リトリートをふりかえる 其の四
The Villageの外装内装を含むデザイン、そして至るところにある「ナニコレ素敵ー」な家具や調度品を見ながら、そして、その品々をどこでどう見つけてきたかを楽しくケイコさんから聞いているうちに、Yちゃんは——というか実はきっとゆうちゃんも、さらに正直ちゃっかりぼくも——「掘り出し物掘り出したい気分」とでも呼びたくなる状態になっていた、気がする。そんなこんなでインナートリップのまた別のある日、ぼくたちはケイコさんのお気に入りのお店がある町、Honokaaを目指して出かけた。
お昼はWaimeaのVillage Burgerというハンバーガー屋さんで、腹ごしらえ。タロイモのバーガーも美味しかったけれど、しいたけ他二種類くらいのキノコを合わせたパテのバーガーが抜群に美味しかった。あぁ、いま食べたい。
お腹が満たされて、心も満たされて、しかし例の不思議な状態なままのぼくたちは、Waimeaをあとに目的地Honokaaへ。心は「レッツ・ディギン」なる鼻歌をインプロビゼーションしていた、気がする。「ちょっとそこまでお買い物」なだけなはずが、もちろんそれだけなはずはなく——簡潔に申しますが、はい、買い物もしました——またスペシャルなドラマが起きる。
家具、調度品、洋服、お香やクリスタル、生地、一本の通りに様々なお店がある。有名な(らしい)映画館は閉まっていた。何軒目だったかは覚えていないけれど、生地を主に扱っているお店に入って、商品をあぁでもないこぉでもない見ていたら、驚きと喜びの合わさった声がふたつ響いた。ハワイ島の小さな町のとある通りの小さなお店で、Yちゃんが日本の友達とバッタリ。お店の外であらためて挨拶をし、ぼくたちも話に加わる。そしたらゆうちゃんも以前お会いしたことがあったり、どうやら縁があるらしいじゃないですか。ワォ——でもそんなワォがいつだって自分の人生にも周りの人生にも溢れてることに気づくと、驚くというよりは笑えたり、「はい、でましたか」という気分になる。
その方と一緒に来ていた方たちもYちゃんのお友達だった。輪になって話していくうちに、どうやらその方たちのお友達がいまさっきヒロ空港に降り立ったところで、しかしその日の宿だけまだ見つかっていないから、どこか見つけてあげられないかと工面しているところだと判明。判明続きにその方がYちゃんのお友達で、ゆうちゃんも何度か会ったことがあるひとだと判明。さらにぼくが前から気になりつつも、受けたいセラピストに「なんでだか」出会えていないクラニオセイクラルのセラピストだと判明。判明しすぎだし、世間狭すぎだしでほんと最高。Yちゃんが「是非泊まってもらったらどうだろうか」というので、もちろん二つ返事でワイ・ノット(「なしなわけないやん」的な、つまり「もちろんOKでしょ」というやつ)状態なぼくたち。連絡先も知っているそうで。あれよあれよと、ヒロで待ち合わせをすることに。
Yちゃん思い出のカヴァバーで待ち合わせとなって、うちらは先にお店へ入り、カウンターに座る。「カヴァ」というのはハワイアンを含むポリネシアのひとたちの伝統的な嗜好品。カヴァという樹から作られるドリンク。「カヴァを飲むと、いつもそこにはひとが集まって、みんな食べものも持ち寄って、リラックスして談笑していたらしい。昔の社交の場だったんだろうね」と隣の白人のおじさまが丁寧にカヴァについて教えてくれた。大地と先祖とシェアをして飲むという伝統的な飲み方からハワイアンの死生観、世界観、時間軸を感じる。そうこうしてるうちに、急遽一晩ひとつ屋根の下で時間を共にすることになったSちゃんがやってきた。聞けば初アメリカだという。はじめてのアメリカがハワイ、しかもハワイ島とは、なかなか素晴らしい。さらに、そこでまずハワイアンの伝統的な飲み物をハワイ島の大地、そして先祖とシェアしてはじまった彼女の旅も、ぼくたちやYちゃんの旅同様に明らかに祝福されている——ハワイ島のあと、カウアイ島に渡った彼女の旅の続きを、共通の友人から聞いたけれど、それはそれはスペシャルで、ミラクルだった。そこにはやはりハワイアンのひとたちの存在、行動があり、その根底にあるのは純粋なalohaだった。
宿に戻って、Sちゃんがチネイザンを是非受けたいとのことで——翌朝ぼくはSちゃんからクラニオセイクラルを受けた——受けてもらった。そのあとはゆうちゃんの美味しい美味しいご飯。この頃はすでにもはや定番となっていたYちゃんの星占いにひたすら納得しながら、食卓を囲んでの談笑は遅くまでつづいた。いろんな話の端々に、神話や女神、そして日本とハワイがあった。Sちゃん、素敵なサプライズな登場、プラスαで宇宙の遊び心を見せてくれてありがとう。再会楽しみにしてます。
「内なる声が宇宙の導きを示してくれる」
旅はよくこのことを教えてくれるけれど、ぼくにとってチェンマイとハワイ島では、特に明確に宇宙がこのことを見せてくれる気がする。初日から続いた、「スケジュールに縛られない」「そのときの気分に従う」旅程が、インナートリップ・リトリートを一段とスペシャルな旅にしてくれたと思う。この翌日ぼくたちは、数百メートル先をものすごい勢いで、濁流となって流れていく溶岩を見た。数日前に、夜空に映ったペレの趣とはまた違うけどこれもまたひとつのことの別の面。混沌とした混交複層な現実を見るたびに、全員の内なる旅は深まっていった気がする。
以上、インナートリップのふりかえりでした。明日からはいよいよ、腸内デトックスをふりかえろうと思います。
kentaro
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