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人生で1番愛した人へ

この感情を咀嚼するのも、言語化するのも本当に本当に難しくて、やっぱり愛というものは形がないなぁと思った。形がない上に複雑で、ぐちゃぐちゃでわけがわからないもの。"好き"だけの言葉では語り尽くすことができない、私の持っている貧弱な語彙でも語り尽くすことができない、もしかしたら地球上に存在する言葉をかき集めても、表現することのできないものだと思っていた。

でも、それでも私がこうして語りたいのは、心にずっと燻っている整理のつかない気持ちを言語化して、可視化してなんとか"答え"を出したいから。
別に無理に"答え"を出さなくてもいいと思うけど、1番愛した偶像を失う経験はもう2度とないと思うから。

それを断言することができるくらいには愛していたし、あなた以上の人がこの世に存在すると思っていない。本気で。
あなたの代わりを探して、いろんなアイドルの素敵なところを探して好きになって、あなたを忘れようと、"好き"を上書きしようとしたけれど、やっぱり無理で。

朝起きて、「あ、好きだ。」って思ったあの日から私はずっとあなたに心を燃やしてきた。
心を焼き尽くす匂いはそれはそれは甘美で、心地よかった。
自分の心を焦がしながら、人を愛する幸せを日々感じていた。今思えばまるで夢のような日々だった。あなたがブログをあげるだけで、あなたが歌番組で歌を歌うだけで、あなたが『めざましテレビ』に出てジャンケンをするだけで、あなたがこの世のどこかで生きている、それだけで私はすごく幸せで、今のこの何もしても幸せを感じることができない味気ない日々とは大違いで、死ぬほど辛かった虐待だって、あなたの存在だけで耐えられてしまうくらい、幸せだった。

不幸だったけど幸せだった。

それがたとえ依存であったとしても、あなたがいつかいなくなる日の私が壊れてしまうということをわかっていても、"好き"という気持ちを抑えることができなかった。

偶像は、アイドルは永遠ではない。
そんなことはわかってる。
でも彼女は、彼女のグループは、長い活動期間の中で1秒くらいは永遠を感じさせてくれた。
たった1秒って思うかもしれないけど、アイドルを見つめながら、いつも心のどこかで「いつか終わってしまうんだ。」という不安を感じ続けるファンにとって永遠を感じさせてくれる瞬間はすごくすごく特別な経験なのである。


だから、余計に彼女への愛情を募らせていった。

こんなに人を好きになってしまったら、自分がおかしくなってしまうってわかっていても止めることができないの、本当に。

だから、彼女の心がなんとなくグループから離れていっているのを感じ取っても見ないフリをし続けていた。
ファンだから、たくさん見ていたから、どこにいても誰がいても真っ先に真っ直ぐに彼女を見つめていたから、些細な変化ですらすぐに気がつくけことができるけれど、その分あなたを愛しているから、最悪の事態が起こりそうな予感を必死でかき消していた。

でも嫌な予感は当たるもので、ある日突然なんの前触れもなく、いや、毎年年明けにセンター試験を受ける受験生のことを応援するブログをあげる彼女が、その年は何のアクションも起こさなかったことがそうだったのかもしれないけれど、いきなり卒業が発表された。

恐れていたことが起こったな、と最初に思った。
センター試験の自己採点を終え学校から帰る電車の中で。

世界から色と音が消えてゆくのを感じた。
白く光る液晶を映す私の目は限界まで開かれていて、口はありえないほど乾き、心臓の音が鼓膜を破りそうなほど大きく響き渡り、脳が破壊されるのを感じた。

私の"世界"私の"全て"が終わったのだ。

偶像を失うということは、その偶像を愛していた自分も失うということ。
つまり、生きながら偶像を愛した自分が死んでいくのを見つめ続けないといけないということ。

今だってきっと耐えられないけれど、当時高校3年生だった私にはとてもじゃないけれど受け止め切れるものではなかったと思う。
生半可な、そこらへんの"好き"じゃなかった。
可愛いから"好き"とか、コンセプトが"好き"とか、インスタがオシャレだから"好き"とか、歌が上手いから"好き"とか、そんな"好き"ではなくて、それらを超越した先にある"好き"だった。

なんで好きなのか何が好きなのかわからない。
もちろん可愛いところとか歌が上手いところとか一生懸命なところももちろん好きだけど、そんな理由付けがなくても好きだった、心の真ん中から湧き上がる好きだった。説明できない。

本当に好きだった。みんなが思っているよりずっと、同じグループの他の子が好きな人や、グループのファンじゃない、エンタメとして彼女のことを消費しようとする人が、軽率に彼女の名前を口にするとイライラしてしまうくらいには好きで盲目的で独占的な愛だった。

きっとずっと間違えていたと思う、本当に。
間違えていたのはわかっていたけど、でも修正することなんてできなくて、あとで酷く傷つくって、自分が壊れてしまうってわかっていても、そう簡単に好きという気持ちなんて止められなくて、そういうジレンマを感じながらも、自分の心にも彼女に対しても盲目的なまま、心を燃やしていた。


彼女がいなくなったあの日、私の心は完全に燃え尽き、灰になった。焼けこげた心の匂いが鼻を劈き、涙は枯れ、絶望だけが残った。

絶望しつつも、彼女の代わりを探そうと奔走したけれど、何年経っても、彼女ほど魅力を感じる人はいないし、彼女ほど胸を高鳴らせてくれる人はいないし、彼女ほど好きになれる人はいない。

もしかしたら、「本気で好き」という感情は人生で1回しか使えないのかもしれないと思った。
もしそうなら、私の大事な1回限りの好きを彼女に全部使うことができてよかったなと思う。

彼女がいなくなって傷ついたこともあったし、息ができなくなるくらい苦しい日もあったし、1週間ご飯が食べられずに5kg痩せたこともあったし、5年経った今でも夜な夜な彼女のことを思って枕を濡らしているけれどでも、好きになったことを後悔したことなんて一度もなく、もし私が死んで生まれ変わっても、同じ結末になるとわかっていても、もう一度出会いたいと思えるくらい素敵な人だった。

恋ではないと思うけど、盲目で、てか目以外もバグっているのは理解しているけど本当にもう一度出会いたいし今度また1から出会えるなら、もっともっと早く彼女に出会いたい、もっと早く好きになりたいって思っている。

世界には可愛い人や綺麗な人美しい人、いろんな魅力的な人がもっともっといるのはわかっているけれど、私は彼女が世界で1番素敵に見えます、冗談抜きで。



みんなは、世界で1番好きな人はいますか?
その人は偶像ですか?それとも身の回りの人ですか?その人のことをどのくらい好きですか?
世界で1番愛していますか?好きになったら取り返しがつかないってことがわかっていても好きですか?もしそうならいつかそれを失った時一緒に溺れましょう、こちら側で待っています。

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