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トラペジウム-感想

トラペジウム(映画)を見てきました。
この作品は人間を書いているからすごい。アイドルになるという経験を通して、途中で諦めること、方向転換を肯定する作品で本当に素晴らしかったです。
主人公の東の性格は素直にいい子とはいえないし、相手を値踏みして自分の損得感情のために利用するし、目的のためならなんでもするという性格で、見ていてこいつ性格悪いなー、とか他のメンバーの気持ちを考えた方がいいよ!と言いたくなるシーンも多かった。でも、夢のためになんでもできる情熱と、計画性とコミュ力があって、そんな彼女が最終的に「アイドルになる」という夢を叶えているのがこの話の素敵なところだと思う。
わたしが「性格悪いな」と思ったところも、他の人にとっては救いに繋がっていた、人生に無駄なことはない、そんな優しさで肯定する作風が好きです。

アイドルになる、人前で踊る、偶像になるという残酷さや過酷さを現役のアイドルが描いているの、すごい。友だちがやるから、やってみよう、でやってみて最初からアイドルになりたかった東以外は耐えきれずに崩れてしまうシーン、すれ違いから泣き叫ぶシーン、それでもアイドルとして楽しかったこと、繋がれたことは肯定する。これが今作をただのギスギスした暗黒アイドルアニメではなく、少女たちが大人になるまでの通過儀礼、夢を見つけるまでのステップにしたのが素晴らしいと思います。
現実のアイドルはいつかアイドルを卒業する。作者の方はその様子を一番よく知っている人だから、アイドルのファン側からは描けない物を書いてくれた、それが今作の意義であり、卒業することの悲しさやオタクのエゴからくるノスタルジーではなく、アイドルだった女の子たちへのエールが込められていて、それが本当に素敵なことだと私は思いました。

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