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読書一機~『生きてさえいれば』~

♄月♀日
『生きてさえいれば』

ネタバレを含みます! 

冒頭の章では、いじめられている小学生の千景が自殺を考えている。その最期に自分の顔とよく似ていて心臓の病気でもう長くないとされている大好きな叔母のために大阪に住んでいるある人物への手紙を届けに行くというストーリーだ。
行動的には、千景が大阪に行って叔母に頼まれた手紙を秋葉という人物に届ける。そして、秋葉やその妹を連れて千景は次の日に病状があまり良くない叔母のはるかに会いに実家に帰るという端的なものになっている。その行動の間に、長いはるかと秋葉の切ない恋の回想シーンが大半を占める。
 
大学生のそして若い人間の儚い恋といえば聞こえがいいかもしれないが、人生をかなり左右されてしまって居る。秋葉も千景も周りの人間が勝手に感じているエゴと我儘に付き合わされて、生きるのが少し面倒だと感じるところまで来てしまって居いる。
家族だけど少し憎たらしかったり、家族だけど信用できなかったり私からしたらとっても哀しい事のように思えてしまうが、もしかしたらこの世界ではそこまで珍しい話では無いのかもしれないなとも感じた。
 
 それよりも、秋葉という人間の他人に人生を影響されたり左右されたりしている感じにかなりもどかしさを覚えてしまった。これは、もしかしたら私がとっても恵まれた環境にいる事の伏線なのではないか。こういう感じ方がまだできるのだ。
 小説を読んでいてよく思う事は、主人公だったりその周りの登場人物だったりがかなりの確率で辛い目に遭っているなという事だ。
 もっとファンタジー小説のようなワクワクするものが好きだし、と思ってファンタジー小説を開いてみてもそのように人間の深くて怖くて一番純粋な部分に触れないような作品は中々珍しいと思うし、それがあるかないかで中身があるかないかというのを評価されているのかなという思いもふと思い浮かんだ。
 辛酸舐めないと人生じゃないとかそんな感じなのかな。仏教とかもまあ、だいたい辛いぜーーーーって感じだもんな。昔から生きるってそういうことなのかもしれない。
 
 こんな事を言っているが私は最後の章ではるかの姉の冬月が人間嫌なことがあっても辛い事があっても生きる理由になれる恋も生きる理由になれる目標もなんでもある。生きる事は幸せを探す旅であるという事を云った時はわんわん泣いていた。そうだよね生きてさえいればきっと幸せを探す旅をまだまだ続けられる。
 
そして一番最後に知って、番驚いたのが著者がもう亡くなっている事だ。生きてさえいればという言葉に妙に重みが加わった。
 

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