姑獲鳥の夏 京極夏彦
この夏、いやあまりにも超大作過ぎて秋にまでかかってしまった読了。
この本に出会えたことを私は忘れない。
「姑獲鳥の夏」
京極夏彦のデビュー作にしてベストセラーのこの本はその量も内容も超大作である。
京極堂を主人公とする百鬼夜行シリーズの幕開けであり、その産声は鮮烈なものであった。
舞台は戦後の東京で、関口巽の一人称で物語は始まる。
陰陽師であり本屋の京極堂秋彦、その妹の中禅寺敦子、探偵の榎木津 礼二郎、刑事の木場修太郎といった個性的な面々が主要な登場キャラクターである。
産婦人科である久遠寺医院で起こる起こった不可解な失踪事件と長い間妊娠している妊婦。
脳の科学、怪異、心霊現象、様々な話題が本の中(主に京極堂)で語られ、不可解な現実を目の前にして、果たしてこれは本当に推理小説か疑いたくなるが、それを見事に現実に引き戻して、全てを推理のロジックに載せて収束させている。
これは文学というより芸術に近い技巧である。
しっかり推理小説である、怪異モノでもある本作を読んだことを私は忘れない。
いや、記憶を消してもう一度読みたい。
そう思える本である。
気になった方はぜひ手に取って読んでみてほしい。
きっと驚くであろう。
姑獲鳥の夏
京極夏彦
講談社文庫
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