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B#3 アメリカンドリームを叶えるビザ編 アメリカ移住(及び日本脱出)のWhyを考える

前回のエピソードはこちら

このnoteの目的は「日本が少子化と技術開発の陳腐化が進み、今世界で最も急速に衰退している国家であるという事実を受け止め、より良い環境を求め海外、特にあらゆる分野で最強であるアメリカに移住したいという日本人の背中を押す」事です。日本人として耳が痛く、プライドも傷つく長期にわたる残念な結果ですが、自分がどういう状況にあるのか客観的に整理し、(他人、集団としてでなく)自分がどう生きたいのかを見直し行動に移せる方にとって力になると思います。

前回は日本人がアメリカに移り住む手段としてのビザの種類とそれぞれの特徴、そしてなぜビザというものがそもそも存在するのかと、取得についての現状や中国・インドのビザ乱獲について触れました。

私が取得したE-2とE-1ビザについての解説は次回にまわして、今回はそもそもなぜ日本からアメリカに移り住む動機が生まれたのかを解説したいと思います。多くは日本で育児を続けていくことが過去に例を見ないハイリスク・ローリターンな行為であることです。

海外に住みたくなる気持ちは人それぞれですので、あくまでも一人の意見として捉えていただければと思います。

前提として、私は41歳の男性で、同年代の妻と結婚し、2人の子どもを育てています。英語は不自由なく話せます。E-2ビザを取得するためのビジネスを起業する前は日本ではいわゆるハイスペサラリーマンをやっており、妻は専業主婦でした。

1. 育児環境

これが一番の目的です。日本でも自分の子供が少しでも良い高校や大学に進学できるよう、統計的には潜在的な能力からそこまで飛躍的に学力を伸ばすことは難しくても、その可能性にかけて多額の塾の費用をかけて子どもを塾に通わせ親子ともに苦行を行っている方は多いのではないでしょうか。

なぜこれを行う必要があるのでしょうか?それはその他の選択肢や可能性を探せていないだけではないからでしょうか?周りもそうするので、とりあえず子どもを私立に入れる、中学受験をさせる。そのメカニズムを私は論理的に理解できません。

自分自身、親と海外に7歳の頃移住し、それなりの成績を海外のハイスクールと大学で取って、日本では無名な海外の大学を卒業しました。日本に社会人として帰国して、キャリア的はとてもうまく行ったほうと思っています。

ですが、おそらく受験戦争に勝ち抜く才能や胆力はなかったと思います。ですが、日本の東大や京大の卒業生をそれなりの数採用する無名の優良企業に入社でき、破格のオファーを得られてました。教育のアウトカムとしてはコスパ・タイパ的に最高ではないでしょうか?私は満足しています。これは自分の親のやり方をコピペするしかないと思いました。

教育の質

アメリカでは平均を見ると、日本に比べて基礎的な読解力や演算力は劣っています。世界各国の教育水準を比較したPISA2022年では

  • 日本:数学5位、読解力:2位、科学:2位

  • アメリカ:数学:34位、読解力:9位、科学:16位

と、日本のほうが優位に各項目において優れた教育を受けさせていているようです。ですが、ここで注目したいのは、これらの子どもが大人になって国力をアウトカムとした場合はどうでしょう?

一人当たりGDP: 

  • 日本:36位

  • アメリカ:6位

Global Innovation Index(世界イノベーション指数)

  • 日本:13位

  • アメリカ:3位

そもそも国全体の学力を上げるには、できない子を苦しませて下の方の平均点を上げれば順位は上がります。ですが、アメリカはそういう思想はありません。学業が不得意なら他のことをすればいい。得意な分野で各個人が勝負し、その中で医療・航空・通信・軍事・ビジネス・不動産・メディア・半導体・ITなど世界で圧倒的に勝てる分野が創出される。

そういう思想なので、アメリカはこれからも世界で(PISAで計測される)15歳の学力が1位になることはないでしょう。ですが、世界最大の経済大国です。日本はこの優秀な学力を持ってして、2023年からさらに一人当たりGDPのランキングを下げてます。学力が高いからと言って幸せになったり豊かになったりできないなら、結果的に教育の質は低いのではないでしょうか?

アメリカをはじめ欧米では小さい頃からプレゼン力を身に着けさせたりリサーチ力を覚えさせたり、複合的な知識の集積と発信を訓練させます。また、アメリカはばらつきが大きい国であるため、公立校でも学校の質は場所によって大きく変わり、Zillowなど不動産情報アプリ・サイトで学区の良いところを選べばほぼ無料で最高の施設で良質な教育を受けさせることができます。

変化に強い子に育てる、多様な人とつながる

子どもは親の背中を見て育ちます。親が安定志向であれば、子どものそう育つ可能性は高いでしょう。逆に、子どもが親が海外転勤を希望し、その転勤中にクビになり、就職活動を試みるもうまくいかず事業を立ち上げる様を見ながら育った子どもはどうなるでしょう?

安定して子どもを一つの学校に通わせ続けることもままならないのですが、それに向けて努力をしています。子どもも自分のできることとして、新たな環境で良い友人関係を作ることに努め、新たなカリキュラムの勉強に適応する。記憶ベースの教育から日々英語の小説を読み、自分の考えを口頭や文面で考えながら述べさせられる。国内の産業や歴史にとどまらず、世界中の戦争や資源、社会の平等性を多様な人種のクラスメイトとともに学ぶ。

さて、大人になったときに自分にとって最適な道を切り拓く力をつけることができるのはどちらでしょうか?ある程度自分が一度歩いた道なので答えはすでにわかっているので、ここも親の方針をコピペするだけです。

広々とした環境

日本にいる方も想像しやすいかと思いますが、アメリカは国土も広く、広い平野が広範囲に広がり、日本のように山が国土に占める面積は少ないため、全方面に拡大し放題です。周りを見ていてもまだまだ土地はいくらでもあるため、車で30分も郊外に出ればだだっ広い土地にポツンと家が立っており、その家もとても広いです。日本円で5,000万円もしない家がほとんどです。

ニューヨーク、ロサンゼルスなどの大都市圏では少々難しい(このあたりでは10億円~100億円の物件もザラ)ですが、それ以外のところではまだまだ広々としていて、この絶対的な自分の居住スペースが心に余裕を与えてくれる感じがします。

歩いていけるところはあまりないかもしれませんが、自転車、もしくは車で10分も走ればきれいな手入れの行き届いた公園が5つ6つあり、公衆トイレもきれい。これって当たり前の公共サービスのような気がしますが、近々日本の公園はどうでしょう?それこそ車の持てない都市部では少々あるものの、それ以外の郊外ではボロボロの滑り台だったり、危険と思われる昔の遊具が撤去されてたり、公衆トイレもなく、最悪全て放置されている。

これは日本の高齢者への社会保障が行き過ぎてて全く子育て世代にお金が使えないのが大きな原因ですが、そこまで大きな資金源がなくても公園の整備などそこまでお金がかからないはずなのですが、そこに投資する日本の自治体は少ないように感じます。

広々とした環境で育った子どもはゲーム漬けにもなりにくく、余裕を持って精神的に豊かになり、優しさいっぱいの子どもに育つ可能性が高いと思うのは親バカだけではないはずです。

英語がデフォルト

英語はパスポートのようなものと考えています。英語や中国語、スペイン語などが話せれば、海外旅行したときにその現地で言葉が通じるため、行動範囲も増え、できることも多くなり、現地の旅や生活をより楽しむことができます。

よくニュースにもなりますが、日本のパスポートは世界最強で、最も多くの国との協定があるためなんと2024年現在194の国にビザ無しで入国できます。これは日本の経済力・治安・国民性の賜物とも言えますが、皮肉なことに、日本人は他の国に比べあまり海外に出たがりません。英語力が第二言語としての英語を学ぶ国として87位と、民族として致命的に低いこともその大きな理由と考えられます。

皮肉なことに、どれだけパスポートが強くても、民族として宝の持ち腐れ状態この上ないです。むしろ、ここまで国交交渉にリソースを当てるくらいならより貿易など富を生む分野に外務省のリソースを割くべきでしょう。

さて、ソースによってばらつきはありますが、日常的に英語が話せる日本人は2~7%程度のようです。英語が話せる日本に住む日本人はどんどん希少になっていく(逆に国外に住む英語が話せる日本人は増加傾向)ので、日本に住む選択をしても、海外に出る選択をしても、英語はスキルとして国語と数学の次に、むしろ個人的には日本語よりも英語を優先して学ばせるほうが将来豊かになる可能性があるのではないかと考えています。

教育のコスパの良さ

先述の通り、アメリカはバラツキが広い国なので、どこでも良い公共の教育があるわけではありません。ですが、能力が高ければ狙える教育施設は青天井で、小学生が大学に飛び級できるなどよく日本でも聞く話かと思います。

うちの子どもはそこまでではないですが、それでも学区をより良いところに選ぶことでハイスクールに入った段階でテレビ局やオリンピックプール、バスケットボールやサッカーのスタジアム級の設備、自動車整備工場などがすべて併設された公立のハイスクールに入ることに決まっています。授業料はもちろん微細な教材費以外はほぼ無料です。

一般的な中級階層であれば日本で同等の教育を受けるためにはそれなりの都市部でないといけませんし、インターナショナルスクールの中でもそれなりのところを選び、授業料は子ども一人あたり年間200万円~500万円が相場でしょうか。日本の公立校に通っても塾代も安くありません。結局家計の大部分を子どもの教育費に当てる必要があり、親はパワーカップルと呼ばれる世帯年収1500万円以上あってもあまり裕福な生活はできず、貯蓄もしにくいでしょう。

トップスクールへのアクセスの良さ

アメリカは教育を重要な産業と考えています。なぜなら、教育施設は質の高い研究を行うことで世界から注目を集め、優秀な人材が流入し、研究の成果がどんどん実用化され、軍事力、技術力、国力が増強され富を生むことが常識となっているからです。マサチューセッツ州のボストンなどその最たる例で、世界中の医療・科学・物理などトップレベルの研究を行うハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ボストン大学の3大学校が同じ都市部に存在します

ボストンの最も世帯年収の高い郵便番号02210では世帯年収が18万ドル(1ドル150円換算で2700万円)でした。ポイントはこれが中央値であることで、平均値はもっと高いでしょうし、その土地の並の生活をしているとこの収入水準であるということです。ちなみに日本の世帯収入の中央値は405万円です。

このようなトップスクールの情報の発信地からほど近く、また英語を身に着けグローバル水準の教育も受けているため当然将来の視野、可能性が広がると感じます。日本では最高峰のトップスクールが東大で28位のようです。

人より高い才能を持ち、多額の塾費をかけ、青春を棒に振り勉強に没頭し、受験戦争を勝ち抜いてやっと世界28位の大学に入学でき、多くの場合英語も身につかないのは、果たしてそれが努力のしがいのある学歴なのでしょうか?

なお、アメリカは日本よりも学歴主義が強いため、東大の学部を出た程度でトップレベルの研究を行うのは不十分で、結局海外の留学をせざるを得なくなる可能性が高いです。

ちなみに私の卒業した無名の大学は世界ランキング36位でした。入学の敷居はとても低く、地元のハイスクールので中の上の成績であれば問題なく入れます。もちろん授業は英語でしたし、日本の東北大学に留学もさせてもらえました。

受験回避

受験は日本はじめ中国、韓国の一つの文化とも言えますが、一番大きな問題は教育内容が記憶ベースであり、記憶は情報化社会の中で価値が低下しており、それに対して幼少期の多大な時間が奪われる非生産的な教育方式といえます。徐々に一般知能が検索エンジンや生成AIで代替可能となる中、ホワイトカラーをターゲットとする教育は必要がなくなると言うと言いすぎかもしれませんが、今のような神格化はそのうち時代遅れになると考えてます。

受験回避することでできる時間を使って、文学、音楽、技術やビジネスなど子どもそれぞれの興味や強み中心の内容を学ぶことで開花する才能もあるかと思いますが、その時間をすべて受験に当てたのではその機会も損失される可能性も高くなります。

一方で昨今人手不足の問題が話題となるあらゆるブルーカラーの仕事は給与面でも高騰しており、自分が現役を終える頃は受験などしなくてもいくらでも手を動かして稼ぐ方法はあるはずです。なのに、なぜ日本人の多くは受験に10年以上の貴重な月日を全力投球するのでしょうか?

避けて通れるならそうさせてあげたいと思います。

まだまだ下記の問題点について触れられていないので、これらはまた後日加筆させていただきます。

2. 稼ぎ

3. 経済面

4. ライフスタイル

5. 日本というカントリーリスク


次回はまたビザ解説に話を戻し、E-1とE-2ビザの説明と、特になぜE-2ビザが我々日本人にとって良いのかを解説します。

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