Aにしますか?それともB?と問われたらあなたはどうしますか? #主婦年金
人って面白い。問いが答えを導き出す。
スパゲティにする?それともうどんにする?と問われると、えええどちらにしようかな~~と思う。それが人というもの。
カレーライスだって中華丼だってそこにあるのにね笑。
主婦年金
悪法といわれる法律がある。いまなら真っ先にいわれるのが主婦年金にちがいない。もう財源がないという。
だからけしからんって話が盛り上がる。けしからん、本当に妻たちはけしからん、と誰もがいう。
で、その妻たちは、どうにも返す言葉がみつからない。ちょっと得してきた感だってあるし、なんだか悪いな~って気にもなる。
そこから、やっぱり主婦年金はけしからん、困ったものです、ならばなんとかしなきゃなりませんね、という流れになる。
その主婦の年金の豊富な財源、とりあえずよく見えない税に放り込んじゃいましょう。使い道ならいくらでもありますんで、となる。
実にシンプルだ。
厚生年金
流れというものは不思議なもので、ある時いきなり勢いづくことがある。
「ようするにサラリーマンの妻が悪いってわけね」
「ほんとしっかりしてよまったく」
「働いて自分で厚生年金にぐらい入ってよ」
と水が勢いよく流れ出す。
それなら、さっそく工夫しましょうってことになる。
すると誰かが思いつく。
「今のままじゃまずいのでパートの主婦でも厚生年金に入れるよう壁を下げちゃいましょう」
と。頭のいい人っていうのはどこの世界にもいるものだ。
「…でもまだ入れないんですけど…」
と主婦が恐る恐る口を開く。
「稼ぎが悪くて…」
と恥ずかしそうにいう。
「そうですか、じゃあもっと壁を下げましょう」
となる。
で、壁が下げられはじめる。
「これでようやく社会は正しい方へ向かい始めた」
「よかったよかった」
となる。
実にシンプルだ。
年金
ただ妻の腰は重い。なかなか本気を出して働こうとしない。困ったものだ。ならばもっと説得材料を用意せねばとなる。で、
「奥さんいいですか、今からでも遅くはないんですよ。いま厚生年金に入ると将来年金が増えるんですよ、お得なんですよ、分かりますか?」
となる。
「ちゃんと教えてやらねばな」
となる。まったく手のかかる主婦たちだ。
で、主婦たちも考えはじめる。なにしろ勢いよく水が流れ出したのだ。たしかに年を取って惨めな暮らしは寒々いし…と思う。
水はこうして何かを押し流す。
やっぱりシンプルだ。
二者択一
さて、役者は揃った。
「いいですか、主婦年金は甘えなんですよ。それにもう財源はこの国には無いんですよ」
で、
「さあ、あなたは厚生年金に入りますか?それとも入りませんか?」
と問われる。重ねて、
「年収が低くても厚生年金に入れます。壁はこれからどんどん下げていきます」
で、
「さあ、あなたは厚生年金に入りますか?それとも入りませんか?」
と問われる。
さらに重ねて、
「今あなたが厚生年金を納めると年金を受け取る時にいいことありますよ。年金が増えるんです。老後安心ですよ」
といわれ、
「さあ、あなたは厚生年金に入りますか?それとも入りませんか?」
と問われる。
入るか、入らないか、そう、AかBかの世界。
他に選択肢は用意されていない。実にシンプルだ。
権利
ここでちょっとAとBから外れてみる。一度しっかり考えてみたって悪くはない。
なぜ主婦だけ特別に国民年金がもらえるのか?そこのところが、どうにも気になる。
するとなんのことはない。それは国の方針だったのだ。
なるほどね。主婦が集団で年金よこせ運動をしたなんて話し聞いたことが無いと思った。
な~~んだ、国が決めたことだったのかと妙に納得。
主婦の特権なんて呼ばれてるけど、この年金、国がサラリーマン世帯に与えた権利だったのね、となる。
内助の功
さて、ジョブ型時代がやってくるなんてよく耳にするけれど、なんのことはない。この国はいまも生活給で回ってる。それは夫が妻と子を養うための給料だ。
これは面白い発想だと思う。欧米にはこの発想は無い。
この生活給とは、夫の仕事に対する対価じゃなく、彼の家族をも支えるお給料ってこと。
ここが面白い。
だからこの国には主婦年金なんて独特なものがあるんだ~と読めてくる。そうか、これは内助の功に授けられたこの国の隠れた武器だったのか、と気づく。
じゃあ、このまま進んだらいいじゃない。
だって内助の功を期待されて、妻もそれに応えて、だからこの国には外国人労働者はほとんど入ってこなかったのだろう。ケアワークを引き受けたのは妻たちってことよね。
潮目が変わる
ただ問題がある。それは財源が干上がったってこと。そう、このやり方を気に入っていた人は多かったけれど、もうそれが続かないってこと。で、いきなり潮目が変わった。
潮目が変わるって恐ろしい。途端に主婦年金は悪ってことになった。
でも…なんだかおかしい。だって今もまだこの国は生活給じゃない!まだ女子は男子のサポートそてるじゃない、と思う。
財源が足りなくなったっていうけれど…なぜここだけ切り取るんだろう。
それじゃどこかが悲鳴を上げるんじゃない?と思う。
いや~やっぱり、ここはシンプルになど受け入れられない。
おわりに
二者択一で問い続けられると、わたしたちの考えそこにしか向かなくなる。
けれど答える前に質問の土台を見る必要がある。繰り返しAにしますか?Bにしますか?って聞かれたけれど…。
主婦年金は生活給で回るこの国だからこそできた年金。しかもそれは内助の功に与えられたもの。だから外国人労働者を入れることなくこの国はこの国が望む形を守ってきた。
年金問題はシンプルに語られる。けれど実はもう少し複雑だと思う。
そう、二者択一じゃなくてね、3つ目だって隠れていそう。そんな問題を考えてみたい。
つづく。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています✨
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