家の中が変わると外も変わる
分かりやすいことが、わたしは好きです。特に、働くことに関しては分かりやすい方がいいと思っています。
わたしは女性の働き方を変えたくて起業しましたが、「どうしてNPOとかの非営利じゃないの?」とよく質問されます。日本ではこうした活動は非営利がスタンダードなのでしょうが、わたしは社会起業家として動きはじめています。
その言葉を知ったのは今から15年程前、渡邉奈々氏の『社会起業家という仕事 チェンジメーカーⅡ』という本との出会いにありました。
副題に「自分だけが儲けてもハッピーになってもつまらない。誰かを、幸福にするという、新しくて楽しい働き方の提案です」と書かれています。
働くことの概念がクルリと変わった瞬間でした。
日本では特に「儲ける」を女性が使うと下品に思われがちです。
ただ、わたしはこうしたお金に関する言葉のブロックを外したいと思っています。
その言葉からかけ離れた暮らしを強いられている女性が多すぎるからです。
これはつい最近聞いた話です。
10数年、家の近くで働いていてきた主婦が、勇気を出して雇い主に賃金交渉をしたところ時給が上がったそうです。その職場では、アルバイトで最近働き始めた大学生が、その女性より時給が高いのです。けれど、賃金交渉後のベースアップはわずか10円。その女性は心の底からその職場が嫌になり、長年働いたその仕事を辞めたそうです。
最低賃金は上がりますが、雇う側がパートの賃金を一度も上げずに使うと、こんな歪みがおこります。笑うに笑えない話ですが、こんな話が今でもあるのです。
この国には、色々な言葉の刷り込みがあります。その刷り込みは男性より女性の方に多くあるように感じます。その多くが我慢しなさいというものです。わたしも、そして皆だって我慢しているのだから、あなたも我慢しなさいという刷り込みです。
真面目な女性ほど、そしてその刷り込みの回数が多かった女性ほど、その言葉からなかなか出られません。
日本では4月に新年度を迎え、多くの企業で入社式が執り行われています。おめでたい行事の一つですが、それが世界から見るとどれほど特殊であるか、この国で生まれ育つと当たり前すぎてピンときません。
ですから、わたしはソシオロジ―・コミュニケーターとして活動をはじめました。問題は社会の仕組みに関する事でもありますが、それだけではありません。雇う側だけでなく、働く一人一人が自分の権利や労働法などからあまりに離れ過ぎていると思っているのです。そんなことを誰もが家の中で普通に話せるようになるといいと思っています。
分かりにくいことは変わりにくいと思っています。
分かりにくいことの多くは、そのままいままでいいと思っている人がいるのかもしれません。なぜって、分かりにくいことは、変わりにくいですから。
というわけで、わたしはこれから、当たり前すぎてなんだか分かりにくいことを、スッキリ分かりやすく伝えていきたいと思っています。
※参考図書
『社会起業家という仕事 チェンジメーカーⅡ』
2007年 渡邉奈々 2007年 日経BP社
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。