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魚をD2Cで販売する可能性~E-Fishのサービスから~

今回はこちらの記事から考えたことを書いていきたいと思います。

テーマは「漁業問題」です。

・漁業における問題とは?

現在、日本では漁獲高が年々減ってきている傾向にあります。

「単純に、日本人が魚を食べなくなったのでは?」と私は最初に考えたのですが、どうやらそういうことではなさそうです。
理由は、2016年に国内で436万トン水揚げしているのに対して、国外から約230万トン輸入しているからです。つまり、国内だけでは足りない部分を輸入で補っていることになり、魚を日本人が消費していることが分かります。

では、どうして漁獲高が減少してきているのか、ということになりますが、理由はいくつかあると思います。例えば、地球温暖化や海洋汚染といった環境的要因で、もちろんこれらも以上に大きな要因です。
ただ、こちらのデータを見ていただけたら分かるように、世界平均的には漁獲高は増えています。環境だけが原因なら、世界中で漁獲高が減少してもおかしくないはずです。つまり、環境以外にも理由があると捉えました。

私は、今回その理由を「魚の獲りすぎ・乱獲」だとして、話を勧めていきます。
実際、Smart Kitchen Summit JAPAN 2020では、「乱獲」を漁業会一番の課題と捉え、課題解決に取り組まれている方のお話をお聞きしており、乱獲も重要な課題だと認識しています。

・E-Fishってどんなサービス?

ここで、今回紹介させてもらう記事に載っているE-Fishがどのようなサービスなのか、簡単にまとめます。

率直に言うならば、E-Fishは魚のD2C企業です。
漁師と生活者を直接つなげるサポートをし、獲れたての魚を購入者にそのまま届けます。

E-Fishは元々、B2Bを中心にしていてレストランに商品をおろしていましたが、コロナ禍でレストランが多く休業する中で、方針を転換したそうです。

特徴は、「大体の場合、注文されてから獲る」スタイルであることと、「トレーサビリティ」していること。
この2つの特徴やE-Fish独自のビジネスモデルによって、漁師・生活者・環境の関わる3者にメリットを生んでいます。

具体的には、
漁師:予め売れると分かっている商品だけを獲ってくればよいため、売上につながりやすい。E-Fishを通じて顧客の生の声を聞ける。販売・営業に労力を割く必要がなくなる。
生活者:産地直送の魚が自宅で手に入る。どこで獲られて、どのように運ばれてきたのかを知れるので、安心感がある。廃棄の量を減らせる
環境:生活者がほしい分だけを獲ってくるので、乱獲がなくなる。廃棄される量も少なくなる。
というメリットがあるでしょう。

・どのように課題解決をする可能性があるのか

上述させてもらいましたが、E-Fishのサービスを利用することで、漁師達は必要な分だけを海からとってきます。捕まえる際には、基本的に網ではなく釣り針を使うことで、このシステムを成り立たせているそうです。

これによって、魚を必要以上に獲ってしまう可能性がなくなります。
先に魚を獲ってきて、捕まえた中から販売するとなると、結局必要以上になっている可能性があるはずです。なので、E-Fishのビジネスモデルだからこそ、「乱獲」という問題は解決に迎えると思います。

加えて、生活者のメリット欄で「廃棄の量を減らせる」としましたが、これがどういうことなのかここで説明させてください。

E-Fishのサービスにはトレーサビリティがあることは既にお伝えしました。トレーサビリティは「追跡」のことで、生産から消費までをデータとして可視化するのです。
仮に、ある家庭に届いたサバが腐っていた場合、これまでだと全て廃棄しなければいけませんでしたが、トレーサビリティがあると特定のトラックで運ばれたサバだけを処分するだけでよくなります。結果、廃棄の量を減らせるのです。

・日本だと同様のサービスはあるのか。また、可能になりそうか

調べてみたところ、「先に注文を受け付けて、そこから魚を獲りに行き、発送する」というスタイルのD2Cをしている企業は見つかりませんでした。

ただ、日本でも魚のD2C自体を始めている企業はあります。
また、Ocean to Tableさんはブロックチェーンを活用したトレーサビリティを開発することで、魚に付加価値を付け、漁師さんの収入を安定化させるための活動をしています。
Chefs for the Blueさんはサステナブルな海を目指す団体です。

すでに存在するこういった団体が、日本の食品EC化率の上昇と共に注目を集めるようになれば、「E-Fish」のようなサービスをもつ企業がいつ現れてもおかしくないと思います。

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