30代ゲイは本・映画に心を救われる
僕は本や映画が好きだ。自分では辿りようのない人生を垣間見せてくれるのが面白いと思う。
仕事のやる気を上げたい時には『プラダを着た悪魔』を見るのが好きだが
ニューヨークで必死に働くなんて自分の人生では起こらないはずだ。
だけど最近、自分が本や映画が本当に好きな理由を実感する出来事があった。
先日、僕の好きな作家、朝井リョウさんの短編集『どうしても生きてる』を読んだ。
六編それぞれの主人公は様々な問題を抱え、悩み苦しみながらも生き続け、「どうしても生きてる」お話だった。
どれも読んでいて心が苦しくなるようなものばかりだったし
ネットで感想を検索してみると、自分の心が弱っている時にはおすすめしないなどと書かれてもいた。
確かに辛いお話だったけど、僕はこの作品にとても救われた気がした。
フィクションではあるけれど、この作品に描かれる家族や仕事の上での問題はどれもありえる話だった。
自分からは遠く感じてしまう結婚や家族をもった後の話の中にもどうしようもない問題は溢れている。
自分には得難い幸せの隣にも問題は待ち構えているんだと思った。
結局人間は死ぬまでずっと色々なことに悩み苦しみ、必死に考えながら生きていくんだと感じられた。
僕自身、自分がこの先どう生きていくべきかを考える時に
未来は明るいと強く思えることもあれば、孤独で不安ですごく落ち込むこともある。
本を読み終わった時に自分が何だか七編目の主人公になったような気がした。
30代ゲイが人生に迷いながらも、仕事を続け「どうしても生きてる。」
六編の主人公達のように問題を抱え、悩み考えながら生きていくのが自分の人生なんだと心強く思えた。
本当に読んでよかった作品だった。
僕はこんな風に、本や映画の世界に心を救われることがとても多い。
自分以外の誰かの人生を覗き、傷つきながらも前に進む姿に力を貰っているんだと思う。
だからかハッピーエンドのお話よりも暗闇の中に少しの救いが見えるようなお話を好んでしまう。
本や映画は、僕に孤独や不安がやって来た時そっと手を差し伸べてくれるから好きだ。
30代ゲイは本や映画に救われながら生きているというお話でした。
ちなみに朝井リョウさんはエッセイも書いているのだが
そちらは読んでいて何度も笑ってしまう程楽しいので、小説もエッセイもぜひ読んでみてほしい。