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育児記録(生後1カ月~生後2カ月)


 第一子を出産して1カ月が過ぎた。
 新生児期を脱して寂しいような、成長が嬉しいような1カ月である。


12月16日(生後1カ月5日)~12月22日(生後1カ月11日)

 21日のお宮参りを前に、私が体調を崩した。
 なんとか回復に努めたものの本調子ではなく、確実にお宮参り後は寝込むだろうなあという予感があった。

 正直延期したかったが、お宮参りには両家の親も呼んでいる。
 いまさら変更も言い出せず、朝から夫婦ともどもバタバタと準備して出発した。

 神社で合流し、まずご祈祷を受ける。
 ちょうど授乳時間が近づくタイミングになってしまったのでヒヤヒヤしたが、赤ん坊はほとんど寝ていてくれてホッとした。

 しかし続く写真撮影のセッティング中に、いよいよぐずり始める。
 ただ、満腹になって寝てしまうよりは空腹ででも目が開いているほうがよいとのことで、そのまま撮影に臨むこととなった。

 スタッフがものすごい勢いで鳴子を鳴らして気を惹いてくれようとするのだが、赤ん坊にはまったく効かない。

 むしろ「うるさいなぁ」という顔で目を閉じ、寝てしまった。そのまま頑として目を開けない。
 30分以上粘ったと思うが、目を開けたカットは2枚(赤ん坊単体1枚と家族写真1枚)しか撮れなかった。

 眺めていた私は、これは直母拒否のときの狸寝入りと同じ顔だな~と苦笑い。

 どうやら我が子は、「ここはじぶんが自由に動ける場所ではない」と感じると、寝てやり過ごそうとする特性があるように思う。
 おそらく、ストレスに対するスルースキルが「寝る」なのだ。

 ふつうならギャン泣きしそうな状況で堂々と寝続けられるのだから、その肝の太さには脱帽である。
 頑固といえば頑固だが、じぶんの芯を持つという意味では、このまま成長していってほしいとも思う。

 撮影後はいよいよ空腹で泣き始めたので、神社の待合室で授乳した。

 明治のらくらくミルク(缶入りの液体ミルクで、専用アタッチメントを取り付けるとそのまま飲ませられる)を持って行っていたのだが、アタッチメントがまったくはまらない。 
 どう四苦八苦しても入らないので、あきらめて哺乳瓶に移してから授乳した。

 私はというと、このころ激しい足元の冷えに襲われていた。

 もともと格好がフォーマルなワンピース1枚だったので、防寒対策をしなければ確実に凍えることはわかっていた。

 このため、足元はストッキングに見えるタイツ(80デニール)、その上からストッキング重ね履き、腰にはスパッツタイプの骨盤ベルトに毛糸のパンツ、ホッカイロとできる限りの装備をしていた。

 にも関わらず、そして大して風のある日でなかったにも関わらず、足先から太ももまで冷えっ冷えになったのである。

 どうも産後の筋力不足と貧血で、いつもの冷え性が悪化しているらしい。
 これはまずいなぁと思いつつ、まだ両家での会食が残っていたためホテルへと移動した。

 暖房の効いた室内に入っても足はさほど温まらず、解散後はお手洗いへ直行。しっかりお腹を下してしまった。

 これは冷えからくる下痢だなと手持ちの下痢止めと整腸剤を服用したが、収まる気配はない。
 帰宅してからもトイレへ走り、うめき声とともに悶絶するほどの下痢に見舞われた。

 ふらふらになりながらトイレを出たが、夫は夫で疲れの残るなか、赤ん坊の世話をしてくれている。
 そのうえで荷物の片づけや私の体調不良の対応もしてくれたのだから、それは大変だったことと思う。

 体調は夜になるにつれて悪化し、悪寒・ふらつき・吐き気とお腹のゴロゴロ感でげっそり痩せ果てる心地だった。
 おそらく点滴をすればかなりよくなるのではないかと思われたが、なにせ土曜日の夜である。ふつうの医者は開いていないし、一人で救急まで駆け込める気もしない。

 かといって、赤ん坊を放置して夫に付き添いを頼むこともできない。
 救急車を呼ぶほどでもないだろうということで、ちびちびポカリを飲みながら様子をみることにした。

 おかげで翌朝には小康状態となり、救急へ担ぎ込まれる事態は免れた。

 この日は近くに住む子持ちの同僚を自宅へ招く予定にしていたのだが、私がこんな状態では到底おもてなしなどできない。
 大変申し訳なかったが、前夜の段階でキャンセルさせてもらうことにした。

 そんなこんなで、お宮参り後はしっかり寝込むというフラグ回収を果たすことになったのだった。


12月23日(生後1カ月12日)~12月29日(生後1カ月18日)

 23日、市の保健師による訪問面談を受ける。
 体調はなんとか回復をみせ、夫とともに保健師を出迎えた。

 めずらしく若い男性の保健師だったが、実にていねいに対応をしてくれた。
 赤ん坊の身体測定から視覚・聴覚・手指の反応検査に股関節チェックと全身をよく診てくれ、母親である私の心身状態も気にかけてくれる。

 こちらの疑問点にも詳しい説明をしてくれ、体調不良時のフローチャートや離乳食講座の案内など、これから役立ちそうな資料をいろいろくれた。

 正直、病院の1カ月健診よりもよほど充実していたなぁという印象である。来てもらえて大変ありがたかった。

 24日はクリスマスイブである。
 シチューくらいは作れないかなぁと思ったが、やはり台所に立てるほどの体力はなかった。
 夫がスーパーでチキンを買ってきてくれ、予約していたケーキとともにささやかなクリスマス祝いをした。

 去年までのようにディナーを外食したり、どこかに遊びに行ったりはできなかったが、思ったほど残念な気持ちにはならなかった。
 体調が思わしくないせいもあっただろうが、「まあいいか」という感じだったのである。
 むしろ来年以降、子どものためになにか作ったりしてあげられたらなあと思った。

 25日、赤ん坊にプレゼントをあげる。
 手や足で触れると吊り下げたおもちゃが鳴る、小さなメリーである。

 鳴らしてあげると目で追う素振りを見せ、偶然ではあろうが手でおもちゃに触れてみたりもする。
 確実に外界に対する反応が成長してきており、夫と喜んだ。

 また、夫と私も互いにプレゼント交換をする。
 11月も後半になったら買いに行くのは無理だろうと、初旬のうちにさっさと購入しておいてよかった。
 まさかそのあと入院騒ぎになるとは思ってもみなかったが、早めに買っていたおかげで手ぶらの事態を防ぐことができた。

 27日は、先日キャンセルした同僚を自宅に招いた。
 同僚も出産して1年ほど経った人なので、ちょうど子どもが同年代としていろいろな話を聴くことができてよかった。
 子どもができると、これまでとは異なる人間関係が広がってゆくものだと実感している。

 赤ん坊は、ここまでに体重が4.3kgほどまで増加。
 順調に……というか、若干急激に増えすぎか? と思うほど大きくなった。
 現時点で助産師や保健師には指摘されなかったが、今後もこのペースで増え続けるようなら少し栄養過多ということになるらしい。

 ミルクは目安量通りの分量しか飲んでいないのだが、太りやすい体質なのだろうか(私も夫も痩せ型なのに不思議である)。
 飲まないよりはいいのかもしれないが、乳児のうちから肥満にはならないよう気をつけていきたい。

 体の動きも増え、足をジタバタしては右向きからごろんと寝返りを打てそうなようすを見せる。
 実際にはまだ首がすわっていないので不可能だが、なんとなく早めに寝返りまで行きつくのではないかという予感がした。

 また、追視や聴覚の反応も確実に精度がよくなっている。

 まだ絵本がないので、代わりに手持ちの絵入り本(星野道夫の写真集など)を見せてみると、じーっと眺めている。
 実際には完全に見えているわけではないだろうが、絵や色があることはわかっているようすだ。

 聴覚も、おもちゃを鳴らしたときなど明らかに反応としている。
 私や夫が手を叩きながら呼びかけると、こちらを向いてくれる場面も出てきた。

 さらに、だんだんクーイングと思われる発声も始まった。
 これまでの動物じみた鳴き声とは明らかに異なる、「あうぅ」「えう」といった「声」が喉から出ている。
 早く喃語やことばを喋り始めるところを見てみたいものである。

 一方で、寝ぐずりの頻度も増えてきた。
 新生児のころは「飲んだら寝る」という感じで、夜も10時を過ぎればスコンと寝ていた。

 しかし起きていられる時間が徐々に長くなり、午後~夕方にかけてもぐずる日が増えてきた。
 夜も、早めから寝室に連れていって一人にすると泣いてしまう。

 そのため、あえて夫婦の夕食が終わったころ(20時~20時半)までリビングで過ごし、その後寝室へ連れていくようにした。
 それでも「一人で過ごすことが寂しい」「暗闇が怖い」ことに気づいてきたのか、とにかく寝室で暗くすると泣いてしまう。

 添い寝必須となり、私は午後10時までには風呂や身支度をすべて終えて赤ん坊に付き添わなくてはいけなくなった。

 それでもいったん寝つけば夜は2~3時間ごとにまとめて寝てくれるし、昼間も延々何時間もぐずっているわけではない。
 SNSなどで見聞きする「まったく寝ない」子ではないと思うので、ありがたやと思いつつ過ごしている。

 このように、生後1カ月を過ぎたころから少しずつ心身の発達がはっきりしてきた。

 新生児のときは寝ているか泣いているか、もしくは反射的な手足の動きくらいしか反応がみられなかったので、目に見えて成長が実感できると感慨深かった。


12月30日(生後1カ月19日)~2025年1月5日(生後1カ月25日)

 30日の午後、急に3回ほど連続でまとまった量のミルクを吐き戻す。
 ミルクの飲みぶりも思わしくなく、ぐずりも多いのでなにか病気ではないかと心配した。

 が、年末なのですでに医者は閉まっている。
 そこでこども医療電話相談#8000(休日・夜間に医療相談に乗ってくれる都道府県の電話窓口)にかけてみたのだが、まったく繋がらない。

 どうやら年末で混み合っているようだ。
 何度かけても繋がらず、しょうがなく市の小児夜間救急に電話してみる。
 すると月齢が低すぎるためこちらでは診られないと言われ、本日救急当番をしている国立病院へ電話するよう指示された。
 

 そこで国立病院に電話すると、なんと現在救急窓口は3時間待ちらしい。
 いちど#8000に相談し、医療機関を受診するよう指示されたら再度こちらへ電話するようにと言われ、振り出しに戻ってしまった。
(すでに#8000に電話したことを伝えたが、根気強くかけてみてくれと言われた)

 年末なのでみんなが救急に殺到しているのだろうが、これではまったく何のための窓口だかわからない。
 人員の問題はあるだろうけれども、年末年始は急患の増加を見越して#8000の配置を増やすなど、もう少し対応があればよいのにと思った。

 ちなみに結局、我が子の吐き戻しはこの3回のみで終わった。
 翌朝には通常モードに戻ったので、救急に駆け込む事態にはならずに済んだ。
 なにせ初めての育児でどこからが病気なのか判断もつかず、年末にヒヤヒヤした出来事である。

 そして私はというと、年末のこうしたゴタゴタのせいで再び発熱した。
 このため31日はまた養生に費やし、紅白もゆく年くる年もほとんど見ずにさっさと寝た。

 元日はなんとか体調が持ち直し、無事に正月を迎えることができた。
 頼んだおせちを夫と囲み、赤ん坊にも見せる。赤ん坊は当然食べたりなどできないが、家族三人で初正月を迎えられてよかったねえと言い合う。

 両家の親(赤ん坊にとっての祖父母)や親戚からはさっそくお年玉をもらい、赤ん坊用の銀行口座を作って貯めてあげないとなと話をした。

 いまだに赤ん坊が家族に加わったことに対しては不思議な感じがするものの、赤ん坊が加わっただけでイベントが華やぐように思える気持ちもある。
 今後も、年中行事を赤ん坊とともに新たな気持ちで迎えていきたいものである。

 5日にはLINE通話を通じて、4歳の義姪と赤ん坊を対面させる。
 義姪は赤ん坊に会いたがっていたようで、対面するとはにかみながらも「かわいい」と言ってくれた。
 また会える機会があったら、遊んであげてほしいものである。

 このあたりで、赤ん坊はおむつのサイズ問題が出てくる。
 体が成長してきたせいか、これまで使っていた新生児用サイズのおむつではやたらと尿漏れするようになったのである。

 ほぼ毎回股から尿漏れし、服までびしょびしょになるので、毎度毎度着替えと洗濯が発生した。
 あまりの頻度に、夫とともに「もうやってられん!」と叫んだほどである。

 しかし次のSサイズおむつはまだ少し大きく、股のあたりがぶかぶかになってしまう。

 苦肉の策として、

①尿漏れする右足のギャザー部分に大人用マスクの紐をゆるく巻き、ゴム止め代わりにする
②両足のギャザー部分を覆う帯のように、おむつの内側にキッチンペーパーをぐるっと巻く
③布おむつ用のおむつカバーを買ってみる

 などしてみたが、どれも撃沈。

 結局、もっとも効果があったのは、新生児サイズのおむつの上からSサイズのおむつを重ね履きさせることだった。

 多少蒸れておむつかぶれ気味にはなったが、冬だったのと、我が子の肌がそれほど敏感でなかったために大ごとにはならなかった。

 また、1週間ほどしたらSサイズおむつもちょうどよくなったので、重ね履き期間はそれほど長くならずに終了した。

 が、たぶん今後も、サイズの過渡期にあたる月齢・体格のところでは同じ悩みが出てくると予想される。
 夏だと重ね履きはさせづらいし、その都度対応策を考えるしかないのだろう。


1月6日(生後1カ月26日)~1月12日(生後2カ月2日)

 私は年明け早々排尿痛と残尿感が復活し、またまた内科へ駆け込む。
 案の定、尿検査で菌が出たので、また抗生物質を処方される。

 妊娠してからこちら、すでに4回くらい膀胱炎になっている気がする。
 妊娠・出産するといろいろ抵抗力が下がったりして、ふだんなら大したことがない菌でも容易に感染してしまうのだろうと実感する。

 なお、抗生物質の服用中は授乳をやめているため、これまで赤ん坊はしょっちゅう断乳させられている状態である。

 これでは余計に直母など飲まなくなるだろうなあと思いつつ、だんだん諦めの境地にも至ってきた。
 もう、与えられるときに搾乳してあげるしかないよなあ……という気持ちである。

 それでも年明けあたりから、徐々に体調不良の頻度が減ってきた。

 散歩に出ても寝込むまではいかないor発熱してもすぐ下がる程度になってきたし、多少は料理もつくれるようになってきた。

「今日は発熱してない!」と喜ぶのもおかしな話だが、産後すぐにひたすら発熱していた日々から考えると確かに進歩している。
 春になるまでには、完全に発熱しない体となりたいものである。

 10日、生後2カ月を迎える。
 マンスリーカードを使って写真撮影し、夫と成長を喜び合う。

 生後2カ月になる少し前から、赤ん坊は徐々に指しゃぶりが始まった。

 最初はなんとなく空腹時にこぶしをチュパっとする程度だったのだが、2カ月を過ぎると起きているときにも長くチュパチュパするようになった。

 指だけを咥えていることもあるし、なんとなくじぶんの手を見つめている(?)ようなしぐさを見せるときもある。

 どうやら噂の「ハンドリガード」が始まったようだ。
 このころからようやくじぶんの手を認識するようになるとは、不思議でおもしろいものである。それまでは手を何だと思っていたのだろう。

 また、クーイングの頻度も増え、「あうぅ」「えう」の発音がはっきりしてきた。
 「おあうぅ」のように長い音を出し、本人の認識としては「喋っている」つもりなのだろうなあと思えるときも出てきた。
 これからも、どう発声・発話が進化していくのか楽しみである。

 また、目も実はバッチリすべて見えているのでは? と疑ってしまう場面があった。

 夜、寝室のクローゼットの奥の暗闇をチラっと見て、「ヒャア!」とギャン泣きしてしまったときがある。

 また、ベビーベッドでなにかを探すようにキョロキョロしていたので、馴染みのミッフィーちゃんのぬいぐるみを置いたら「あ、ミッフィーちゃんだ」という顔で眺めていたこともある。

 こうした反応を見ると、「生後2カ月ごろの視力は0.1以下」なんて嘘で、目が見えているのではないかと思ってしまう。
 口がきけるのなら、赤ん坊に「実際どうなの?」と訊いてみたいものだ。

 夜泣きは相変わらず、というかだんだんぐずる時間が長くなってきてしまった。
 どうにも暗闇が苦手で、怖いか不安かになるらしい。

 このため、育児書などには「寝室は暗くしましょう」と書かれているが、常夜灯をつけて寝させてみることにした。

 すると、相変わらず寝つくまでにぐずりはするものの、添い寝はせずとも眠ってくれるようになった。
 心なしか、夜間に1回あたり眠る時間も長くなった気がする。

 このまま落ち着いて、なるべく長く眠れるようになってほしいものである。

 このように、生後2カ月までではっきり成長の見えるときが増えてきた。
 今後もどういった変化があるのか、楽しみに観察していきたい。


 ↓前回の育児記録はこちら


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