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【LAD】Bobby Millerのフォームの変化を観る回
皆さん、1/20にDodgers公式X(旧Twitter)に投稿されたこの動画はご覧になられたでしょうか
Walker and Bobby putting in work. pic.twitter.com/HuCukeH15f
— Los Angeles Dodgers (@Dodgers) January 19, 2024
そこにはDodgersのエースWalker Buehler と次期エース我らがBobby Miller がともに練習に励む姿が映っていたわけであります。
ええ、皆さんこの動画を見ればお気づきですよね。
Miller、フォーム変わってね?
というわけで今回はBobby Millerのフォームのどこが変わったかを素人目線ながら映像をコマ送りにしつつ確認していきたいと思います。
当方は野球素人なので間違った情報もあるかもしれませんが、できるだけ信頼できそうなソースからメカニクスの話を参考にして書いたのでお手柔らかにお願いします🙇 また、間違い等あればコメントやXにて教えていただけると大変ありがたいです。
以下の画像は
←左側が最近公開された動画
右側が23シーズンの動画→
となっております。
それでは見ていきましょう!!!!!!
スタート
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1枚目、変なところから始まりましたね。これは左側の映像の始まりがここからだったためです。ご容赦ください。
まずこの段階で違うのは、➡のほうが⬅よりも前に進んでいますね。わかりやすいところで言うと右足ふくらはぎの角度でしょうか。
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これは左足が伸び切るタイミングで合わせました。
⬅は両足が閉じている段階で伸ばしていますが、➡ではわりと開き始めたタイミングで伸び切っています。
接地前後
頂点〜接地前
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最初見た時に一番変化を感じたのはここでした。
一目瞭然、左腕を高く上げるようになりました。
後ろから見てもわかるように、➡ではグラブの高さは目線かせいぜい頭頂部あたりだったのが、⬅では明らかに頭より高い位置に来ています。
また、後ろからだとわかりやすいのですが、⬅のほうがおしりの位置が高く、体幹も起きているように見えます。
接地直前〜瞬間
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まず見てわかりやすいのは、接地の足でしょうか。
➡では踵からの接地ですが、⬅では足全体で同時に接地しています。
接地方法によるpitchingへの変化については、Courtney Semkewyc(2020)によると主に球速について変化が見られるようになるようです。
23年シーズンのMillerはずっと踵からの接地、いわゆるリアフットストライクと言われるものでした。
しかし新たなフォームでは踵からでもつま先からでもなく足全体が同時に接地する、いわゆるミッドフットストライクというものに変わっています。
接地の仕方には3種類あり、
①踵接地のリアフットストライク
②つま先接地のフォアフットストライク
③全体で同時に接地するミッドフットストライク
に分けられ、②と③は生理的メカニズム的に同じと分類されます。
両者の違いは主に膝伸展角速度の違いを生み出し球速に変化を与えるという違いがあります。
つま先接地では、設置と同時に足首を背屈させて踵を地面に強く押し付けることができ、この背屈が脛骨を後方にドライブさせ膝の伸展を開始させます。膝が伸展すると下半身のエネルギーを途切れさせることなく連鎖的に上半身に伝えることができるので球速の低下を生じさせません。
一方踵接地では、接地の瞬間に関節を底屈させます。この足首の前方への動きは、脛骨の前方への動きを継続させる方に働き接地後の膝の屈曲を増大させます。接地後の膝の屈曲は衝撃吸収の役割を果たし、エネルギー伝達にロスを生じさせ、結果として膝伸展角速度と球速の低下を招くとされます。
つまり、今回のMillerの接地の変更は球速やデリバリーに変化が生まれることを示唆していると考えられるわけです。
またこのコマでわかることとしては、Dodgersのロゴを見ればわかるように、➡では胸の張りが水平成分だけであったのが、⬅では胸から上の部分が上を向いていることでしょう。
あとは若干ステップ幅が狭い気がします。このことがさっき述べた腰の位置の高さに関係しているのでしょうか。
リリース前〜後
横から
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次の瞬間でも同様にまだロゴが斜め上を向いています。
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⬅の映像のfpsが低いせいで合うコマが少なくて申し訳ないです
3枚目の画像を見ると若干ですが、➡より⬅の方が膝が伸び切るタイミングが早いです。この伸び切るタイミングが早いことは先程も述べたように接地の方法によるものと考えることが自然です。
前足の膝伸展によるブロックについては、Nunzio Signore(2023)によると、効率的な膝伸展ブロックは投球速度と最も高い相関関係があり、地面反力を改善しうまく利用することは、股関節と胴体の回転を促進し、連鎖的に力とエネルギーを腕に伝え、高速投球を実現するために最も重要であるとされています。
後ろから
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後ろからだと上体がより垂直に近いのがわかると思います。➡では二枚目の時点で左肘が腰より低い位置にきて一番低いところではおしりより低いのに対し、⬅では常に腰と同じ高さのままです。
首の角度も垂直に近いことからも左肩が下がってないことがわかります。
また、1枚目を見ると、⬅のほうがボールの位置が低いように見えます。これも胸の張りが上を向いているからでしょうか。
フォロースルー
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リリース後も➡では上体が水平近くまで倒れていますが、⬅では高い位置の左肩を支点に上体が回転することで斜めのままにあります。
また、背中が丸まらず、グラブと肩が近いので胸が張れています。
感想
とりあえず、ざっとMillerの新旧のフォームの比較をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
もちろんスプリングトレーニング前の軽いブルペン投球であることからフォームが違うという可能性ももちろんあります。
しかし、接地の方法など明らかに意識しないと変えられない点が変わっていることからも、Millerが昨シーズンと全く同じではないことは明らかです。
昨シーズンも別に悪いというほどの結果ではなかったと思います。それでもフォームを改良してきたということは、Miller自身が課題を感じ改善しようとする高い意識の表れであり非常に頼もしく感じます。
Dodgersは今オフは先発ローテーションに超がつくほどの大補強を敢行しました。山本とGlasnowというタレントを加え、夏以降にはKershawとBuehlerも本来の姿を取り戻していると思います。
そんな超強力に見えるローテでも昨シーズン回しきったのはBobby Millerただ一人。正直今年のローテも耐久性に不安があるのでMillerがどれだけ投げ続けられるかはとても重要だと思っています。今年は規定投球回到達、FIP3点台前半達成を期待しています。
ここまで長々と読んでいただきありがとうございました。よろしければ“スキ”、フォローよろしくお願いします。
参考文献
Pitching Biomechanics: Front Foot Landing Can Make Difference!
Lower Half Pitching Mechanics: Block – Simplified (Part 4 of 4)
https://rocklandpeakperformance.com/lower-half-pitching-mechanics-block-simplified-part-4-of-4/