ご挨拶 ~鉄道ひとり旅にハマった私~
鉄道ひとり旅が大好きです。
女ひとり、あちこちの鉄道を訪問してきました。
ここでは旅の思い出を綴っていきたいと思います。
何年も前の記憶を整理しながらになってしまうので曖昧な部分も多くなってしまいますが、憤らずにお付き合いいただけますと幸せでございます。
これは記念すべき最初の記事なので、そもそもの話なども書いてみたいと思います。
私は大人になるまで、鉄道に興味なんて持ったこともありませんでした。
すべてのはじまりは本屋さんでした。
牛山隆信さんの著書「秘境駅へ行こう!」を、なんとなく手に取ってみたのです。パラパラとページをめくってみたところ興味を惹かれたので購入。
もともと身近に鉄道マニアの方が何人かいて、面白そうな鉄道話を聞かせてもらうことがあったのでそんな本を読んでみようと思ったわけですが……読み始めるとあまりに面白かったのです。
一気に夢中になってしまいました。
未知の路線の話は単純に興味深かったし、なによりも牛山さんの秘境駅の旅に哲学やロマンを感じました。
なんにもない駅に、ただひとりぼっちになりに行くだけの旅だなんて!
この人は鉄道マニアのふりをした冒険家のふりをした芸術家なのではないか?
私は牛山さんのことを心の中で勝手に「師匠」と呼び始めました。
なんの師匠かっていうと……ちょっとわかりません。
わからないけど、とにかく師匠、尊敬すべき、見習うべき、偉大ななにかです。
感動を伝えたいあまり、なんの罪もない友人を捕まえては牛山さんの素晴らしさを一方的に語りまくりました。心優しい友人たちは聞いているふりをしてくれましたけど、それでも心のドキドキはどうしてもおさまりません。
なんの師匠かはわからないけれど、こんな生き方ができたら人生はどれだけ豊かになるだろう? 日ごとに牛山さんへの憧れが止まらなくなります。
友人たちに語れども語れども、私の心は満足できません。ときめきは増す一方です。
臨時駅? どこにも行けない駅?
一日に列車が数本しか停まらない駅だとか、下車しても森が広がっているだけの駅だとか、海の真ん前の絶景駅だとか、なんなのそれは。
そんなものを知ってしまったら行きたくなるに決まっています。
行きたい。もう自分で行かないとこのドキドキのおさめどころがない。
私はグルメや買い物にさほど興味がありません。
映画館もテーマパークも行けば楽しいけれど、万人に均等に興奮を与えるものについてそれほど夢中になれたことがありませんでした。
たぶん私は「予定調和」と「人がいっぱいいる騒々しい場所」が苦手なのです。おしゃれなカフェにお茶をしに行っても、店内のBGMの大きさに落ち着かない気持ちになることも多いです。
友達は少ないけれど、ひとりでも別に不安になりません。
わりとひとりでどこまでも楽しめるタイプというか、ひとりになると本気を出せるタイプです。
もしかしたら私の遊園地は秘境駅なのかもしれない。
自分は秘境駅に向いてる気がする。
毎日寝る前に牛山さんの本を読み返してはそわそわし、ついに決意を固めます。
私もこんな景色を見に行きたい。
「なんにもない駅」に降りたってみたい。
行ってみよう。
自分で時刻表や路線図と向き合って計画を立て、自分の足で駅に降りたってみよう。
こうして私はついに、青春18きっぷを握りしめて初めての秘境駅へと旅立ちます。