのよ。103万円以上働くと、130万円ほど働くのとほとんど変わらなくなるでしょ。家のこともあったし、気を付けてたのよ」

といいます。

ここで、90歳の母の記憶を刺激してみます。

「103万で気にしていたのは配偶者控除でしょ?」

と。

すると母が、

「え、年金よ」

というのです。


もうやめておこうかな、と思いながらも、

「母さんの年金は任意で納めてたの、覚えてる?」

と、つい言いたくなります。

ここでようやく母と会話が噛みあいはじめます。

以前、この件は母に確認済みです笑。

母の年金は、父が任意で払っていました。

すると、

「子どもがこれから育つというきに、お給料から年金を納めるのは大変だって、友達の奥さんたちとよくこぼしてたのよ」

と言うのです。

母の記憶が蘇ってきました。

日本で皆年金がスタートしたのは1961年。「皆」とはいえ勤め人の妻は対象外です。それはビックデーターでも明らかです。

世帯調査で妻に関する項目は長い間ありません。理由はシンプルです。欧米では税金は個人の所得が対象ですが、日本では世帯が対象だからです。



父が定年退職したのは1986年で、この年に主婦の年金無償化が始まっています。

1961年にわたしは生まれ、その年から皆年金がスタートして、母は対象外。わたしが25歳の時、主婦年金無償化がはじまりますが、父はその年に退職します。

ですので、両親は年金無償化のことを知りようが無いのです。

わたしたちは、今あるものはずっと続いていると思いがちです。
特に制度では、そんな勘違いが、家の中でも起こりがちです。
日本は昔からずっとこうだったと言いがちです。


皆年金のスタート時から25年、主婦は年金さえなく、離婚も難しかったことを忘れてはいけないと思うのです。

それでも夫の7割が、父のように任意で妻の年金を納めています。10人に7人の勤め人が、毎月、妻の年金を納めていたのです。

それから四半世紀後、どこの国にもない、勤め人の妻は年金無償という制度がスタートします。それが1986年です。


その同じ1986年、日本では「男女雇用機会均等法」が施行されています。男女が平等に働けるようになるはずの法律です。

これは、社会の制度です。


なぜ、日本はこれほどジェンダーギャップがあるの?とよく海外の人に聞かれます。

人々の動きや、社会の流れを創り出すのは、実は制度だとわたしは思うのです。


法律や制度がそうなのだから、それが正しいと人は考えます。だからこそ、そうしたルールに沿った意識が社会に形成されるのだと思うのです。


こんなことを一緒に考えて下さる方が増えると嬉しいです。



※最後までお読みいただきありがとうございました。

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