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8月に読んだ本(前半)


ベスト・エッセイ2023(日本文藝家協会編)

こういう本の良いところは、たくさんの作家さんの文章に触れられるところ!阿川佐和子さんと岸本佐知子さんのエッセイが良かった。
岸本さんは後日読んだ別の本でも登場されていて、それも、すごくそそられた。この方の書かれる文章をもっと読みたい。


三行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾(近藤 康太郎)

noteで良く見かける本だったので購入。近藤節に序盤から翻弄され、読み切れるか不安になったがなんとか完走できた。

じゃむパンの日(赤染 晶子)

むちゃくちゃ良かった。
出だしの「じゃむパンの日」からしてむちゃくちゃ良かった。エッセイって、こんな風を吹かせても許されるんだ、と思った。
それ以外のエッセイにも古臭い京都を感じた(古き良き、では断じてない)。京都の人の不思議な距離感。これは個人の感想です。
最後の「新・蝶社倶楽部」というエッセイ…なんて面白いんだろう。Yonda?わたしを呼んだ?これは芥川賞受賞時の話かな。ぜひいろんな人に読んでほしい~。
巻末の岸本佐知子さんと赤染晶子さんの交換日記のところなんて、ユーモアてんこもりのお上品な日記。作家って、面白い文章を縦横無尽に書くことができて本当にすごいな…。
この交換日記、「永遠に見ていられるな」と思いつつ読んだのだけど、もうこの方の新しい日記を開くことができない。帯によると「時を超えて 生まれ育った京都へのおもい こぼれだす笑い 2017年に早逝した著者によるエッセイ55篇」とあり、著者はすでに亡くなられているよう。
赤染さんは、本当に京都が好きだったんだろうなぁとしみじみ感じる良質なエッセイ集でした。

ダ・ヴィンチ 9月号

久々に購入したダ・ヴィンチ。いつもは図書館で読んでいるけど買わずにはいられなかった。芸人×エッセイ…。どちらもわたしの大好きなもの!
これは保存版やなぁ。

回樹(斜線堂 有紀)

斜線堂先生の作品は面白い…というのは本当にいろんな所で見聞きしてきたけれど、ここまで手を出さなかったのは、わたしが「血」や「事件」と名の付くものが苦手だからです。
そういうわけでミステリ作家さんの本はほとんど読めてません。
好き嫌い及び食わず嫌いが多くて本当にすみません…。
それでも斜線堂ワールドに触れてみたくて、この作品は直感で「読めるかも!」と思って読み始めたのですが、これが自分的には大当たりでした。

真実の愛を証明できる「回樹」をめぐる、ありふれた愛の顛末。
骨の表面に文字を刻む技術「骨刻」がもたらした、特別な想い。
すべての映画には魂があった。「BTTF葬送」への抵抗の物語。
人間の死体が腐らない世界で、あるテロリストが達成した「不滅」。
奴隷制度下のニューヨーク、白人と黒人と宇宙人の融和は「奈辺」?
回樹に愛を託した人々は、年に一度の「回祭」を催していた――。
誰も思いつけないアイデアと、誰でも思いあたる感情の全6篇。

斜線堂有紀 「回樹」単行本解説より引用

よく見たら帯に「いま最も注目される作家の初SF作品集」と銘打ってありました。SFって全然読んだことなかったジャンルだけどめちゃくちゃおもしれ~~~!!
何よりも「誰も思いつけないアイデアと、誰でも思い当たる感情の全6篇」というこの一文が天才的過ぎるなぁと。
そんな作品を生み出している斜線堂先生がとんでもなさすぎるのは言わずもがなですけどね…。

こちらの斜線堂先生の読書日記もすごく面白いし、本や仕事に対しての愛を感じます。この記事によると「1日1冊、3年で1,000冊の本を読み、月産25万字を執筆し続け」ているんだそうです。
いや待てよ、オールナイトでもそれはむちゃくちゃな速さじゃない?読むだけじゃなくて書くのも??斜線堂有紀って実は5人組のユニットとかじゃないの??(5人でも足りる??)
個人的には「回樹」「骨刻」「奈辺」「回祭」が好きでした。いやもうそれほとんど全部やん。


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