「派遣」の内と外。内の常識は外の非常識
おかしいと思っても誰もがスルーすることがある。
けれどその見過ごした中に、恐ろしく大切なことが隠れていたりするもの。
イギリスのフリーランス事情
昨日、タルイタケシさんがnoteでこんなつぶやきをされていた。
と。
それは欧米の働き方に詳しい方に向けて問われたつぶやきだった。
すると、イギリス在住の方からこんなコメントが返ってきた。
と。
フリーになりたければ、まずは企業で経験を積むのですよと。
フリーランスの中身
そのコントラクター(業務委託)が企業に入るのはこんなケース。
主に、パーマネント(正社員)が長期育児休暇や介護休暇に入った際の穴埋め、または、プロジェクトの期間。
この業務委託とは、個人(が設立した会社)か、派遣会社経由だという。
そこでわたしも質問させて頂いた。
と。
すると、こんなコメントをいただいた。
と。
そう、派遣で働く人はエキスパートなのだ。
彼らがその働き方を選ぶには理由があるということ。
それは、契約と契約の間に数ヶ月休める等の雇用の自由度の高さがあること。
もちろんそのためには、稼ぎがいいことが前提だ。
日本の派遣
上のコメントのやり取りをご覧になって、あなたはどう思われただろうか。
実はわたしは長年、日本の派遣の問題を女性の労働問題としてとらえてきている。
そもそもこの働き方は米国からやってきた。
詳しくは次回に譲るとして、日本に派遣が紹介され、実際に人が動きはじめた頃のキャッチフレーズは、スペシャリスト・自由な働き方という冠付きだった。そしてそのターゲットは主に女性だった。
そう、日本の派遣もまた、欧米と同じコントラクター(業務委託)として世に出た働き方なのだ。
けれど、この国では、派遣は日本流に変わってしまった。そして今では、人があらゆる職種に派遣されている。
欧米のコントラクター(業務委託)は日給レートが非常に高い。それは働くプロだからだ。ゆえに新卒ということもほぼない。
働いてキャリアを身に着け、もっと自由に働きたいという夢を持つ。自由になるためには稼げなければならない。派遣で自分の力を売る、それが欧米のコントラクターなのだ。
実にわかりやすいし、誇りを持てる働き方だといえる。
けれど、日本の派遣はそれとはかけ離れている。最初は女性のスペシャリストが中心だったけれど、やがてあらゆる働き方に派遣は裾野を広げていく。そして今では男性もそこにたくさん流れ込んできている。
日本の派遣は過酷
実は1980年代後、20代で未婚のわたしは貿易実務経験者として大手総合商社に派遣されて働きはじめている。
その時の時給を年収に換算すると、軽く前職の年収を超えていた。だから特別不満なく働いていた。
けれど、そこからわずか半年後に結婚すると様子が一変した。
既婚者になった途端、総合商社からはお呼びがかからなくなった。キャリアより属性が優先される社会。しかも紹介されるのは受付や書類整理のみ。時給も大幅にダウンした。日本では30歳過ぎの既婚女性の働く場は限られていた。
バイトと変わらず、しかも3か月に一度契約を更新する。そして半年以上は同じ会社で働けない。
これでは保証のない日雇い労働者だ。こんな過酷な働き方はないとずっと疑問に思っていた。
おわりに
国外から入ってきた派遣という働き方が、この国で数年で中身を変え、労働者から働く誇りをもぎ取っていった。同じなのは業務委託という働き方のみ。
女性に押し付けられたこの国独自の派遣という働き方は、やがて男性にも広がっていった。
こんな話をするとお気を悪くされる方もいるかもしれないけれど、これが事実だ。
派遣が日本流の働き方に変わったのにはわけがある。
ここからそのわけについてシリーズでお話ししてみたい。
つづく
※タルイタケシさんご紹介させて頂きありがとうございました!
また、最後までお読みいただきました皆様、ありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。