映画『工作』今年観た中で最高に良かったかもしれない
まだ2024年は終わっていないけど、今年観た中で最高に良い作品かもしれないと思う映画を見た。
『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』
配信はU-NEXTやapple TVなどいろいろなところでやっているようで、私はAmazonプライムで観た。
実話をもとにしているともあって、緊迫感がただならなかった。映画の時代は90年代後半なので、私もリアルタイムで生きている。つい最近のこと。最後まで展開が分からず、どうなるのか?ハラハラしたし、これを映画にして、本当に大丈夫?リ所長は今、生きている?殺されていない?と勝手に心配にもなっている。
映画には一切エンタメ性がない。
出てくるのはおっさんばかりだし、韓国の男性俳優ってあまりイケメンを登用しないのかな?て思うくらい、画面がいまいちで。そういえば『シュリ』でも『半地下家族』でもそうだった。トニー・レオンのように見た目を引っ張ってくれる人たちが全然いない。なのに、引き込まれる。
暴力シーンは一切ないのに、これからどうなるのだろう?と殺されるのか?と常に緊迫感漂う。いや、これがエンタメ性なのか。
とにかく、イケメンも美人も名俳優も、アクションシーンもこれという見せ場がないのに、最初から最後までぐいぐい引っ張られる。韓国ってすごくないか?そして、政治的な権力闘争に北朝鮮の武力挑発を金で買っていたとか、映画でやるって韓国の監督、すごくないか…?
日本の映画で、こんなん、観たことないかも。『半地下家族』で数年前に一気にやられた私は、いやもう、韓国映画がすごいんやで!って思わされた感じだ。
映画について言えば、最後は感動、最初からラストシーンまで気になりっぱなしの展開。130分程度の映画は平日の夜時間だけでは観きれず、翌日に続きを見たのだが、一切飽きがなかった。
むしろ、今年観たもう一つの最高の映画『無名』のように、社会背景や真実をもっと知りたい。映画を観終わってもまだまだ私の中で映画が続いているのだ。
シーンを何度も見返した。
気になるシーンはいくつかあった。
1つは、主人公のスパイがキム・ジョンイル総書記に会う前に、船の中でヨン課長から銃を突きつけられる。自白剤を注射されて「工作員」と名乗っているのにもかかわらず、「上司は?」と聞かれて「上司はいない。スポンサー」と答えているために免れた。
2つ目は、核施設があると言われる山の近くの村を視察中、村の人々が飢えで路上でただ座っている姿、おそらく飢えで死んでしまった人たちの無数の死体。そして、同行した部長が「資料を渡す」と言い出す。それを盗聴していたリ所長により、部長はその後突然ウラジオストクへ飛ばされたという。
北朝鮮のピョンヤン以外の庶民の実態は脱北した人々の証言もあるけれど、こうしてスパイの人の実際に見たものをもとに映像で再現したものは貴重だ。また、どのように盗聴されていたのか、おそらくあのときに渡したバッヂだったのか。
そして、3つ目はリ所長が事実を知っていながらも新聞報道により明るみに出てしまったことを知った直後に、スパイを逃がしてくれたというシーン。
この3つは、あのスピード感で観ていてもなかなか理解できなかった。
おそらくまだ理解しきれていない箇所はたくさんある。
結局、黒金星もまた最初から韓国・北朝鮮の上層部同士はわかっていたことで、殺されなかったのは単に2国の上層部からテストされていただけなのかもしれない。
そして、北朝鮮の上層部もおそらくほとんどは、あの部長が言っていたことと同じようなことを考えているに違いない。
「キム氏父子のために市民が監獄に入れられている」と。本当に気の毒にしか思えなかった。
北朝鮮は結局、お金(外貨)がほしい。そのために国が動いている。別に武力挑発もしようと思ってしているのではなく、結局はお金欲しさのためにやっているだけだった。もしかしたら、日本に向けて発射されるミサイルも?日本政府が世論のために仕組んだものかもしれない…なんていろいろと妄想してしまうが、日本では韓国のように政権が変わらないので、前政権の闇が明るみにでない。映画などの作品にもならない。
ただ、本当に2024年は映画にハマった(今も進行中)。
『インファナルアフェア』
『シュリ』
『ラストシャンハイ』
『サイレントウォー』
『ラストエンペラー』(これ、いろいろ違和感あったけど40年ほど前の映画としては思えないくらいクオリティすごかった…)
『スパイの妻』
『サタデー・フィクション』
『パープル・バタフライ』
『シェルタリング・スカイ』
『スパイを愛した女たち』(これはドラマか)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』
さっきの『無名』と
『暗殺』
『イングリッシュ・ペイシェント』
『シャンハイ』
『パッセンジャーズ』
『崖上のスパイ』
『上海グランド』
20世紀前半をテーマにした映画をメインにしばらく自由研究していきたい。『満州アヘンスクワッド』もマンガだが、すごい作品だ。
まだまだ映画を見ていきたいけど、いい映画見過ぎて