インテントセールス企業がなぜ今「インテントマーケティング」を推進するのか?
こんにちは、株式会社Sales Marker 代表取締役CEOの小笠原 羽恭です。
いつもSales Markerのnoteをお読みくださり、本当にありがとうございます。
すでにインテントセールスをご存じの方の中には、
「自社で導入して成果を上げている」
「導入はしているが、もっと可能性を広げたい」
といった視点でご関心を寄せてくださっている方も多いのではないでしょうか。
私たちも、インテントセールスの活用を通じ、さまざまな企業さまの商談創出や成約率向上を支援してまいりましたが、その過程で「検索行動まで至っていない潜在顧客をもっと掘り起こしたい」というご要望をいただくことが増えてきました。
「インテントマーケティング」は、インテントセールスと組み合わせることで相乗的に効果を発揮できる新しい時代のマーケティング手法です。
本日は「インテントマーケティングアドベントカレンダー2024」の投稿として、「インテントマーケティング」の概念やメリットについてお話ししたいと思います。
インテントセールスの成果と課題
インテントデータで精度の高いのニーズを最適なタイミングで掴む
まずは、「インテントセールス」について改めて振り返ってみます。
インテントセールスとは、企業のWeb検索などの行動履歴データから、興味関心の対象や検討の段階を推測した上で、相手に合わせた最適なチャネルとメッセージでアプローチする営業手法です。
従来は、接点を持てた見込み客と継続的に接触し、バイヤージャーニーを進めるのが主流でした。課題の認識から購入までのプロセスで、見込み客と一度も接点を持てないことは珍しくありません。
見込み客と継続的に接触することでバイヤージャーニーを進めることを主流とする従来の営業手法では、接点を持ってからでなければアプローチできないため、機会損失が発生する可能性が高いのです。
しかしインテントセールスを導入すると、顕在ニーズの高い企業を特定し狙い撃ちでアプローチできるようになるため、テレアポやメール送信、フォーム送信などのアウトバウンド活動における成約率が飛躍的に高まります。
実際にSales Markerをすでに利用しているお客様からも、
「インテントセールス導入1ヶ月で1,000万円超の案件を受注した」
「商談数が従来の10倍近くに伸びた」
など、喜びの声を多くいただいています。
こうした成功事例が広まることで、インテントデータを活用する営業手法「インテントセールス」は急速に注目度を高めてきました。
インテントセールスは企業単位のインテントを可視化する
インテントセールスは「企業の中の”ある個人”が今、検索行動やサイト訪問といったアクションを起こしている」といったピンポイントなインテントを捉えることができます。
企業単位でのインテントを捉えることでBtoBセールスに必要な情報を揃え、最適なアプローチに繋げることができるのです。
インサイドセールス・フィールドセールスの領域で重要なのは「これからお話しする相手が何に興味を持っているのか、どのくらいの興味度なのか」という点です。
企業単位でのインテントデータをセールスフローに組み込むことができれば、商談相手に最適な提案を用意することができ、次のフェーズに進めやすくなります。
言い換えれば、インテントセールスは「企業または個人が持つ顕在ニーズ」を正確に拾うための最適解ですが、その手前の段階――業界単位でのニーズ分析や、まだ検索行動に移っていない企業へのアプローチには、インテントセールス以外の新しい考え方や施策が有効となります。
インテントマーケティングは業界単位のインテントを可視化し、インテントを生み出す
インテントマーケティングではインテントセールスの前段階として、より顧客を”マス”で捉えた分析やアプローチが可能になります。
マーケティングの視点でインテントを活用すれば、このように業界や企業属性ごとにセグメントを切ってマーケティングの効果を検証・分析することができます。
また、BtoBにおいては、「検索以前の段階」で情報をつかみ、検討フェーズがスタートするということも少なくありません。
・担当者が展示会で見かけた導入事例に興味を持って社内で話題にする
・プレスリリースで初めてサービスを知りSNSの投稿でさりげなく触れる
こうした行動は、潜在的なインテントと言えます。
そして、その潜在インテントを仕掛ける側がマーケティングチームなのです。
認知段階から戦略的にインテントを醸成しておくことで、「検索してもらうまで待つ」スタイルから一歩踏み込み、より早い段階で顧客の興味関心を捉えることができます。
インテントマーケティングを組み込むことで、その潜在ニーズがより鮮明になり、最終的にはインテントセールスのフェーズに乗せやすくなる、という効果も生まれます。
このように、”マス”に対する施策と”潜在ニーズ”を生み出す施策の実践形態こそが、従来のマーケティングにインテントの概念を組み合わせた「インテントマーケティング」です。
マスに向けた情報発信やブランディング、広告、そして市場全体の可視化といった取り組みを「インテントデータと組み合わせる」ことで、より大きなビジネスチャンスを捉えられるようになります。
インテントセールスとインテントマーケティングの相乗効果
既存の顕在ニーズを捉えつつ、潜在ニーズを可視化する
インテントマーケティングでは「見込み顧客の行動データ」を軸に、どのようなコンテンツを提供するか、どの時点で広告を見せるか、どのターゲットセグメントにイベントを案内するか、といった“顧客体験”の全体設計を行います。
そうすることで、まだ検索行動にまでは至らないものの、「こういうサービスがあるのか」と興味を持ち始める企業を増やすことが可能になります。
そこで“興味を持ち始めた”段階の見込み顧客が実際に検索行動を行ったり、特定の資料をダウンロードしたりしたタイミングで、改めてインテントセールスが効果を発揮します。
顕在化したインテントに対しては、すでに認知施策で接点があったことも手伝い、商談化率が高まることが見込めます。
先回りの市場開拓で競合優位性を高める
BtoB商材では、同じような製品やサービスを提供する競合企業と、先に商談獲得をするための競争が発生しやすいです。
従来のマーケティング・営業スタイルでは、顧客が検索して問い合わせてくれた段階でやっとアクションが可能になり、その段階からいかに早く商談に進めるか、という点にリソースを割くことになります。
しかし、インテントマーケティングで潜在ニーズの顧客に先回りしてアプローチしておけば、顧客が本格的に比較検討フェーズに入る前から第一想起として上げてもらえるようになり、いち早くアクションを取ることができます。
「この課題、実はうちのサービスで解決できるかもしれません」といった提案を早期に行えれば、競合他社が参入する前にリレーションを構築できる可能性が高まります。
この「先回りの市場開拓」は、短期的にも商談機会を増やしますし、長期的にはブランドイメージやエバンジェリストを増やす効果も期待できます。
「こういう課題であれば、あの会社が解決してくれるのではないか?」と思い出してもらえる機会が増えれば、インバウンドの問い合わせも増加しやすくなります。
BtoBのマーケティング&営業フロー全体を変える
インテントセールスが「ニーズが顕在化している企業」に集中できるように「潜在的に課題を抱えている企業」に情報を届け、徐々にインテント(興味関心)を高める役割も担うのがインテントマーケティングです。
たとえば、ブランド認知施策、PR施策、SNSによる情報発信、オウンドメディアでのコンテンツマーケティングなどを総合的に組み合わせ、「課題認識を深めていただく」「新しいソリューションを知っていただく」ための施策を図ります。
この段階で生まれたインテントが徐々に顕在化し、検索行動や比較検討に進んだ時点で、インテントセールスが出番となり、スムーズに商談化への流れを作ることができます。
つまり、インテントマーケティングは「認知から検討フェーズまで、一貫してインテントデータを活用する」ための仕組みと言えます。
インテントマーケティングを実践する際の4つのポイント
1. インテントホイールで顧客起点を徹底する
インテントマーケティングを語るうえで欠かせないのが、「インテントホイール」という概念です。これは、顧客が抱える課題や興味関心(インテント)を起点として「インテントジェネレーション」「インテントシグナル」「インテントアプローチ」の3つが循環するビジネスサイクルを指します。
インテントジェネレーション:マーケティングやブランディング活動によって、潜在顧客が課題を認識するきっかけを生み出す
インテントシグナル:顕在化した検索行動やサイト訪問履歴など、顧客が発信するシグナルをキャッチして分析する
インテントアプローチ:シグナルを基に最適なチャネルとメッセージで顧客にアプローチし、商談や成約につなげる
この3要素が螺旋状に回り続けるのが「インテントホイール」です。
インテントセールスはあくまでこのホイールの一部であり、マーケティング活動も含めて全体を回すことが、持続的かつ加速度的な事業成長につながります。
インテントホイールについては、当社HP内「顧客起点で事業を持続可能に成長させる 「インテントホイール」とは?」でも詳細に解説しています。
BtoB企業が顧客起点でビジネスを進めるための重要な概念として、ぜひインテントホイールの構造を理解し実践してください。
2.データドリブンな分析基盤を整備する
インテントマーケティングでは、大量の行動データ(検索履歴、サイト訪問履歴、広告クリック履歴など)を扱います。これらのデータをリアルタイムに統合・可視化し、施策に反映するためには、データ分析基盤の整備が不可欠です。
具体的には、マーケティングオートメーション(MA)ツールやCRM、SFAなどのシステムと、インテントデータツールを連携させることで「どの企業がいつ、どのようなキーワードで検索したのか」や「どの広告をクリックしたのか」「どのタイミングで資料ダウンロードしたのか」などを一元管理できるようにします。
当社でも、インテントマーケティングを実現するためのツール「Marketing Marker」をリリースしています。
これらのツールを利用しながらデータドリブンな分析を行えるような基盤を構築することによって、「いつ、どんな施策が効果的だったか」をPDCAサイクルで回しやすくなり、マーケティング&営業活動の精度をどんどんと高めていくことが可能となります。
3. マーケティングとセールスのKPIを共通言語で設計する
従来、BtoBマーケティングにおいては「リード数」や「資料請求数」などがマーケティング部門のKPI、そして「商談数」や「成約数」が営業部門のKPIになっているケースが多く、それぞれのチームが別々の評価基準で動きがちでした。
しかし、インテントマーケティングを実践するのであれば、マーケティングと営業チームが「インテント」に基づいた共通指標をもつとスムーズです。たとえば、
インテントスコア(行動データから見た購買意欲の高さ)
インテントフェーズごとのリード数(課題認識~比較検討など)
などをモニタリングし、双方が「いま顕在フェーズにいるリードは〇社」「潜在フェーズだが今週動きがあったのは〇社」というように同じテーブルで議論できると、企業全体の成長を加速させやすいでしょう。
4. アウトバウンドとブランド認知施策の連動を強化する
また、必ず意識したいのは「アウトバウンド型の営業手法と、ブランド認知施策を切り離さない」ということです。
たとえば、展示会や広告、SNSでの露出などによって市場全体に“課題と解決策”を認知させつつ、そこから生まれた興味をインテントシグナルとして早期にキャッチできる体制を整えます。
すると、営業チームが「実際にこのキーワードを検索した企業が現れましたね」と報告を受けてアウトバウンドコールを行う、という一連の流れが自然に回るようになります。
この段階で大切なのは、マーケティングチームと営業チームがどんなメッセージでアプローチするのか、どのようなキーワードを監視しているのか、互いに共有していることです。
連携がうまくいけばいくほど、広告施策やSNS投稿が生み出すインテントを最大限に活かせるようになるでしょう。
さいごに
マーケティングにもインテント視点を組み込むことで、インテントセールスの精度をも向上させる
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
改めて、インテントセールスはBtoB営業の大きな進歩と言えます。
今この瞬間にも、検索行動をベースにしたインテントデータは各企業の課題感を浮き彫りにし、商談数や成約数を飛躍的に伸ばしてくれるツールとして多くの企業に導入されています。
「今のニーズ」を確実に取ることはもちろん大切ですが、「これからニーズ化しうる潜在的な企業」にも先回りして情報を提供し、興味関心を醸成していく取り組みは今後ますます重要になっていくでしょう。
だからこそ、営業と同様、マーケティングにもインテント視点を取り入れることが求められているのです。
さらに広がるビジネスチャンスを「インテントマーケティング」で先取りする
BtoB業界は、デジタルシフトや海外競合の参入など、変化のスピードがますます加速していくと考えられています。
その中で、インテントマーケティングによって“インテントホイール”を回していく企業は、既存の顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズや今後生まれるであろうニーズも先取りすることが可能になるはずです。
商談を獲得するための仕組みづくりだけでなく、潜在顧客の認知や興味を高める段階から「顧客起点」を意識することで、より強固なパイプラインと長期的な信頼関係を築くことができます。
インテントセールスの強みを活かしながら、さらにその一歩先のインテントマーケティングを実践することで、BtoBマーケティングの可能性を広げていきましょう。
あなたの企業がこれから挑戦する領域にも、必ず“インテント”が存在するはずです。ぜひ、そのインテントを起点にビジネスを一気に加速させてみてください。