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感想「陰陽師と天狗眼―潮騒の呼び声―」(歌峰由子)

公務員陰陽師とフリーランス山伏の、ルームシェアブロマンスファンタジー。
今巻では、小学生のころの水難事故までの記憶がない、山伏怜路と姉との話。
かわいい白蛇白太さんの家出。
陰陽師美郷の弟の話。
の三本立てです。
恐れ入ります。我を忘れております。

さて、主人公宮澤美郷の分身、白蛇の白太さんが家出する冒頭。
残業やだ! って勝手に帰る白太さん、ちみっこしていてかわいいと思いました。
しかし白太さんは自我あれど本体は美郷なので。
「残業投げ出して帰りたい!」も、美郷の切実な本音ですし、自分同士で喧嘩してたんやなアレ。

さて、懐具合が少しよくなった今巻。
美郷は怜路のバイト先居酒屋の、行きつけとなったわけですが。
広瀬とのわだかまりも解けたようで、飲み仲間ができてよかったよかった。
そしてお姉ちゃんっ子だっただろと言われる怜路……。
かわいい(キュン)
しかもホンマにお姉ちゃんっ子やん……(キュン)怜路の弟みはここからなんですねえ。

しっかしよくできたお姉ちゃんですよねえ、千夏ちゃん。ホントに没年高校生かと。
まあ、彼女が大人びた女の子だったからこそ、今の兄貴分(美郷)を甘やかす弟分になったわけで。
その上で「食生活に回す体力がないだけで、食いしん坊」って大概やぞ宮澤美郷。
神来島でもお弁当食べて、怜路にアジごちそうしてもらうだけのつもりやったんかい。
大概やぞ。
しかし神と対峙するとカッコいいのですよ。
宗教関連、ことに地域の信仰というものを憎んでやまないわたくしですが。
そのわたくしが憎むものは、誰かの「拠り所」であり。
そして美郷という男は、自分が守る者のためなら他者の「拠り所」を壊せる男!
善良ながら非情になれる!

そしておんてんで一括してあるテーマですが。
移住民を求めるんなら「俺様たちに合わせろ」って、あの態度をなんとかしろ!
お前らにとっての「拠り所」は、他者にとっては金と労力を搾取するだけの存在なんだよ! 半年で1万2000円もとった上に、盆だ施餓鬼だとむしり取りやがってマイ檀家寺!
と、憎みつつも。
八重香のように「拠り所」が本当に必要な地元住民もいて。
折り合いをつける物語なんですよね、本作は。
後、チラホラ銀魂ネタ入るのイイですね。
ご静聴ありがとうございました。

6/2現代成長ファンタジー小説「空六六六」更新しました!



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