感想「夢かうつつの雪魚堂 紙雪の舞う百鬼夜行」(世津路章)
体をを壊して退職した成海を招き入れたのは、百鬼夜行の雪魚堂――。
恐れ入りますが、我を忘れております。
「ちゃんと普通にがんばらなくちゃ」と思っている方全員に読んでほしい。
少なくとも全氷河期世代と全長女に読んでほしい。
ドスドス刺さる!
いや、もう主人公の成海だけでなくてですね。
作中で苦しみを抱えた全登場人物を、「あ、私だ」って思うんですよ。
ネタバレをなるべく防ぎますけど。この震えは防げない。
何がヤバいって、全員生きる苦痛の焔に焼かれてのたうち回ってる状態で。
「このぐらいみんな我慢してる」って我慢してるんですよ。
「たいしたことじゃない」「よくあること」
客観的に見ると、よくあることだがたいしたことなんですわ!
みんなちゃんとした人間でいようとしているだけで……。
ちゃんとした結果、自分が苦しんでいることから目を背けているわけですよ!
共感したらメンタル赤信号ですわ!
何がゾワッとしたってですね。
主人公成海が自分に言い聞かせる言葉。
「進め。進み続けろ」
ポジティブだと思いますよね。
「そうじゃないあたしは いらない」
普通いらないもんだと思って生きてましたよ、わたくしも!
でも、この一文を読んでゾワッと気づきました。
これ、赤信号だ……。
いや、わたくしが病みそうって話でなくて。
この「前進しない自分はいらない」って思考、普通と言っていいほど一般的じゃね?
っていう話でして。
なんでそう思うようになったかと聞かれても、「ずっとそうして生きてきただけですが……」としか答えられないですよ。
でも、この思考って病んでないけど崖っぷち状態なんだわー! と気づきましたし。
でも、自分では崖っぷちが自然な場所というか……。
危ないとか赤信号だと思ってなかったというか……。
最近、人生が好転してきたと思ってました……。
いや、好転はしてると思うんですよ、そこは変わらない。
問題は好転してきても、断崖絶壁5ミリ横にいた自覚がないことだと。
ここを自覚しとかないと、すぐに崖っぷちで赤信号状態に進むし。
むしろ「ちゃんとがんばっている」状態だと思い込んで赤信号ギラギラ状態をやる!
いや、ホント、人生で重要なターンでこの本に出会ったのが、まさに御縁。
もう1回申し上げますけれど、全氷河期世代と全長女に読んでいただきたい。
後、実写ドラマ化していただきたい。年末年始とかの岸辺露伴は動かない枠で!(お聞きですかNHK様! わたくしは御社の制作費を信じておりますよ!)
ご静聴ありがとうございました!
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