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年齢差別

わたしは、ハイキャリアではない女性の働き方について考えていますが、今日は「年齢差別」について少しお話ししてみたいと思います。

ご存知でしょうか、今でも日本では、転職ができるのは20代まで、マックス35歳まで、と口にする女性が多いことを(ハイキャリアではない女性のケースです)。

確かに、そうした女性たちの転職の年齢制限は35歳です。

そんなバカなと思われる方もいらっしゃると思うのですが、一度ネットの求人サイトで「35歳以下」で検索をかけてみて欲しいのです。

いかがでしょう?

わたしは今、某サイトで検索をかけてみましたが、約900件弱ヒットしました。日本人であれば、「35歳以下」という文字が女性を対象としていることは自然に読み取ります。他にも、「女性のおしごと」掲載中、という注釈も目につきます。

これだけの件数が公の場で表示されているのです。それが、この社会の常識なのだと誰でも思います。


もちろん、先進国であれば年齢差別はご法度です。

では、日本の企業には年齢差別を禁じるルールはないのでしょうか?

そもそも1980年代、女性は25歳で売れ残ったクリスマスケーキといわれ、働き続けることも、転職も難しかったのです。わたしも25歳以降、転職先がみつからず契約社員として働いています。そして、今でも日本では転職の際、履歴書に、性別や年齢を記載する慣習が残っています。

そして、日本の年齢差別のルールは後付けです。はじめて取り上げられたのが2001年の厚生労働省の「省令」です。

その省令には、

「募集・採用にあたって年齢制限をつけることを原則として禁止している」

と記載があり、2001年の努力義務は、2007年には禁止規定となりました。



問題はここからです。

年齢差別はないはずの国で35歳以下と書かれ、そこには、但し書きがあります。

それが、「例外事由3号イ」です。これは、

「長期勤続によるキャリア形成を図る目的でなされる特定年齢未満の労働者の募集・採用」

という内容です。

さっぱり意味がわかりません。この省令は、こんな例外が多くあります。ですから、

年齢が上がること=自分の価値が下がること、

という刷り込みが、女性にはされているはずです。

ここで思い出されるのが、日本のメンバーシップ雇用の問題で例題として出される、アレです。

女性は子どもを産む性なので、いずれ辞めるだろうと会社が予測し、離職コストを下げようと、あらかじめ女性を一律に差別します。すると、働く女性にとっては働き続けても利益が得られないため、うんざりした女性たちが辞めてしまうのです。結果、女性の離職率が高まるというものです。

これは、社会学では「予言の自己成就」といわれています。


この転職の「年齢差別」もまた、マクロな視点で見ると同じようなことが起こっていると思うのです。

今、国でも企業でも、学び直しを奨励しています。けれど、女性の学び直しは男性より遥かに少ないのが現状です。理由はそれぞれでしょうが、それでも、女性たちが、

会社って若い女の子が好きなのね、

と読み取る社会では、わざわざ時間とお金をかけて大変な思いをしてまで学び直しはしたくないのです。たとえ頑張っても、30歳前後には転職が厳しくなることを知っていますので、動かない方が得なのです。


こうした「年齢差別」を続けていくことで、出産率の低下はもとより、企業では、人手不足のこの時代、自発的に学ぶ優秀な女性の人材の確保が難しくなります

わたしは、差別にどんな理由をつけたとしても、それはやはり差別だと思っています。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


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