出品中のZINE/リトルプレス紹介【日本全国ZINE/リトルプレス博覧会】
「日本全国ZINE/リトルプレス博覧会」
【オフライン開催】2/22(木)〜3/10(日)
【オンライン開催】3/11(月)〜4/10(水)
出品中のZINE/リトルプレス紹介のご紹介です。
1.『アオネコの日常』久保田寛子(山口県)
「ほぼ日手帳」のカバーイラスト等を手掛けていらっしゃるイラストレーターの久保田寛子さんが描く、小さな青い猫の4コマ漫画集。 セリフのないサイレント4コマなので子供や海外の方も楽しめます。素敵なポストカード付き。作中では沢庵を月に見立てるアオネコが出てきましたが、ポストカードにはレモン月の雫で作ったレモンケーキが描かれています。素敵だなぁ。 それにしても作中の「目覚ましタイマー」、画期的すぎませんか!?
2.『INTERLUDE』Futaba.(北海道)
今回、北海道は地元枠ということで「自薦」あり。Futaba.さんと佐藤優子さんという二人のクリエイターが、企画段階から自ら参加を申し出て下さいました。
Futaba.さんは本の装画や雑誌の挿絵、星野リゾート オリジナルクラフトビールのラベルイラストなどを手掛けているイラストレーターさん。
『INTERLUDE』はFutaba.さんの美しいイラストによる画集です。
3.『たまたま ーたまたま苗字に「田」がつく人たちのオススメ本と解決したいコト』佐藤優子(北海道)
佐藤優子さんは札幌のウェブメディア等で活躍するライターさん。
『たまたま ーたまたま苗字に「田」がつく人たちのオススメ本と解決したいコト』は、タイトル通り、名字に「田」が付く20名の方々へのアンケートをまとめた1冊。面白い企画!
ご来場の「田」がつく名字の方はぜひ購入してください。
4.『ひつじがびより』深夜2時 (福岡県)
福岡にあるブックバー「ひつじが」のお客さんである「深夜2時」さんが、お店で出会った人たちとのあれこれを描いているこの作品。
特別な事件もロマンスもなく、いわゆる日常系マンガなのですが、とっても心地いい。ZINEを読んでいてお店の心地よさを感じるなんて不思議です。
店主のシモダヨウヘイさんのエッセイ集『酩酊読書』(最高のタイトル!)と『ひつじがの自我〜濾過版〜』もお取り扱いしています。
5.『辺地より』大門可画(佐賀県)
イラストレーター・漫画家の大門可画さんによる、半フィクションのコミックエッセイ。大門さんが生活する「辺地」での暮らしを描いた1冊です。
「こんなことがあって、こう感じた」という作者のエピソードはSNSでもたくさん発信されているけれど(大門さんも投稿されていらっしゃるけれど)、ちゃんと構成立てたマンガとして1冊にまとまっていると、読み手側にも間ができて、味わう余韻があるような気がします。
読後にとても満足感がありました。
6.『女装子毒子ちゃん』『短編漫画かいてみた』木林ききき(宮崎県)
こちらの2冊の作者・木林きききさんは、宮崎県の牛農家さん。牧場での作業中に「女装子毒子ちゃん」というフレーズが頭に浮かんで、四コママンガを描き始めたんですって。
『女装子毒子ちゃん』は女装が趣味な男子高校生のお話。女装子ちゃんを中心にどんどんキャラクター同士が繋がり、物語が広がっていきます。
タイトルから予想されるようなジェンダー云々というよりは、色々な人がいて面白いよね、というニュアンスでキャラクターの多様性を描いていらっしゃいます。
最後のモケ子ちゃんのセリフは、どんな思いで言ったんだろう…。
『短編漫画かいてみた』は、木林さんが富士山に登ったり、屋久島に行ったり、湖畔キャンプを楽しんだりするコミックエッセイ。巻末のお話は不謹慎かもしれませんが、くすっと笑ってしまいました。
木林さんにお会いしたことはないけれど、なんとなく穏やかな人柄が見えるような1冊です。
7.『モチモノガタリ』トモモ舎(兵庫県)
神戸在住でインテリア・住宅関係のお仕事をされていらっしゃる トモモ舎 トム子さんが、お気に入りの持ち物について語った1冊。
イラストがメインで構成されているので、ページをめくるたびにワクワクします。好きな物に囲まれて暮らしている人って素敵。そして絵や写真で記録することで、さらに愛着がわくのかもしれません。
8.『オタクのポーチの中身』7巻セット らが(Rappy)(鹿児島県)
デザイナーのらがさんが全国各地にいるご友人の方々に取材してまとめた「ポーチの中身」のZINE。こちらもきれいなイラストと文章で紹介されています。
タイトルに「オタクの」と付いてはいますが、持ち物だけを見ているとまるで女性誌のようなラインナップ。皆さん結構ネットでバズったコスメを使っていらっしゃる。ページの下に「◯年に初同人誌発行」など、持ち主の「オタク遍歴」がちゃんと書かれているのが良き!
9.『まばら本』vol.1〜3/ワールドリー・デザイン(富山県)
今回のイベントでは100冊以上のZINEとリトルプレスが集結していますが、その中でも特に装丁が愛おしいシリーズがこちら。
ワールドリー・デザインさんは、富山県のデザイン会社。
シリーズ3冊とも、やわらかくて独特な色みのリソグラフ印刷の表紙カバーが巻かれています。印刷はふたてま舎さんという、これまた富山にある印刷工房さんが手掛けていらっしゃるとか。なんて素敵なんでしょう!
装丁の愛おしさだけで長文が書けそうですが…もちろん中のコンテンツも「さすがプロ」という完成度の高さ&面白さです。
クオリティはとても高いのだけれど、その根本には自由があって、好きなことを好きなように作っているところが、いい意味で「ZINEだなぁ」と感じる1冊。
vol.1とvol.2がフルカラー48ページで400円、vol.3がフルカラー52ページで500円と、目を疑いたくなるような金額(このクオリティでお求めやすすぎやしませんか)ですので、ぜひ3冊まとめ買いをおすすめします。
10.『暮らしのおいしいものイラスト帖』北裕美(広島県)
ライター&イラストレーターの北裕美さんが日々の暮らしで見つけた美味しいもののイラストと、それにまつわるエッセイが掲載された1冊。
パン、パフェ、野菜、定食、おせち、お弁当…
写真よりも絵に描かれたものの方が俄然美味しそうに見えるのはなぜでしょう。想像力がかきたてられるから?
それとも味わった本人が一筆一筆思いを込めて描いたものだから?
おすすめの読み方
①まずは最初から最後までイラストをじっくり見てみましょう。
どんどんお腹が減ってきます。
②次にまた最初のページに戻って、お腹をぐーぐー鳴らしながらじっくりエッセイを読みましょう。その後に食べる食事は、どんなものもいつもより美味しく感じられます。
11.『群馬のラーメン 県内210店舗レビューと小話2つ』群馬のラーメン(群馬県)
13年の間に食べた群馬県内210店舗のラーメンの感想が書かれたZINE。
とにかく情報量がすごい…!県内数々のラーメンを食べ歩いてきた著者の軌跡がそのまま記録されています。
巻末の「ラーメンの解像度が上がるtips」がとても参考になりました。ラーメン好きにとっては常識なのかもしれませんが、知らないことだらけでした。ワシワシという食感…!?(硬め太めのちぢれ麺の食感で使われる表現だとか)
本書によれば、ご当地ラーメンのない群馬では全国の文化をうまく取り入れ混ぜ合わて、とても盛り上がっているそう。
群馬にラーメンを食べに行きたい。
12.『おかずZineスペシャル』ヒライユミコ(大分県)
15歳からZINEを作り続けているという、生粋のジンスタ(※)ヒライユミコさんによるレシピ&メモ集。 ※ジンスタ(zinester)ジンを作る人のこと
2020年から2022年まで発行していたZINE全11号を収録。巻末の豪華ゲストとの往復書簡は、LINEのやり取りや手描きのハガキがそのまま掲載されているのがとてもいい!
ZINEらしい自由さと、1990年〜2000年初頭によく見られたサブカル系雑誌のような盛り盛り感がたまりません。家にあるお母さんの料理ノートと日記を覗き見しているような感覚もあり、欄外の副音声的つっこみも最高です。
13.『くわっちーさびら』堀田めぐみ(沖縄県)
沖縄の食がテーマの本。くわっちーさびらは沖縄の方言で「いただきます」という意味だとか。編集長のエイドリアンさんがTwitterで声をかけて集まった、総勢8名のメンバーによって制作された1冊です。
沖縄料理の写真がたくさん掲載されていますが、観光ガイドブックとは違って見たことがないものばかり。大変興味をそそられます。ソーキやピータン島豆腐など、沖縄料理のレシピも掲載。「にんじんしりしり」って沖縄料理だったんですね…知らなかった!
調べてみたら「しりしり」は沖縄の方言で「すりすり」(すりおろす動作)のことでした。
14.『名古屋渋ビル手帖』『鳥取渋ビル手帖』名古屋渋ビル研究会(愛知県)
建築家の謡口さん とグラフィックデザイナーの寺嶋さんという、最強のコンビ「名古屋渋ビル研究会」が手がける、渋いビル=渋ビルへの愛があふれたZINE。全国的な有名ZINEにも関わらず、北海道ではお取り扱い店舗がないので、今回はぜひともお呼びしたかった…!
渋いビル好きは、きっとこのZINEを抱きしめたくなるでしょうし、渋いビルに興味がなかった人は、読んだその日から街に出たら渋いビルを探してキョロキョロするようになるでしょう。
渋ビルにちなんだレシピや、ちょっと専門的なコラムも面白い〜。
今回北海道に並んだラインナップはこちら
・名古屋渋ビル手帖 創刊号
・名古屋渋ビル手帖 第2号
・名古屋渋ビル手帖 中産連ビル特集号
・名古屋渋ビル手帖 ビルと喫茶店特集号
・名古屋渋ビル手帖 第3号
・名古屋渋ビル手帖 中日ビル特集号
・愛知渋ビル手帖
・名古屋渋ビル手帖 第4号 西部偵察編
・愛知渋ビル手帖2
・名古屋渋ビル手帖 第5号 中央ナゴヤ編
名古屋渋ビル研究会メンバーの謡口さんの故郷、鳥取の渋ビルを特集した唯一の県外版。
15.『喫茶若草山マッチ箱入りZINE』『ならばんし』サトリデザイン(奈良県)
制作しているのは奈良を拠点に活動するサトリデザインさん。
「喫茶若草山」という架空の純喫茶のマッチ箱にZINEが収納されています。
本物のマッチ箱とまったく同じ仕様なので、マッチ棒を入れれば普通のマッチとして使うこともできるんです。
素敵!
ZINEに掲載されている西村友宏さんの喫茶店4コマ、私も単行本で読みたい…
こちらはZINEではなく、奈良をモチーフにデザインされたわら半紙=「ならばんし」。
インクが染み込んだやわらかいわら半紙の質感が、味わい深くてかわいい。
185mm四方と、折り紙より少し大きめのサイズで色々な用途に使えそうです。
便箋、ラッピングペーパー、敷き紙、ポチ袋、封筒…
何に使おうかな〜と考えるのも楽しいし、単純に紙モノはコレクションしたくなりますよね。
今回北海道に上陸した柄は
・柿の葉寿司
・おかっぱ桜(鹿が花を食べておかっぱ頭のように切り揃えられた奈良公園のしだれ桜の愛称)
・金魚(奈良の隣、大和郡山市は金魚のまちとして有名)
の3種です。
16.『いぐべ!山形』『いぐべ!山形 一筆箋』『山形マスキングテープ』竹永絵里(山形県)
イラストレーターの竹永絵里さんによる、山形の食や伝統工芸、観光、文化が紹介されたガイドブック。イラストがふんだんに使われていて、絵本のようなかわいい1冊です。
ZINEは誰かに自分の住む地域を紹介するのにちょうどいいんですね。観光ガイドブックともパンフレットとも違う、子どもから大人まで楽しく読むことができるもの。英訳をつければ海外の人にも喜んでもらえそう。
ZINEと一緒にご当地マスキングテープと一筆箋も販売しています。芋煮が描かれたマスキングテープって唯一じゃないかしら…?可愛すぎる!
17.『YOUNiiiiQ Vol.01 いま、歩いてほしいまち森合』YOUNiiiiQ(福島県)
福島のウェブマガジン「YOUNiiiiQ」の出版プロジェクト。2022年11月に発売されたVOL.00に続き、2023年11月に発売されたばかりのVOL.01が、北海道に上陸してくれました。
20代の男女4名で結成されたという「YOUNiiiiQ」。若者ならではの目線で、とても「キャッチー」かつ「丁寧」に(ここが相反することが多いので強調)、福島の素敵なお店やスポットが紹介されています。
18.『Be a Local in Hirosaki』Aomori & You(青森県)
こちらも20代の若者で結成された、青森の魅力発信メディア「Aomori & You」制作のZINE。飲食店や雑貨店など13軒のお店について丁寧に取材された記事が収録されています。
虹のマート、行ってみたい…!
2種類の付録がついていて、ひとつは手漉きで作った紙に活版印刷でプリントされた♡型のしおり。もうひとつは弘前の風景のフィルム。こちらもしおりとしてご使用頂けます。フィルムしおり素敵。
19.『yukariRo』『鰰 本隊接岸〜ハタハタフィーバーの謎を追う|新装増補版』『ローカルメディア列島リレー』yukariRo編集部(秋田県)
秋田生まれ秋田在住のカメラマン高橋さんと、長野生まれ秋田在住の編集ライター三谷さんのお二人から成る「yukariRo編集部」にて制作されていらっしゃるリトルプレス。
今回は02号と03号をお取り扱いしています。もうとにかく情報量がすごい!地元についてここまで掘り下げられる編集力に脱帽です。とてもできる気がしません。普通の情報誌だと削ぎ落とせざるを得ないことも全部載せるぞ、という気迫を感じます。
そしてその掘り下げ力が存分に発揮されているのが、こちらの1冊。『yukariRo』の創刊準備号を新装増補版として復刊したものとのこと。これを読むだけでハタハタと秋田の人たちについて、すっかり詳しくなれます。そのくらい掘り下げ方が深い深い。
秋田の新聞(秋田魁新報)の連載記事が単行本化されたもの。各地でローカルメディアを担っている方々による、リレーエッセイが掲載されています。どんなことをどのように伝えていくのか、そしてそこから派生するものは?限られた文字数から、それぞれのスタンスが読み取れてとても面白かったです。
20.『もうちょっと寝たい。』小泉スロウ(千葉県)
広告会社勤務の小泉スロウさんが、X(旧Twitter)に毎日投稿した短歌をまとめた1冊。
目をひく黄色の装丁に、1ページに1首短歌が掲載されています。
デスクの上とかベッドサイドとか、手の届くところに置いておいて、なんだかくさくさするな〜と思ったらパッと適当なページを開けば心がほぐれる。そんな本です。
21.『氷下の膜に』『残照』『幽霊』冬雨千晶(岡山県)
岡山在住の詩人 冬雨千晶さんの作品集。エッセイ、日記、ルポ、創作…ZINEやリトルプレスは様々なジャンルで制作されますが、詩集というのはもしかしたら最も作者の内面がストレートに排出されるものかもしれません。だからこそ近しいフィーリングの読者が冬雨さんの詩集を手にしたとき、「ビビビ」とまるで電気が走ったかのように同調した感覚を得られるのではないでしょうか。
22.『「読む」と「書く」ライターのわたしがかたわらに置く11冊』佐藤優子(北海道)
札幌でライターとして活躍する佐藤優子さんが、「30年のライター業を照らしてくれた十一冊(本文より)」を紹介するとともに、読むことと書くことに関する持論を語った1冊。的確な表現と適度なユーモアで読者を飽きさせません。菊池信悟さんによるブックデザインも素敵です。
23.『文章を書いて、生きていきたい』『わたしは、まじめちゃん』/江角悠子(京都府)
エッセイスト・ライターとして活動し「京都ライター塾」を主宰する江角悠子さんが、とても真剣に「書くこと」と向き合った1冊。書くことを仕事にしたい人、書けなくて苦しんでいる人、もっと書けるようになりたい人、書くモチベーションを高めたい人におすすめです。該当者はきっと読みたくなると思いますので、1章の目次を抜粋させていただきます。
1章 読んでもらえる文章を書くには
・それでも書く
・書くことで私を救う
・たった一人のために書く
・言葉はお守りになる
・書けない理由は五感にフタをしているから
・届ける文章を書くために絶対必要なこと
・文章上達のためにしたこと
・いい文章を書くために、まずすべきこと
・自分の強みの見つけ方
・私が強みを見つけたきっかけ
・文章は人の目に晒されることで磨かれていく
・未経験者は伸び代しかない
・センスや才能がなくても文章は書ける
・役から離れ書くことで「自分」に立ち返る
・なぜ書き続けられるのか、その理由
・いい文章を書くためにしていること
・つべこべ言わずに書く
・病まずに書き続けるために
・原稿料も締切も、交渉していい
・仕事を断ることの大切さ
もう1冊、江角さんの本をご紹介。真面目すぎる人=まじめちゃんが楽しく軽やかに生きるヒントが提案されています。真面目さ故に生きにくいと感じている人は、きっとこのZINEを読んで救われた気持ちになるはず。
24.『キキキ あなたの国のはなし』福永あずさ(熊本県)
熊本で編集者・コピーライターとして活躍する福永あずささんによる、インタビューを集めた1冊。
文庫版サイズ&蛍光ピンクの装丁という仕様が抜群にかわいい。センス良!
…なんですが、最初のページ(正しくは10ページ)の言葉がとても良かった。
わかる。とてもわかる。そのすぐ隣のページで「人は絶対にわかり合えない」と福永さんがおっしゃっているけれど。
色々な方にインタビューをしている本ですが、1冊を通してインタビュアーである福永さんという人がジワジワにじみ出てくる感じがしました。
ちなみに福永さんは、yukariRo編集部の『ローカルメディア列島リレー』にも登場しています。
25.『シカクはこうしてこうなった』シカク たけしげみゆき(大阪)
大阪のインディーズ出版物のセレクトショップ「シカク」 店主 たけしげみゆきさんがnoteで連載していらっしゃる「シカク運営振り返り記 シカクはこうしてこうなった」を大幅加筆修正した本。
「シカク」というお店の誕生から、すったもんだあって現在に至るまでの道のりが生々しく記録されています。
いわゆる起業の失敗と成功を語った本だと思って買うと度肝を抜かれます。
かくいう私も、最初はお店づくりのノウハウや成功談・失敗談を知りたくて購入しました。
裏表紙には本文から抜粋した以下の一文が書かれていたのですが、単なるウィットに富んだ謙遜だと思っていました。
『先に言っておくが、当時我々はちゃんと訓練された犬のほうがよっぽど知的なんじゃないかと思うほどのアホだったので、これからお店をやろうと思っている人が読んで役立つ部分はまったくない。──「第1章 シカク開店」より』
ゼロからお店づくりを始めて、
少しずつお客さんがついて、
仲間が増えてきて…と
アウトラインだけ見るとよくある運営記録ですが、
内容が濃い。濃すぎる。激動。
部屋の引き出しの中の日記を盗み見ているような、ここまで知ってしまっていいのかしら?という「シカク」の内情、たけしげさんの心の機微まで詳細に記録されています。
また、たけしげさんは大変文才がおありになる方なので、ぐいぐいと内容に引き込まれページをめくる手が止まらなくなります。
現在4巻まで刊行されていますが、絶対に全巻買いをした方がいい。
続きが気になりすぎるから。
26.『「サン」創刊号』千葉尚実(香川)
香川県の美術家千葉尚美さんが高松市障がい者アートリンク事業で通った「社会福祉法人大樹福祉会 障がい福祉サービス事業所 サン」の方々の作品を紹介した本です。
高松市障がい者アートリンク事業とは、月に2回施設にアーティストが通って一緒に創作活動を行うというもの。
サンの皆さんの自由で独創的で刺激的な絵や言葉が、遊び心満載な演出で掲載されています。
表紙に書かれた「眩しいくらい面白い!みんなの作品が好きすぎて本にしました」という言葉が素晴らしい。
巻末に書かれた千葉さんの言葉が印象的でしたので、以下に抜粋します。
「サンは明るい。利用者さんも職員さんも、時には怒ったり泣いたりしながら、笑顔が絶えることがない。月に2回のアートリンクの時間に行くだけだが、友達の所に遊びに行く様な心地よさがある。みんなで絵を描きながら、私は彼らとのおしゃべりを楽しみにしているのだ。この本では彼らの自由すぎる発想から生まれた作品はもちろん、その時間の雰囲気も紹介できたらと思った」
27.『A to Z about ART 美術にまつわるAtoZ』Chai(埼玉県)
イラストレーターのchaiさんがアート(美術)をテーマに企画展の鑑賞レポートやおすすめの美術館、作品、ミュージアムグッズを紹介したZINE。
イラストだけでなく文字もすべて手書きで、隅から隅まで楽しめる1冊になっています。
A...ARCIMBOLD/アルチンボルド展
B...BAG/バッグはミニマムに!
というように、アルファベットのAからZまでアートにちなんだイラストエッセイが描かれています。
美術館やアートギャラリー巡り、アート鑑賞が好きな方にはもれなく刺さるZINEとなっております。
ちなみに私は「K…KYOUKASYO」の項で紹介されていた『巨匠に教わる絵画の見かた』がとても面白そうでしたので、すぐに入手しました。
28.『新潟銭湯ずかん2 県内版』ナナオ(新潟県)
タイル好きの著者ナナオさんが新潟県内の銭湯を紹介するZINE。
1見開きにつき1銭湯、浴室の様子と脱衣所など館内の様子と「推しタイル」が描かれています。
フルカラーA6サイズのこちらのZINE、可愛くて読み応えがあってクオリティが高くて大変素晴らしい。
ぜひともこの1冊を携えて新潟銭湯巡りをしたいものです。
「鏡広告風シール」のおまけ付き。
貼るだけで手鏡を銭湯風にカスタマイズできます(楽しい!)
29.『佐世保の自由研究vol.1、vol.2』山本千尋(長崎県)
生まれも育ちも佐世保、というフリーライターの山本千尋さんによる自由研究本。ご自身も「ごあいさつにかえて」でおっしゃっていますが、地元愛や地元情報を発信するというよりは、山本さんが興味を持った佐世保のモノ・コト・人について、自らの足で取材したルポルタージュ。
人気インターネットコンテンツ「 デイリーポータルZ 」や山本さんのブログに掲載された記事が一部加筆修正して収録されています。
《No.1 目次》
・廃バスの扉をあけると、そこは公民館だった
・前略、地上136mの塔の上より 〜針尾無線塔とともに暮らす男たち〜
・佐世保の豆乳は甘い
・世界一のカスタムナイフ作家から学ぶ「ナイフ入門」
・佐世保の遊郭の本を自費出版した84歳の男性に話を聞いた
・佐世保のローカル線の風景の1つ。駅の中にあるたこ焼き屋「駅たこ」
・味のある標語看板は五右衛門風呂ワールドに通ず【佐世保:古賀住建】
・佐世保には、佐世保バーガーやレモンステーキと並んでじゃんぼ餃子がある
・駄菓子「味カレー」のメーカー「大和製菓」は佐世保にある小さな会社だよ
・佐世保のローカルスーパー「エレナ」はいいぞ、超地域密着型だしテーマソングも最高なんだ
・良い意味で突き放してくるアメリカンな味「ブルースカイ」
《No.2 目次》
・「まさかソウルドリンクになるとは」と中の人も驚いた!長崎県佐世保市のローカル乳酸菌飲料「クールソフト」のことを話すよ
・五島列島最北部にある有人の離島、宇久島はオフシーズンでも楽しい
・和食器を日常使いしてみたら食への慈しみの心が芽生えた
・長崎県五島列島の郷土菓子「かんころもち」のうまさと歴史を一緒に噛み締めてみませんか
・美容室の跡地にマジックで書かれた店名…ちょっとだけ謎のお店、古物商万徳屋さんとは
・バーガーは逆さに持ってネ! 長崎は佐世保の老舗ハンバーガー店「ブルースカイ」のことをもっと知りたくて
・佐世保の画家・木寺十郎さん
・長崎の大注目史跡『福井洞窟』とファッショニスタの姑
・婚活、進学、仕事…人生の悩みを駄菓子のプロに解決してもらおう【長崎・吉田玩具店】
・長崎県佐世保市の老舗「白十字パーラー」の2階レストランが70年の歴史に幕。これまでの歩みを聞いた
ね、目次を見るだけで面白そうで読み応えがありそうでしょう…?
30.『映画と文学が好き! 人情編』日々詩編集室(三重)
三重県のHIBIUTA AND COMPANYの大東悠二さんと、日々詩書肆室の村田さんによる映画のレビューZINE。紹介されている映画はすべて原作書籍があるもので、大東さんが映画を観て、村田さんが原作を読んでその映画について語っています。
紹介されている映画は以下の5本。
レナードの朝
スモーク
ビューティフル・マインド
カッコーの巣の上で
ショーシャンクの空に
「人情編」というタイトルの通り、「人と人との関係の尊さ、人情を感じさせる5つの映画(本文より)」がピックアップされています。名作映画たちをおふたりはどのように楽しんだのか、読み応えのある1冊です。
31.『雨風文芸1-6』雨風文芸部(高知)
高知県南国市にある、食事と図書のお店「雨風食堂」で2022年から開催されている「雨風ブックナイト」から派生したZINE。
「書いて表現することを仕事にしていない人、という意味で普通の人たちが、いつもの場所で普段の生活を続けながら、お金や評価のためでなく、あくまで個人として紙に残る何かを書く時、何が生まれるのかを目撃したいという動機から、この活動は始まりました」(本文より)
1作目は日記
2作目は部活
3作目は言葉
4作目は夏
5作目は恐怖
6作目は癖
それぞれテーマは設けられていますが、たとえば1作目なら人によっては詩のようだったり、エッセイのようだったり、マンガだったり。フォーマットも内容も書き手によって様々で、それがとても面白くて素敵です。
32.『サバイブユートピア創刊号、vol.2』イカハッチンプロダクション(滋賀)
滋賀県長浜市北部の旧伊香郡で生活し、活動する8人(八珍)の女性による編集プロダクション「イカハッチンプロダクション」が制作するマガジン。
田舎(ユートピア)で生活(サバイブ)しているから「サバイブユートピア」。
なんてファンキーなネーミング!
メンバーはライター、カメラマン、イラストレーター、ヨガ講師、観音ガールなど様々。
イラスト歳時記あり、職人文化人類学あり、限界集落レポありと各々がページを担当。多様な記事が掲載されています。
33.『Color of Flower』『ポストカードセット』『ポストカードサイズのかわいいちぎり絵』丸田ちひろ(鹿児島)
鹿児島県で活躍するコラージュ・ちぎり絵師 丸田ちひろさんの作品集です。
遠目に見ると美しい絵ですが…よく見ると全部ちぎり絵!
雑誌などの色や模様を使って絵が作られています。
2023年に行われた個展「Color of Flower」の展示作品をまとめた図録ですが、誌面で見てもうっとりする美しさ。
見るほどに様々な表情が見えてくるような、絵とはまた違った面白さがあります。
こちらは作品集に掲載されたちぎり絵のポストカード。
・Bouquet on red
・ベニバナ、ウイキョウ、ユーカリ
・ミモザ
・蝶とシロツメクサ
・二輪のチューリップ
の5種セット
とても美しいちぎり絵の花のポストカードで、誰かに手紙を書きたくなります。
ミモザはちょうど今の時期にぴったりですし、華やかな花のカードはお祝いの言葉を添えてバースデーカードにしても良さそう。
こちらはZINEでもリトルプレスでもありません。出版社から発売された一般書籍です。
丸田さんが考案したちぎり絵の図案が掲載されていて、下絵にそって貼るとポストカードサイズのちぎり絵ができあがります。
これからちぎり絵を始めてみたい、絵は苦手だけど何か作品を作ってみたい、という方にぜひ手に取って頂きたい実用書。実用書ですが丸田さんの作品がたくさん掲載されているので、見るだけでも楽しい1冊になっています。
34.『漁民の芸術Ⅰ』『海洋博物系ZINE キュウセンvol.01&02、vol.03』サンズイ舎(神奈川)
神奈川のリトルプレス出版社サンズイ舎さんの漁民文化に関するビジュアルブック。
横須賀市自然・人文博物館が所蔵する文化財・漁撈(ぎょろう)関連の民具が掲載されてます。
私は完全にジャケ買いでした。
表紙の着物は「マイワイ」という、大漁の際に船主たちが着ていた晴れ着。
背中と裾の絵柄が惚れ惚れするほどかっこいい。
丁寧な取材と道具たちへの愛着に基づいた、
美術館の図録と学術書を足して2で割って
読みやすさ・わかりやすさを10倍増しにしたような1冊です。
同じくサンズイ舎さんが刊行する海洋博物系ZINE。フィールドワークに基づいた、海とそれらに関連する場所や事柄についての知見が盛りだくさん。
ページをめくるたびに、飛沫が上がり磯のにおいを感じる気がしてくるから不思議です。
【vol.1&vol.2 目次】
特集1:海洋博物ワンダー!
INTRODUCTION 海、楽しんでる?
REPORT ぶらり海洋施設
BOOK REVIEW マンガに描かれた海
特集2:海と川の絵本
絵本と探る湘南ゆかりの自然
INTRODUCTION 湘南を知る6つのキーワード
REPORT 和賀江島
REPORT 葉山町
BOOK REVIEW 海と川の絵本
INTERVIEW おはなし会の現場から
MAP ミニ湘南マップ
【vol.3 目次】
特集:海辺の民俗/博物
三浦半島と昔日の海
CONCEPT 海辺の民俗/博物
KEYWORD 昔日の海を巡る言葉
SHORT ESSAY 『海鳥のなげき』が聞こえる
REPORT 魚影おどる島
SHORT ESSAY 聖域と自然と
BOOK GUIDE 浜辺の賢人に学べ!
PHOTO ESSAY 三浦半島ハマ歩き
MAP 三浦半島マップ
35.『さんぽぶんこ シリーズ第1-5弾』トーキョーブンミャク(東京)
西川タイジさんが運営する出版レーベル「トーキョーブンミャク」の人気シリーズ「さんぽぶんこ」。
持ち歩きやすい新書サイズ、カフェで珈琲を飲む間に飲みきれる20ページというボリューム、シンプルな装丁、すべてがちょうどいい本。
シリーズ第1弾『はなればなれ』西川タイジ著
「はなれている」をテーマにした短歌7首、それぞれから着想を得た物語、随筆、詩が収録されています。
シリーズ第2弾『マッチングシンドローム』すなば著
マッチングアプリを巡る連作短編集。Tatsumiという男性の視点でマッチングアプリでの出会いの模様が描かれた、新時代の恋愛が垣間見える1冊。
シリーズ第3弾『本を作って書店で売りたい人のための本』ナガサワケンタ著
元書店員のナガサワケンタさんがタイトル通り「本を作って書店で売るための方法」を端的に教えてくれている本。販売するにあたっておさえておくべきポイントや、書店に流通させる方法が具体的に書かれています。
これからZINEやリトルプレスを作ろうと思っている方、作った本をもっとたくさんの方に読んでもらいたいと思っている方はぜひ。
シリーズ第4弾『珈琲短編』西川タイジ著
アイスコーヒーをテーマにした『アイスがない』、ホットコーヒーをテーマにした『真っ白』、缶コーヒーをテーマにした『レインボーブラック』の三篇を収録した短編集。渋めの喫茶店で読みたい。
シリーズ第5弾『マッチングガール』すなば著
『マッチングシンドローム』の続編。これに登場した女性の視点で物語が進みます。ぜひ『マッチングガール』とセットでお買い求めください。
36.『ひつじがの自我 濾過編』シモダヨウヘイ(福岡)
福岡にあるブックバーひつじがの店主 シモダヨウヘイさんによるエッセイ集。
文庫サイズ、124ページで読み応えがあります。
「ひつじが」というお店について、緊急事態宣言下でお店の休業中に始めたこと、お店のスローガンについて…
「東京大学漫画研究会の思い出」は、まるでシュールな短編映画を観ているかのよう。
シモダさんの文章は、日常をまるで小説の出来事のように思わせるところがあります。
決して過度な脚色はなく淡々とした文調なのに、です。
【目次】
前書きあるいは逃げ口上
店名の経緯
帯状疱疹の日々
緊急事態宣言下の趣味活動
地図をつくる
羽アリが翔んだ日
ひつじがのスローガン
坊主におびえる
東大漫画研究会の思い出
あとがきと呼ぶには粗末な結び
〜加水〜
文学フリマ福岡8の思い出 〜準備編〜
文学フリマ福岡8の思い出 〜当日編〜
文学フリマ福岡8の思い出 〜後日譚〜
二度目のあとがき
37.『志賀が今思うこと』志賀ヤスヒロ(北海道)
東京から北海道に移住して、スリフトショップ「ShiyaShica by henteco.coi」等を運営する志賀康洋さんのZINE。
イベント開催直前、運営スタッフに直接アプローチがあり、急遽お取り扱いさせて頂くことになりました。
「私はこんなものが好きです」
「私はこう思っています」
「私はこんなことができます」と表現するZINEは、自分の名刺代わりにもなります。
そんな中でも志賀さんのZINEは、最もストレートかつ強烈に「自己紹介」されている1冊。
バイオグラフィーも載っているし、
性分も明らかにされている、
かと思えばひとつのトピックについての考えやスタンスも書かれている。
志賀さんとオトモダチになりたい方は(あるいはライバルの方も!)、読むことで「志賀ヤスヒロ」研究ができるかもしれません。
38.『プスプス1周年だよ ZINE』『遠州プスっ子倶楽部 ファンジンセット』『浜松脱撰-Hamamatsu Dassen-』プスプス byZING(静岡)
今回は静岡県浜松市のパブリッシングスタジオ・プスプス byZINGの1周年を記念したZINE。
5名のアーティスト+プスプススタッフによる、サイズも形も自由なリソグラフ印刷のグラフィックが、ミシン製本でまとめられています。
このバラバラでカラフルでキュートな感じ、昔の少女マンガ誌の付録みたいでいい!
リソグラフ印刷の味わい深い仕様、自由度の高いレイアウト、内容盛り盛り盛りだくさんなコンテンツ…これこれ、これこそがまさにZINEよ!と言いたくなる1冊です。
こちらのファンジン7冊セットの内容は以下の通りです。
(以下、商品説明を抜粋)
①プスっ子倶楽部「音楽」
記念すべきプスプスリリースZINE1冊目。参加者の方が持って来た1994年のローカル雑誌「遠州 浜っ子倶楽部」をきっかけに、タイトル「遠州プスっ子倶楽部」に! 音楽愛を語り過ぎて原稿を書く時間が少なくなった愛すべき創刊号。
②プスっ子倶楽部「漫画」
参加者の漫画愛のこもった2作目。前作の反省も相まって、各ページを書く事に集中してもらい充実した内容に!
③プスっ子倶楽部「ウソ」
3作目にして問題作!ZINE制作ワークショップ日4/1にちなんだテーマで、内容がすべて真っ赤な嘘という異色作!参加者の妄想力爆発!
④プスっ子倶楽部「映画」
初のゲストファシリテータ「映画☆おにいさん」を招いての4作目。国も時代も様々な振り幅の広い内容!表紙の劇画タッチにも注目。
⑤プスっ子倶楽部「ゲーム音楽」
ゲームではなくあえてゲーム音楽をテーマにした5作目。プスプス吉田が気合を入れ4ページ作成。黒髪に3色印刷した表紙画にも注目。
⑥プスっ子倶楽部「アイドル」
プスプスすずしファシリテートの「アイドル」編。各々の推しへの内容がストレートでファンジンらしさMAX。最大参加人数9名!
⑦キミZINESTER kids
夏休み特別企画「キミもジンスタキッズ」で集まった手描き原稿を使い制作。未就学児の絵や小学生の趣味、中学生のハマっている事や大きなお友達の記事など年齢層の幅広さが特徴!
様々な人の目線で浜松を紹介するガイドブック。こちらもリソグラフ印刷で制作されています。
浜松の歴史あるタウン誌『浜松百撰』をもじったタイトルのようです。
本家(?)『浜松百選』は残念ながら2024年3月号をもって終了。66年以上の歴史に終止符を打ちましたが、それを引き継ぐ形で…はないと思いますが、『浜松脱撰』というZINEが、静岡県浜松市のパブリッシングスタジオ「プスプス byZING」からリリースされました。
【目次】
・ものづくりのまちの活版印刷職人を訪ねる
・スズセイ印刷 鈴木幸次朗さんを訪ねて
・すずしのそれいけコラムちゃん
・大久保町異空間3選
・中田島砂丘と砂おじさん
・ふきこの酒場放浪記
・あなたの浜松のオススメの場所はどこですか?
・珈琲色のなにか
・オイシイ浜松
・浜松市図書館ブックレビュー
・浜松の郷土玩具「遠州天狗張子」の紹介
・浜松偉人伝 金原明善
・浜松脱撰ができるまで
39.『まちと対話する』musan(長野)
長野⇔(東京)⇔茨城の2.5拠点生活を実践中のまち歩きライターで、NHK長野の番組「 ブラナガノ 」にも出演されていらっしゃった musanさんによるZINE。
「対話する」という言葉はしばし比喩表現で使われがちですが
本書においてはその言葉通り、まち(善光寺門前)を歩き、出会った場所やものとmusanさんが心の声で対話しています。
たとえば…
「毎度通るたびにAC長野パルセイロの結果を教えてくれるなべ亭さん、好きです」とか
「サトちゃん サトコちゃん これからもよろしくね」とか。
かと思えば対話はなく、じっとこちらを見つめる銅像(?)の写真だけのページがあったり。
40.『αで撮るシリーズ』hiromi65(茨城)
茨城県で活動するWeekend Photographer hiromi63さんによるフォトZINE。
SONYのデジタル一眼カメラαシリーズで、生まれ育った茨城県を撮影し、その写真をまとめた1冊です。
駅、まち、展望台、神社、自然風景など撮影場所は様々ですが、どの写真も美しい!
hiromi63さんのプロフィールによれば「何もない何気ない街風景を淡々と」と書かれていますが、どの写真も「とっておきの1枚」になっていると感じました(ちょっとしたコピーを追記すればポスターになりそう)。
茨城にゆかりのある方はもちろん、写真表現に興味がある方も必見です。
41.『Japanese doll in Glass case』『Melody in the eyes(CD付きブック)』Cadbunny / Naho KUWAHARA(北海道)
最後にご紹介するのは札幌在住のデザイナー Cadbunny / Naho KUWAHARAさんのZINE 2冊。
2023年7月に「光の庭 Le jardin de lumiere」で開催された個展「Japanese doll in Glass case ガラスの中の人形展」の作品が掲載された図録です。
おそらく初見の方の多くは「日本人形の写真か〜」と思うでしょう。ところがどっこい。すべて著者が扮した姿なのです。すごい…!
こちらはCadbunny / Naho KUWAHARAさんが制作を手がけたCD付きのZINE。
札幌在住の画家 モリケンイチさんと北海道のインディーズレーベル Chameleon Labelの代表であり、sleepy.ab など多数のアーティストのプロデューサーを務める田中一志さんのソロプロジェクト「Shizuka Kanata」がコラボレーションした作品。モリケンイチさんの作品それぞれから受けたイメージをShizuka Kanataが楽曲にしたCD付きの画集です。
《収録曲》
1:一番高い塔
2:飛翔の妄
3:空の中のカゴ
4:蜘蛛の糸
5: Just a Sigh ~ 空のカゴ
6:鳥と籠
7:Depression
8:Always Toether
9:Blue dream
10:燃える木
11:門
12:Clone World ~ will to power
13:Conessance ~他人の顔=Pouvoir
14:Intellectual popularization
15:Blue Period
16:朝三暮四
17:蝸牛
18:夢見るクジラ
19:Waiting for you ~ Flower Sales Girl
20:春
個人的に「Just a Sigh 」から「燃える木」までの曲の流れが心地よくてとても好きです。