4冊目 ポジティブ・アクション 辻村みよ子
4冊目は、ポジティブ・アクション 2011年 辻村みよ子 岩波新書1330です。
理学部の数学科に女性が少ないために女性枠を作るとか、焼き肉の顧客層を広げるために女性のみ食べ放題半額にするとか、そういうこととちょっと違うのがポジティブ・アクションです。
この新書は差別を是正するためのアファーマティブ・アクションに、違和感を覚えていたので読んでみたものです。いかに差別の是正のためとはいえ、法制度上の特権を与えて平等化するという議論には疑問でしたが、この新書を読んで疑問が確信に変わったことを覚えています。
〇多元的民主主義(=クオータ制。女性や障碍者など各代表を反映させる)、フランスのパリテ(=女性のみ男女の割合の観点から50/50にする)、憲法改正型、選挙法改正型などの、ポジティブ・アクションの違い。
〇アメリカでは、女性の25%枠は違憲として法律レベルでの多様性確保(ミクステ)へ移行。逆にフランスでは違憲とされてパリテへ移行。クオータ制に違憲判決が出されている国は複数ある。
×女性の方が投票率が高いのに女性議員が当選しにくいというのも民主主義の結論では?
×多元的民主主義も、どのクラスを反映させるべきか、決めるのは難しいのでは?
この新書は、主なテーマが男女格差と選挙に絞られていますが、救済グループとしてどうして女性だけなのか、自分の理想とする民主主義が真の民主主義だという<エゴデモクラシー>はどうしてもいただけないです。
救済すべき弱いグループは多様で、それらグループを参議院を使って配分を割り当てていくというのも一手でしょうが、身体障がい者や被爆者団体と限ってみても一枚岩ではないように、グループを代表する勢力を選ぶのにどうあって決めたらいいのか難しいところです。