不合理な信念 - エリス

「イラショナル・ビリーフ」(Irrational Belief、不合理な信念)って、聞いたことありますか?

「行動主義」の流れは、1980年頃から「認知行動療法(Cognitive behavioral therapy)」と呼ばれるようになってきました。やっぱり、人の「意識」って無視できないよねということで。

今回はその中から、エリスが1955年に提唱した「論理療法(Rational therapy)」を紹介します。

論理療法という名称には、なにやら理屈で追い込む印象があるので、後にエリスはそれを「理性感情行動療法(Rational emotive behavior therapy ; REBT)」に改めたそうです。

その基本のステップを「ABC理論」と言います。

★A=Activating Event:個人の心の動きの元となる出来事

B=Belief:認知をつかさどる信念。合理的(Rational)なものと 不合理(Irrational)なものとがある。

C=Consequence:それによって決まる結果

A(出来事)とC(心の問題)が直結しているのではなく、その間にB(受け止め方)が介在するのだという。人が自分を追い詰めてしまうのは、AをCに変換するB、すなわち、そもそも身に付けている信念が、自分が気持ちよく過ごすことに対して非合理的な「イラショナル・ビリーフ」であるからだという考え方です。

そんな非合理を合理に置き換えるためのステップが「DEモデル」。ABCと合わせて、「ABCDE理論」と言います。すなわち、

D=Dispute、論破・論駁。B(信念)が非合理であった場合に「ああ、自分の捉え方が間違ってた!」と、クライエントに気付きを促すのです。それがうまくいくと、

E=Effect、効果があらわれ、心がすっきり整い、そこでようやく自分の本来の目標に即した正しい行動をとれるようになります。

そういえば、一昔前に「ハイ、論破!」っていうのが流行ったけど、あれ、ドヤ顔で言う人の顔をグーパンしたくなりません?わたしはなります。つまり、腹が立つだけでちっとも納得した感じがしない。それではだめです。Disputeは決して「ハイ、論破!」ではありません。

人はどんなに理屈を言われても、自分が納得しなければ変わることができません。また、何を言われるかよりも、誰に言われるかのほうがよほど人を動かすというのは、有名な話です。

だから、対話を通じて来談者の気づきを促すセラピストにはそれなりの素養が求められるのですが、エリスという人は、とても温かく、ユーモアたっぷりなカウンセリングをする人だったんだそうです。

画像1

気になる!ってわけで、ケースの動画(英語ですが、Youtubeの機能で自動翻訳を付けられます)を探して見ました。

初見、子音をパキパキ発音する英語の強さや、クライエントがスパスパ煙をふかしてる!ことのほうに気をとられてしまいました。やはり、時代・文化って大きいなあ…。でも、時にクライエントが笑っちゃうような極端なことを言たり、その歪んだ信念を頭ごなしに切り捨てるのではなくて、その潮位をちょっと下げてみたらどう?という感じで揺らしてみたり(信念になっているくらいだから、そこには、本人が大事にしたい何かの価値観も含まれているのです)、で、最後には彼女をしっかり笑顔に導いている。なるほど。

エリスは、個人心理学のアドラーの影響を強く受けていたそうです。

アドラーと言えば「嫌われる勇気」という本が少し前に流行りましたね。私はよほどでないと自己啓発書は読まないので、手に取ったことはないですが、このエリスも、交流分析のバーンも、人間性心理学のマズローも、みんなアドラー先生の影響を受けたということなので…そろそろ、ちゃんと調べたほうがいいかなと気になり始めた、今日この頃です。

どなたさまも、ハッピーなライフキャリアを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?