「厳粛な祈りを秘めた表現」
「厳粛な祈りを秘めた表現」
写真の向かって右の木彫作品は友人がバリ島へ行った時に買ってきたものである。技術は稚拙である。
しかし、この彫りには作者が込めた厳粛で深い哀しみ、名状し難き「祈り」のようなものがしかと刻まれている。
隣の彫刻は鉄で溶接されて作られている。
作者は生前私が高く評価していた杢田たけを氏である。
この作品は私が彼のアトリエに行った時にアトリエの片隅に埃をかぶっていた。
私は聞いた「この作品に誰も眼を留めぬのか?」 と。
彼は「今まで、この作品に眼を留めた者はいない」と言った。
彼とは私が31歳の時に「独立美術展」を観に行った時、作品を見て感動した作家で、それ以来、1998年に彼が死ぬまで親密な交流があった。
彼の作品には霊性が漂っていた。
彼は間違いなく日本の洋画史に残る作家である。
私が銀座で「ギャラリーケルビーム」を経営していた時に彼の企画展を4回開催した。
私の画廊で彼の作品が売れると分ると他の画廊も彼の企画展をするようになった。
練馬美術館での「杢田たけを追悼展」
https://jmapps.ne.jp/nerima_art/sakka_det.html?list_count=10&person_id=65