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心から好きなことで社会に貢献できる幸せについて考える。

 数字しか頭にない人たちが「顧客満足」を言い、音楽の世界を牛耳りだすと現場はすぐに壊れる。「薄暗いレコード屋で何時間も飽くことなく時間を過ごせる」人、それを人生の何よりも面白いと思える人たちによって音楽は支えられている。学問も同じ。(朝日新聞「折々のことば・鷲田清一」より)

  「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるが、自分の大好きなことをやっている人は強い。その熱量が音楽や学問をより魅力的なものにするのだろう。

 確かに、そこにビジネスの発想がないとその音楽は世の中に出ていくことができないのは事実であるが、そこには一定の熱量が必要だ。「数字しか頭にない人たちが主導権を握ってしまうと、その音楽は面白味のないものになってしまうのだろう。

 一昨年に大ヒットした映画「BOHEMIAN  RHAPSODY 」でも同じようなシーンがあった。シングル「Killer  Queen」が爆発的に売れたQueenのメンバーが6分を超える大作「BOHEMIAN  RHAPSODY 」をシングルにするようレコード会社と交渉するが、会社は「Killer  Queen」と同じような3分間のポップソングを要求してくる。

 まさに「数字しか頭にない人たちが「顧客満足度」を言い出す典型だ。このエピソードが史実かどうかは別にして、ファンたちは第2の「Killer   Queen」を求めているというのは、レコード会社の幻想でしかなかったのは、その後のQueenの活躍を見れば明らかである。

 世の中では、小泉政権による徹底した新自由主義的政策によって日本は過度の競争社会となり、格差が拡大したと言われている。

 富めるものはますます富み、貧しきものたちはそこから抜け出すすべがない。

 確かにその頃から日本社会では効率化や費用対効果ということがうるさく言われるようになった。

 民間会社ならそれもいいだろう。でも、福祉や

文化といった公共政策を費用対効果で語るのは間違っていると僕は思う。

 費用対効果では測れない重要な何かがそこにはあるから。

 僕にとって好きでたまらないものはなんだろうと考える?それは本と音楽である。プライベートの大半の時間を、僕は本や音楽に囲まれて生活している。棚に並んだ大量の本やレコードを見ているだけで、幸せな気分になれる。

 いつの日か、そんな本や音楽で、もしくはこうやってものを書くことによって、少しでも社会に貢献できればこれ以上の幸せはない。

 それまで今の熱量を持ち続けていたい、そう思う。


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