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【フードテックベンチャー】アメリカ滞在1ヶ月でゼロイチを作った話
こんにちは!植物性卵を開発しているUMAMI UNITED CEOの山﨑です。
直近の投稿をご覧頂いていた方はご存知かもしれませんが、実は2月から約40日間、アメリカ カリフォルニアに来ておりました!先週末で日本に帰国し、余韻冷めやらぬ間にこのNOTEを書いています。
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日本のフードテック企業の中でアーリーステージから海外を目指そうという動きはまだまだ少ないように感じており、今後海外市場進出を志すフードテック起業家仲間にとって、何か1つでも役に立てればと思いアメリカでの活動ログを発信することに決めました。
そもそもなぜアメリカに行ったのか
昨年末、「フードテックベンチャー、1年目を振り返る」のまとめ記事にも書かせて頂きましたが、昨年末時点でアメリカに挑戦しようということは心に決めていました。(詳しくは以下の記事をご覧くださいませ!)
しかし、このタイミングで長期滞在をするかどうかは、正直悩みました。
昨今の鳥インフルエンザの影響もあり、月間で数100件の商談・サンプル依頼を頂いており、人財・資金ともにリソースが限られているベンチャーにとっては、選択と集中をすべきだ、というのが一般論だと思います。
しかし、昨年末の10日間のアメリカ滞在では、あくまで視察にいった程度。実際にお客様に提案をして、フィードバックを頂いたわけではありません。これではただの机上の空論になってしまう。アメリカでの可能性をデータだけではなく肌感覚で捉えることで、よりリアルな戦略を立てることができる。そう思い、今回の渡米を決断しました。(IT業界でいうABテストみたいな感覚です)
結論、今回の選択を正解に変えて、帰国できたのではないかと感じております。自分たちの現在地を把握することで、今後1〜2年の計画をよりクリアにすることができました。(身内ネタで恐縮ですが、現在メンバーは5人と少数精鋭でやっており、おびただしい問い合わせ、サンプル依頼、商談に対応してくれたチームに感謝です!)
アメリカ滞在中、何をして、何を得たのか
今回の主な目的は事業開発で「0を1にすること」。滞在中、毎日のように一緒に提案に回ってくださったパートナーのYukoさんから「1を作れば10を掛ければ10になるし、100を掛ければ100になる。0の状態だったら掛け算しても0のまま。どんなに小さくても1をつくりましょう。」という言葉を何度もかけて頂き、1つの事例作りに集中することにしました。
しかし、スタートは至難の連続でした。誰に、何を提案するか?可能性は無限に存在します。
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ターゲットはヴィーガン対応をしている人?まだしていない人?業種は食品メーカー?それともレストラン?ホテル?ディストリビューターに話に行く?卵といっても色々用途あるよね?スクランブルみたいなお惣菜として提案する?それともパン?麺?ソース?ん?ん?ん?
止まらなくなるのでこれぐらいに(笑)
もちろん、昨年末視察に来ていたのである程度の仮説はありました。が、実際提案を進めてみると、割りと早々に仮説が崩れました。
(余談:今思うと、この気づきが早かったのも良かったです。ある起業家の方から「早く結果を出しな」というアドバイスを頂いたことがあります。結果には良い結果ではなく悪い結果も含みます。早く結果が出れば、早いうちに次の手を打てるという意味だったのかと実体験を通じて腹落ちしました。)
その瞬間は密林の中で迷子になった気分でしたが、冷静になって、多業種(個人レストラン、レストランチェーン、リテール、商社、メーカー等)・多人種(日系、中華系、白人系等)の方に実際に食べてもらってフィードバックを頂きながら作戦を立て直すことにしました。
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毎日がブートキャンプでした。一緒に来ていたR&D(兼 採用、広報 - いわゆるオールラウンダー(笑))の安藤が日々現地の食材で現地の方に合ったメニュー開発をして、私がフィードバックを集めてくる、本当にこの繰り返しでした。
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ただ、不思議なことに、数をこなしていくうちに、あたりが見えてきました。UMAMI EGGを使ったパンケーキやエッグサラダを某ファミレスチェーンのHead Chefに召し上がって頂いたところ、お墨付きを頂けるようになっていきました。(さすがに規模が大きすぎて事例化には至りませんでしたが)
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ある程度ウケが良いレシピが固まってきた後に、提案先を変えていこうという話になりました。そこで先程から登場している現地パートナーのYukoさんから大学の学食はどう?という提案がありました。半信半疑でしたが、とりあえず提案してみましょう、という話になり、翌日某大学にNOアポで訪問。
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Yukoさんの巧みな突破力で(凄すぎて本当は詳細書きたいのですが割愛)スイスイと関門を突破していき、気がつけばHead Chefに辿り着いていました(笑)
これまで温めてきたレシピをフル活用して提案したところ即座に気に入って頂きその場で購入いただきました。まさに0を1にした瞬間でした。
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ここで冒頭の「0は何を掛けても0のまま。1を作ってしまえば10を掛けると10になる..」という話に戻ります。Yukoさんはこの1を使って同大学のHead Chefに食堂を運営している会社の上層部に繋げて欲しいと打診。数日後、数10の大学を統括しているRegion Head Chefとのアポを獲得し、非常に前向きな評価を頂き、次のステップに向けて動き始めました。
滞在から1ヶ月で、0を1に変えて、(まだ途中ですが)10に持っていく所までを経験することができました。
大学での導入事例があまりにも印象的だったので、ついつい長くなってしまいましたが、大学以外にも、0-1の種をたくさん植えて日本に帰ってくることができました。
毎年カリフォルニアで開催されるNatural Products Expo Westでは、某大手ミックス粉メーカーのR&Dの方やフードテックVCの方と非常に良い商談ができました。
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アメリカで学んだこと
総じて学んだこと、それは「赤子になった気分で取り組みこと」の大切さです。海外進出の際、頻繁にローカライズという言葉を耳にしますが、まさにその通りで、自分(日本)の物差しで判断しないこと、普段のチーム内での会話でも「主語」を意識しました。例えば「美味しい」といっても、誰にとって美味しいのか?美味しいって具体的に?曖昧にならないよう会話のキャッチボールを繰り返して仮説の精度を高めていきました。
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その他、日本との違いを感じた部分をいくつか紹介させてください。アメリカではマーケティング、ブランディングが徹底されていました。現地の大学に行った時、EXPOで他社のブースを回っていた時、至る所で「魅せられる経験」をしました。概して、日本が苦手とされる分野?(得意な方すみません)とされていると思いますが、まさに、という感じでした。今のUMAMI社は正直この部分は得意ではないので、アメリカに精通した専門家にお願いすることにしました。(滞在中候補まで見つかって良かった!)
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また、日本の阿吽の呼吸とは違い、アメリカは多人種国家のためか、仕組み化、分業化が行き渡っているようにも感じました(人財の流動性とかも関係していると思います)。良くも悪くも日本ではなんとなくで通じてしまう節がありますが、(〇〇さんじゃないと作れないみたいな)俗人的な部分は時に弱点にもなり得るなと感じました(横展開、スケーラビリティ等の観点では特に)。
今後のステップ
昨今の鳥インフルエンザの影響もあり、日本で本当にたくさんのご相談を頂いております。4月から新しいメンバーも加わるため、直近数ヶ月は日本での地固を優先させる予定です。
しかし、アメリカで掴んだチャンスを最大化させるべく、アメリカ進出準備も同時並行で進めていく予定です。帰国前、サンフランシスコで開催されたフードテック投資家向けのイベントに参加したのですが、改めてアメリカやEU圏を中心にエコシステムが形成されているという点に気づかされました。ルールメイクや資金調達、事業開発のネットワーク作りがダイナミックなスケールで行われていました。
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UMAMI UNITEDは創業時点からグローバルカンパニーを目指しており、このエコシステムをいかに使い倒すかを常日頃から考えています。5月にはまたアメリカに戻り、今年の後半にはEXPO出展、現地法人の設立、ビザ申請 etcたくさんのイベントが控えています。
私のNOTEのお決まりのシメみたいになってしまいましたが(笑)、アメリカ進出に向けて、現在事業開発メンバーの方を募集しております!アメリカ最大の経済圏でありトレンドの発信地である西海岸(LA、サンフラン)で食を通じてイノベーションを起こしたい、世界を変えたい!という方にはとっておきの舞台だと自負しております。少しでも興味を持って頂けたら以下より詳細をご覧くださいませ〜
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