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【全文無料】『ヒマな』うつ病の回復過程にひそむ4つのワナと対策
こんにちは。うつ病、発達障害者の、うきまろです(^^)
今回のテーマは「心身の不調とヒマ」についてです。
うつ病のような、心身の不調に陥ったときに訪れる、何も活動できない「ヒマ」。そしてそこからの回復過程にひそむ4つのワナと、その対処法について考えてみました。
調子が悪くなるとヒマにならざるをえない
「ヒマだから余計なことを考えて鬱になる(あるいは鬱が治らない)」という話を耳にすることがあります。
ですがいったん本当に心身の調子が悪くなると、エネルギー(気力や体力)がなくなり、「ヒマ」にならざるを得ないと思います。
ですので、うつ病当事者の私としては、「ヒマだから調子が悪くなる」というより、「エネルギーがなくなるからヒマになるしかなく、そこから余計なことを考えるなどして調子が悪くなる」と言ったほうが、より正確なように感じます。図で表すと以下のような流れになるのではないかと考えています。
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そして一度そこまで調子が悪くなると、回復するのには時間も労力もかかってしまいます。
理想的な回復の流れと、その難しさ
理想的な流れとしては、
エネルギーがなくて動けないから、動かずにいるしかない(非常にヒマ)
→そして少しずつエネルギーが溜まるのを待つ(大変ヒマ)
→できる範囲でできることをする+ムリはしない(やはりヒマ)
ということになるでしょう。 この流れに沿うことが重要。
それはわかっています。ただ「それができれば苦労してない〜!」という話ですよね。
このような思いが生まれる原因として、この「ヒマな」回復過程には4つの問題(ワナ)があると私は考えています。
エネルギー回復期間中の4つのワナ
①よくないことを考えてしまう
この記事の初めの方にも書きましたが、暗いことを考えてしまうのですよね。
エネルギーがある程度以上溜まるまで(=何らかの活動ができるようになってくるまで)は本当にヒマで、その間どうしてもよくないことを考えてしまいます。
例えば、将来の不安や、自責、他者への迷惑、「今の自分に存在する価値があるのか」などです。
また、動けないのに頭痛や悪心などの身体症状に悩まされ続けることからも「ちゃんと治るのだろうか」と不安な気持ちになります。
②回復ペースがゆっくりで焦る
エネルギーが溜まっていくのが、本当にわずかずつの、ゆっくりペースなんですよね。
加えて、回復は決して右肩上がりではなく、「昨日より少しマシかな?」と思っても、次の日にはまた体調が下がったりします。 このため、やはり活動できる時間は少なく「ヒマ」を感じ、そこから焦燥感も抱きやすくなるでしょう。
もどかしく感じてイライラしたり、まだ回復が足りてないのに焦って活動し始めてしまうかもしれません。
③エネルギーがなくなるのは一瞬
エネルギーが溜まるのはゆっくりなのに、なくなるのは一瞬、あっという間だということも留意点です。 注意したほうが良い状況は、次の2つです。
1.エネルギーがまだ不足してるのに油断して活動してしまうこと
2.突発的な出来事が起こって活動せざるを得ないとき
(こちらの場合は、できるだけ人の手を借りるなどして乗り切りたいものですね。)
これらのような時に、今までに大切に大切に溜めてきたエネルギーを、あっという間に消費してしまい、またツラくて退屈な回復過程を、1からやり直すという羽目になってしまうワナがあります。これに陥ると、自己嫌悪や徒労感に襲われてしまうかもしれません。
④自分に合う回復方法を見つけるのが大変
何が自分にとって少しでも回復を促進させるのかを見つけるのも大変です。
例えば、
●寝るときに自分に相性のいい肌触りの毛布やタオルケットを見つけること
●筋弛緩法などのリラクゼーション法が合うか
●瞑想、マインドフルネスが合うか
●カウンセリングが自分に合うか
●住んでる家の環境が静かで休まるか等
これらを検討することは、特にうつ病などの不調が重い場合、エネルギーの回復に時間がかかるため、必要になってくるでしょう。
これも見つけるのが大変なため、なかなか見つからずに悶々と過ごすことが多くなりがちだと思います。 また、うつ病などが重い場合は、これらのことを「試してみる気力」さえ湧かないこともあるでしょう。
4つのワナにどう対処するか
ここが本当に難しいところだと思います。ある精神科医の先生は「うつ病の治療は、いかに時間を稼ぐか」という趣旨のことをおっしゃっていましたが、私もその通りだと思います。
そこで、疲れているときに時間を稼いだり、少しでもマシな気分で過ごすための対処法を、それぞれのワナごとに考えてみました。
①「よくないことを考えてしまう」への対策
●軽い娯楽
今の自分にできることで、余計なことを考える頭の余裕をなくすのが良いかもしれません。
例えばマンガや写真集を眺めたり、ラジオを流しっぱなしにする、ゲームをするなどです。(ただし私はゲーム/ネット依存になってしまったので、個人的にはゲームやネットはあまりオススメできません)。
●寝る
あとは、夜に眠れる程度に昼寝や午睡をすることでしょうか (夜寝るために、室内を歩くなどの運動ができたらよいと思います)
②「回復ペースがゆっくりで焦る」への対策
●一喜一憂しないように心がける
「調子の波があるのが普通」なので、調子が下がった日にできるだけ落ち込まないように意識する。 (とは言っても落ち込むのも普通の反応だと思いますので、もし落ち込んでも、落ち込んだ自分を責めないことが大切ではないかと思います。)
●過去と比較する
例えば1ヶ月前、3ヶ月前と比べて、どれだけ動けるようになったかを確かめる。
私はスケジュール帳に活動できた時間をメモすることで、「先月より活動時間が伸びてるな」と、数字ではっきり分かるようにしています。それが進歩を自覚し、心を安定させることに役立ってくれています。この方法は特にオススメです。
ポイントは、「昨日と比べてどうか」ではなく、「1ヶ月前」などのように、ある程度長い期間で比較することです。
その理由は2つあり、
1つ目は、気分を安定させるためです。
うつ病などの場合、調子の波がありますので、「昨日」と比べると「少しよくなった」あるいは「悪くなった」のように変化が激しくなります。そこで一喜一憂するとその日ごとの調子に振り回されて疲れてしまうため、より長い期間で比較した方がいいと考えられるのです。
2つ目は、「1ヶ月前」などの長い期間で比較すると、成長が現れやすくなるからです。私の場合は毎日の活動時間を合計し、月ごとの活動時間を比較しています。そして「1ヶ月前と比べて、ひと月の活動時間が〇分(〇時間)伸びた!」と、比較的大きな成果として喜べるのです。
③「エネルギーがなくなるのは一瞬」への対策
●「回復した気がする」段階で動きすぎない
うつ病の回復過程では、「回復した気がする」という段階があります。 そのときに油断せず、「あえてまだ休む」というくらいの気持ちでいるのが丁度いいのではと思います。
私自身、何度も「あえてまだ休んでおけばよかったなぁ」と思いました。
●用心深く活動のバランスをとる
例えば、午前中に1つ活動をしたら、午後はゆっくりするといった具合です。これにより、午前中の活動での疲れを午後になってから認識することで、「思った以上に疲れてた」ということを自覚することもでき、それ以後、より用心深く過ごすことを意識しやすくなります。
●不測の事態に備える
何か予想できない出来事が起こったときのために、エネルギーを残しておくことも大事です。 特に、「新しいこと」をするときには注意です。新しいことは、思った以上にエネルギーを消費しやすいからです。そのため、いつもよりエネルギーの消費量を多く見積もっておくことが必要でしょう。
●無理解な言葉をかけてくる人から離れる
エネルギー回復期間は長期化することが多いでしょう。その間に、例えば家族から「もう働けるんじゃないの?」などの言葉をかけられると、そのプレッシャーや不快感から、今までに溜めたエネルギーを消費してしまう場合があります。
上記の場合、疲れているときに実家ぐらしから一人暮らしに変えるのは、かなりの負担がかかり、実行が難しいことではあります。ですがもし可能なら、すこしでも安心して過ごせる環境に移りたいものですね。ちなみに私も、主治医から実家を離れるように言われました。
④「自分に合う回復方法を見つけるのが大変」への対策
試してみる/探してみる気力も湧かないときは、しばらく休むしかないでしょう。ですが、自分と相性のいい回復方法を見つけられたら、それは大きな進歩に繋がります。
ですので、ほんの少しずつでも自分に合いそうなものを探し、試してみてはどうかと思います。
毎回効果をがあることを期待しながら探すと、望む効果が得られなかったときに疲れてしまいますから、「ちょっとやってみる」程度の気持ちで試すのがよいと思います。「見つけられたらラッキー」という感じです。
私の場合は、長い期間を経て、静かに過ごすことが合うことや、寝るときに相性がよいと感じる寝具を見つけられました。 また逆に、瞑想やリラクゼーション法が合わないこともわかりました。
自分にとっての「合う合わない」を知ることで、自分自身を知ること(自己理解)にも繋がってきます。自己理解は回復と大きく関わっていると思います。自分に合うことを見つけていき、それを実行していけば、よりよく自分を休めることができるからです。
4つのワナを乗り越えるために一番大切なこと
●客観視(ワナに気づく)
最後に、上記の4つのワナすべてに使える対処法として、
「ワナに気づくこと」をお伝えします。
・「あ、今ネガティブなことばかり考えているな」
・「焦っているな」
・「エネルギーを使いすぎたかも」
・「休み方がわからなくて悶々としてるな」
このように、4つのワナのいずれかに直面したときに
「いけないいけない、ワナにハマるところだった」
と冷静に自分を客観視して気づいていくだけでも、状態の悪化や回復のやり直しに陥ってしまう可能性を低く抑えることができるのではないかと思います。
また、4つのワナに対処するためには、まずそれにハマりそうになっていることや、すでにハマってしまっていたことに気付くことがスタート地点だと思います。そのため、ここが1番重要と言えるかもしれません。
最後に
いかがだったでしょうか? 今回は「心身の不調とヒマ」について、そこに回復を難しくさせる4つのワナがあることと、その対処法についてまとめました。
対処法については、現在の個々の調子によっては「まだできない」と感じられたものがあったかもしれません。だとしたら今はまだ、ひたすら休む時期なのかもしれません。まずは休み、少しずつ上記のような対処法を実践できるようになっていくことを願っています。
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