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【能登半島地震を乗り越えた女性防災士が語る】スーパー閉鎖に病院統合、公共料金の値上げなど、過疎地の現状を紹介します
奥能登などの過疎地域では人口減少と高齢化が進み、地域社会にさまざまな問題が浮き彫りになっています。スーパー閉鎖に空き家の増加、病院統合、インフラ維持の困難など、生活基盤に関わる課題が日々深刻化しています。それぞれの問題を詳しく見ていきましょう。
空き家問題
空き家問題とは、居住者がいないまま長く放置された家屋によって引き起こされる問題です。具体的には、景観の悪化、衛生上の問題、さらには建物の倒壊や犯罪に利用されるリスクといった安全面での懸念があります。しかし、空き家は私有財産であるため、行政や地域住民が勝手に処分できず、対策が進みにくい現状があります。
近年、一部の自治体では地方移住を促進する取り組みが進んでおり、空き家の再利用や移住者向けの支援策を導入していますが、依然として人口は都市部への一極集中が続いており、地方の空き家活用は限定的です。過疎地域での空き家問題は、地域の存続そのものを危うくする大きな課題となっています。
医療問題
過疎地域では、医師の高齢化や医師不足が深刻で、医療サービスが十分に行き届かない現状が続いています。奥能登地域でも病院統合が問題となっていて、地域住民が医療サービスを受けるために遠くの病院へ行かざるを得なくなっています。
医療格差は少子高齢化に伴い、都市部と地方部で拡大しており、地方の過疎地に住む人々の健康と生活の質に大きな影響を与えています。
インフラ維持の困難
過疎地域において、インフラの維持も大きな問題です。高齢化によって貯水槽や水道施設の老朽化が進み、手入れが行き届かない状況が続いています。さらに、水源の枯渇などにより生活用水の確保が難しくなっている地域もありますが、財源の乏しい自治体では、インフラ整備に必要な資金を捻出するのは容易ではありません。
インフラの整備は人口が集中している都市部に優先される傾向があり、過疎地では水道管や道路の修繕が後回しにされることが多いです。この結果、生活環境が不安定となり、さらなる人口流出を招く悪循環が生まれています。
食料自給率の低下
多くの過疎地域では農業、林業、漁業などの一次産業が主な生計手段ですが、高齢化によってこれらの産業を担う後継者が不足しています。そのため、耕作地が荒れたまま放置されることが増え、土地の利用ができなくなる問題が発生しています。また、山林の管理がされないことで、土壌流出や水質の悪化が起こり、海にも悪影響を及ぼす可能性があります。
農業・林業・漁業を担う人が減少することで、国内での食料自給率も低下していく懸念があります。特に過疎地域においては、自給自足の仕組みが弱まり、外部に依存する傾向が強まっているのです。
未来に向けた挑戦と希望
過疎地域が直面している問題は多岐にわたりますが、地域の魅力を再評価し、外部からの支援を得て再生を図る取り組みも少しずつ始まっています。空き家を活用した移住促進や地域資源を活かした観光業の振興、医療サービスの強化など、地域を活性化するための施策が各地で進行中です。
過疎地が持つ豊かな自然や伝統文化は、現代社会において貴重な価値を提供するものです。これらの魅力を活かし、新たな人の流れを生み出すことで、地域に活力を取り戻すことは可能です。