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あんときのデジカメ 皇帝ダリアの記憶と普遍的真理の実在に関する考察 with PanasonicLUMIX DMC-LZ2

(はじめに)皇帝ダリアの雄大な姿を間近にすると冬が到来したことを実感します。皇帝ダリアとの出会いは3年前の讃岐流罪の初年になりますが、思うに東京にいた時分にも見たのかも知れません。その記憶の有無に注目すると普遍的な真理の実在とは一体何かと考えさせられてしまいます。少し難しいことを考えながら、今回は、2005年発売のパナソニックのコンデジで冬の風物詩を撮影してみました。

冬の到来を告げる皇帝ダリア

 その季節の感じを表象するもの、あるいは代表する事物を「風物詩」と言いいます。もちろん、何を風物詩とするかについては千差万別でしょうが、僕にとって冬の訪れを告げる風物詩とは「皇帝ダリアということになるでしょうか。

 東京にいた時分、その容姿と遭遇することはなかったように記憶します。実際には眼にしていたかも知れませんが、それを認知していなかったからこそ遭遇することはなかったと記憶しているわけですから、東京にいた時分の僕にとっては、皇帝ダリアは実在していなかったといっても過言ではありません。「皇帝ダリア」という言葉すら知っていませんでしたから、そのことを裏付けているのではないかと考えています。

 たしかに、皇帝ダリアは、東京へいた時分のその日その時、僕の実在や認識とは関係なく実在していることは事実です。しかし、僕と皇帝ダリアの関係を省みるならば、その言葉を知っている、そしてその現象と対峙した経験がなければ、その当人にとっては何かが実在しているということにはなりえないのかも知れません

 ちょっとだけ大げさな話に置換するならば、万有引力の法則と呼ばれるものがあります。万有引力の法則とは「すべての物体は互いに引き合う。その力の大きさは引き合う物体の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例する」というものですが、その引力のおかげで僕たちは地表から吹き飛ばされることなく生活しております。

 僕が引力の仕組みを理解していようがしていまいが、科学的な法則としては実在していることには間違いありません。しかし、それを僕が理解した瞬間、その前とその後では僕にとっての意味は全く異なるものになってしまいます

人間を越えた客観性の「人間の精神作用に帰属する」側面

 しかし、何かを理解すること、あるいは認識することに、そんな大げさな意義はないし、人間とは無関係に事物や法則は無関係に実在するとはアインシュタインを引証するまでもない科学的な常識かも知れません。しかし、そのアインシュタインと論争した詩聖・タゴールの言葉には少しだけ耳を傾けてみたいものでもあります。

 形をもった客体としての机が一つの現象であるということを科学は証明しました。そしてそれゆえにこそ、人間の意識が机として知覚するのものは、もしその意識そのものが無であるとするならば存在しないことになります。同時に、机の究極的な物理的実在(リアリティー)が、それぞれ分離して回転する無数の電力の中心の集合にすぎないという事実もまた、つまるところ人間の精神作用に帰属するのだということが認めなければなりません。
(出典)タゴール、アインシュタイン(森本達雄訳)「人間の宗教」、タゴール(森本達雄訳)『人間の宗教』第三文明社レグルス文庫、1996年、235頁。

 「そこで、真理がわたしたちの意識とかかわりなく存在するかどうかという問題」についてアインシュタインは「わたしたちは真理を、人間を越えた客観性に属するものと考えています」と主張します。もちろんそれを基礎づけることにうまく成功しているとは言い難いのですが、万有引力の法則は、人間の意識やその実在とは無関係に実在すると言われれば、それは日常感覚としても理解できます

 しかし、僕の皇帝ダリアの記憶を振り返るならば、それを知る以前には、見ていたとしても見ていた記憶が実在しないことになりますので、それを見落としていたという現象と理解するとしても、それだけではない人間と事物や法則とのかかわり合いというものも見えてしまうのが事実ではないかと考えてしまいます。

 その意味ではアインシュタインの理解を否定することができないけれども。それだけではない余分、すなわちタゴールに従えば「人間の精神作用に帰属する」側面もあるのではないかと考えたりします。


使いやすい手ブレ補正の効いた6倍ズームの入門機

 さて、僕にとっての冬の到来を告げる皇帝ダリアの花の撮影が、風物詩という意味以上の客観的実在であるとか普遍的真理の実在の問題へと脱線しましたが、あんときのデジカメに戻ります。今回、冬の風物詩の撮影に使用したのは、2005年にパナソニックが発売した単3乾電池使用のコンパクトデジタルカメラ LUMIX DMC-LZ2 になります。エントリークラスのデジカメでありながら高倍率の6倍ズームレンズ搭載で初めて光学式手ブレ補正機能が搭載されたとのことでよく売れたそうです。

 ゴロッとしたボディがなんともエントリークラスという雰囲気ですが、筐体に余裕がある分、高倍率ズームや手ブレ補正を搭載でき、夜景や室内、あるいは望遠撮影でも使い勝手やよくなっているという印象です。ここに単なる入門機とは一線を画したコンデジという使用感をいだきました。

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は500万画素1/2.5型CCDで、画像処理エンジン「ヴィーナスエンジンプラス」採用と相まって、豊かな色彩再現力をもっていて、なかなかやるなという印象です。レンズは、LUMIX DC VARIO LENS で35mmフィルムカメラ換算で37~222mmの6倍ズームです。広角端があまり広角ではないもののf値が2.8~4.5と全域で明るめのため、手ブレ補正と相まって、望遠側でもブレが少なく、ここは本機のアドバンテージなります。

 もうひとつは自社ブランドのレンズになっている点が興味深く感じられました。パナソニックのデジカメはライカブランドを「ウリ」にしてきたのですが、パナソニックブランドで売り出したということには、……そして実際にはそんなに大きな違いはありませんが……家電メーカーとしてのパナソニックが、カメラメーカーとしても認知されてきたことに自信を持ったことを裏付けているのではなかろうか……そんなことを考えさせられてしまいました。

 ということで以下作例です。拙い写真ですが、ご笑覧下さればと思います。この写真をupしているころには、皇帝ダリアももう終わりでしょうか。本格的な冬の到来ですね。

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ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は2560×1920(FINE)で保存。撮影は12月5日~15日。撮影場所は香川県善通寺市、丸亀市。



氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。