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春画復刻プロジェクト①

左半分の主版が出来ました。

試摺をして線を確認しながら細かい調整をしています。

昨今様々な所で春画の復刻が行われていますが、そういったものと違い自分の復刻は絵具や紙といった素材の復元も含め行います。明治を境に浮世絵の紙や絵具は大きく変容します。江戸時代のものは現代の職人には受け継がれていません。
江戸時代の浮世絵の絵具とその色(そして紙も)を知らない人達が全く違う絵具で当時のものを再現しましたと謳っている復刻の現状を見るたびに、根拠は何なんだろうと思います。(退色したものを退色したままに復刻されてるものも少なくありません。版木の線や紙へのダメージ加工がされずに部分的な色だけ退色させてもちぐはぐな違和感しかありません。因みに現存状態の再現に関しては高見澤遠治さんと言う方が天才の仕事をされています。)

色彩の探求と解明、失われた素材の開発には一生を費やすかもしれませんが江戸時代の色彩の事実を提示出来なければ現代において浮世絵の復刻をする意味がないように最近は感じています。
そして江戸時代の浮世絵の旬の色がどういうものか知っていてそれを復刻にも求められているような方に出会わなければいけないとも感じています。(版元や職人といった伝統を継いでいると言われる世界にはその様な人はいませんでした。一般のお客さんにも殆どいないように思われます。世間では版元さんや伝統木版画の組織・団体が出されている復刻を江戸時代の摺上がりのものの再現だと誤解されている方が多いように感じます。版元さんはそういうことを明言してやってこなかったり、嘘をついてやっている人達もいるので仕方ないことです(お客さんの興味関心の低さもあると思いますが)。浮世絵の復刻のような仕事は昔からやっている人達のやっていることが正しいものだと世間では通ってしまいますが、所属してる団体や組織、肩書きや経歴は復刻の本質とは関係ありません。分かる人には分かるし、分かる人にしか分からないことかもしれませんがそういう人達に出会わなければ自分の仕事は成り立たって行かないような気がします。)

2019.3.28

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