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ジャン=リュック・ゴダール「勝手にしやがれ」(1960)90分

 言わずと知れたヌーヴェル・ヴァーグの金字塔とされる作品である。今回は「ジャンプ・カット」を普及させたという点でも注目してみた。YouTube「シネマサロン」で竹内伸治さんが「『勝手にしやがれ』を若い人が見て、普通の映画だという。でも、それはゴダール後に慣れているからで、当時のゴダールの革新性は変わらない」と力説していたことも気になっていた。さて。。。

 まず、90分という尺は素晴らしい。何がいいって、100分の講義時間で見せることができる。そして、26歳のジャン=ポール・ベルモンドと20歳のジーン・セバーグの輝きも変わらない(ジーン・セバーグはその倍しか生きなかったというのは、切ないけれど)。

 この映画の革新性は、なんといってもカメラが街に飛び出したということだそうだ。実際、2人がパリの街を歩くシーンは周囲の人がジロジロと見ているのがおかしい。米大統領のパレードも実際のパレードに合わせてロケを敢行したのだろうか?今の日本では難しいだろうが、ゲリラ撮影もワクワクさせる。

 そしてジャンプ・カットである。いきなりミシェル(ベルモンド)の運転シーンで、車窓のフロント前の道路がジャンプ・カットする。長距離移動を表現?

 ミシェルがパトリシア(セバーグ)を車に乗せて走るシーン。パトリシアのバックショットにミシェルの彼女を礼賛するセリフ。そのセリフに合わせての、ジャンプ・カット。パトリシアは背中を向けてるし、話しているミシェルも映っていないのに。これは、彼女を褒め称えるミシェルの気持ちの強調なのか?

 そしてパトリシアが新聞社の男から仕事をもらうレストランのテーブル。男が突然話し出す「昔の女」の話。ここで必殺!ジャンプ・カット。退屈そうなパトリシアの顔も相まって「どーでもいい話ダラダラしてんじゃないよ」効果満載。
 
 終わってみるとあっという間。そうだっけ?こんな話だったっけ。アンナ・カリーナの方が好きだけど(アンナさん、階段降りたところで一瞬、カメオ出演してませんでした?)、セバーグのショートカットも美しい。そしてラストシーンのベルモンドは、さすがルパン3世のモデルのキレのある身のこなしだ。

 やっぱ、この作品は今の学生さんに見てもらいたい。彼ら彼女らの反応を知ることも研究だろう。 

 

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