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看護師の頭のなかはソープでできている。

「え? ふつうそうじゃないの?」
「ふつうでしょ?」

だれかと話していて、そう感じることってありませんか?
『ふつう』まずこう考えるでしょ! そんなことがほかの職種では全然ちがったり、他の職種のかんがえていることを聞くと『なるほど! そうやってかんがえるんだ!』と膝をうったり。

じぶんにとってのあたりまえ、が、ひとにとってはあたりまえじゃない。
だからじぶんのことってよくわからないし、わかりあえないこともたくさんあるんですよね。

でも、じぶんにとって《 あたりまえじゃない 》ことを取り入れてみたら、案外うまくいくことってあるとおもうんです。だから、解決するのがむずかしい問題を解決するヒントは、まったくちがう分野にある、とわたしはおもっています。

それはさておき、看護師のあたまのなかはこうなっている、というのをひとつご紹介できればとおもいます。
これがすごいでしょ、とかではなく、教育課程のなかでこうなっていった、という職種特有のものがあるとおもうので、これも、ほかの職種のひとたちはどんなふうにものごとを見ているのか聞きたいです。絶対おもしろいとおもう。

看護師のあたまのなかは、基本、ソープでできています。たぶん。
ソープ、というのは、石鹸でも女性系サービスでもなく、SOAPというアルファベットの頭文字をとったものです。

看護師は、患者さんと出会うと、患者さんの状態をアセスメントして看護計画をたてます。
たとえば、肺炎の患者さんが入院してきた、とします。
酸素マスク3LでSpO2 96%、ご飯を食べると疲れて息苦しくなってしまう、とします。
そうすると、『肺炎にともなう呼吸困難によるセルフケア困難』みたいな計画がたてられるわけです。今はNANDAの看護診断を使っているところが多いかも知れないので、こんなふうに看護診断をじぶんでたてるところは少ないかもしれません。

そうすると、その問題をどう解決していくか、もしくは悪化の兆候を早期発見・早期治療につなげていくか、が計画のなかに盛り込まれます。

記録は、そういう今の状態と悪化の兆候の有無などを主観的・客観的事実をもとに記録していくわけです。

そこで出てくるのがSOAPです。SOAPとは、
S:主観的情報
O:客観的情報
A:アセスメント
P:プラン
のことです。

患者さんとはなしているときにも、常に患者さんの発することばをしっかり聞きとり、客観的情報を観察します。
呼吸回数はどうか、SpO2測定値はどうか、肺の音はどうか、雑音はしていないか、指先の色はどうか、などが客観的情報で、それらを観察していきます。

そこで、肺の音は少しよくなってきたな、とか、SpO2の値はよくなってきたな、とか、検査の数値が改善してきたな、とかいうことを総合的に判断するところがアセスメントです。

そして、じゃあ酸素は2Lに下げてみてもいいかもしれない、とか、いやまずはカニューレ3LにしてみてからSpO2が下がらなければ下げてみてもいいかもしれない、などと考えて、カニューレにしてみたりするのです。

そうして、それからしばらく経過観察をしながらも、あたまのなかではSOAPをくりかえし、より患者さんが楽になるにはどうしたらいいか、悪くなってないか、よりよくするためにどんなケアができるのか、などを考えて試行錯誤していくのです。

つまり、記録の形式どおり、あたまのなかではずっとSOAPで考えている状態です。

PDCAサイクルがたいせつ、と言われるけれど、SOAPもPDCAサイクルとおなじように、より良いケアをさがすために、常にぐるぐると試行錯誤している感じです。

アセスメントの視点としては、これはたぶん学んだ場所によって違うんじゃないかとおもうのですが、看護理論に基づいてされているとおもいます。

ヘンダーソン、ゴードン、ロイ、オレムのセルフケアモデルなどなど。

ここがそのひとをどのような視点で見ているか、というところにもつながってくるのかな、とおもいます。

リハビリ職さんたちはきっと関節可動域などを重点的に見るのかなぁとおもうので、その視点も聞いてみたいです。
アセスメントの視点を持ち寄って事例検討をするのも、他の職種の視点を聞けておもしろそう。

さらに、医療職ではないひとたちはどんな視点でその『モノ』を見ているのかとっても気になります。デザイナーさんたちはどういう視点をもっているのか、ライターさんたちはどういう視点をもっているのか。

きっとそういう視点のなかに、しごとをおもしろくするヒントが隠れているはず。そういう視点にも触れていきたいとおもう今日このごろです。

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