あんときのデジカメ 讃岐の秋空に舞う花札 with Canon PowerShot A530
(はじめに)子どものころ、トランプや花札、あるいは麻雀といったカードゲームに興じたものですが、大人になるにつれ親しまなくなりました。個人差はあるとは思います。そんな郷愁を思い出しながら空を見上げると、讃岐の秋空には「花札」が舞っていました。その様子をキヤノンの万能デジカメでスケッチしてみました。
かるた、トランプ、麻雀、花札の思い出
学生の頃といっても、高校時代ぐらいまでのことですが、いわゆる伝統的なカードゲーム、すなわち、トランプやかるたといったものをよく親しんだ記憶があります。
お約束の「あるある」という話題になりますが、修学旅行などで、教師の眼をうかがいながら、友人たちと大富豪に興じたような思い出です。
しかし、大学に入学して以降、ほとんど興じなくなった遊びで、子どもを授かってから、にわかに再開したのが、つい数年前のことでしょうか。
戦後民主主義の花咲く後期20世紀の大学生というものは、「徹夜麻雀」が伝統的な遊戯であったのですが、僕が大学に入学した頃には、ほとんどそれも下火で、僕自身も高校生の頃に、いちばん、麻雀をしたのではないかと思います。
麻雀といえば賭博のイメージが強くありますが、やはりそのほかのカードゲームと同じく……そして麻雀はカードゲームではありませんが……気の知れた仲間との心理戦がその醍醐味で、勉強以上に頭を使ったものです。
とは言っても、トランプにしても麻雀にしても僕はものすごく弱いのですけどね。
さて、伝統的な日本のカードゲームといえば「花札」です。
僕が大学生のころもそうでしたが、その「嗜み」のある人間は少なかったと記憶しております。花札にも常に賭博のイメージがつきまといますが、僕が手ほどきをうけたのは、大正生まれの祖父母になります。「花合せ」ぐらいしかできませんが、お盆や正月に親族と戯れたのが懐かしい思い出です。
僕にとっての「花札」とはお盆とお正月の季節行事というイメージで、そのダーティーな評判とは最もかけ離れたところにあるように思えます。
山のなかで仕事をしていると驚くことの連続
さて、5月に転職したのですが、現在は、人・モノ・情報の流通を活性化することで地域再生していこうという職場で、ひとことでいえば、山のなかで仕事をしています。
僕はもともと、自分が選択できない、ある意味では先験的な濃密な人間関係やムラ社会的な閉塞空間が息苦しく、それこそが人間を人間らしくさせることを阻む「前近代」の宿痾と捉え、田舎を逃げ出しましたが、色々と考えることがあって田舎へ戻りました。
詳しくは別稿に譲らざるをえませんが、ひとつは、ひとことでムラ社会の宿痾を糾弾することには、さすがに躊躇するようにも感じています。要するに宿痾をみて「お前ら、馬鹿家か?」と言っても何も解決しませんから。しかし、その宿痾は歴然として存在しているのも事実であり、そこにどのように内在的に関わっていくのかというのを課題にしています。ちょっとだけ「風通し」のよい社会へと変革させていくためには何が必要なのかを、いま、試行錯誤しています。
まあ、ざっくりとまとまてしまえば(汗、田舎が大嫌いなデタッチメントの人間が、あえて濃密なアタッチメントな社会に批判的に関わることで、地域再生に新しい一面を築くことができるのではないかと考え、まあ、挑戦の連続です。
我ながらよくやっています。
しかし、山のなかで仕事をしていると驚くことの連続です。
ローカルニュースで恐縮ですが、香川県って、意外とイノシシ関係の事故やトラブルの多いところなんですね。襲われた云云のニュースに事欠くことがありません。
しかし、自分自身が、そういう生き物と身近な世界で仕事することになるとはおもってもみませんでしたが、帰宅途中のロードバイクで、イノシシと衝突しようとなったときには、さすがに失神しそうになりました。
乾電池駆動の普及機のフリをしていながら実は本格派のコンパクトデジタル
イノシシの表象とはいったい何でしょうか。
ひとによって異なりますが、そしてそれでいいと思うのですが、僕にとっては、やはり花札の「萩に猪」という図案が第一に想起されます。萩の花は古来、「臥す猪の床(ふすゐのとこ)」と言い、猪の寝床を意味したそうです。萩という優美な花と荒々しいイノシシとの対照美の美しい札のイメージとでも言えばいいでしょうか。
先に言及したとおり、最近、イノシシに遭遇して泣きそうになりましたが、そのとき、そらを見上げると……そして荻の季節ではありませんが……花札の図案のような空を見ることができました。
ということで、今回は、2006年発売のキヤノンのPowerShot A530で、讃岐の空に浮かぶ「花札」をスケッチしてみました。本機は、単三電池対応の光学4倍ズーム機になるのですが、実にパワーショットというキヤノンの商品ラインは不思議なものです。コンパクトデジタルカメラのIXYはスタイリッシュ系コンデジですが、パワーショットは、本格コンデジとちょっと普及機よりのものがあり、本機は後者に属するものです。しかし、ちゃっかりと「マニュアル撮影」とかもできるので、そこが不思議なカメラです。
では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は、1/2.5型有効500万画素CCDで、レンズは、35mmフィルムカメラ換算で35mm-140mmの4倍ズームカメラになります。望遠端がf5.5とかなり暗いのですが、広角端は、f2.6と明るく、この性格をよく理解して撮影すると、ブレを気にすることなく使えるなあという使用感です。作画はキャノンらしい正確な描写です。
1ヶ月ほど使用して200枚程度撮影しましたが、驚いたのは電池のモチの良さです。ニッケル水素充電池の好評撮影数は、360枚と示されていますが、200枚の撮影ではまだまだ元気で、10年以上前の「あんときのデジカメ」では、このスタミナには驚くばかりです。多彩な撮影モードとこの持続力は、今なお、本機が魅力あるカメラであることを物語っているようにも思えます。
さて以下、作例です。前年の気温と比べれば明らかに冷え込みが強い讃岐の11月です。深まりゆく秋というよりも冬の訪れを感じてしまいました。
ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は2,592×1,944で保存。撮影は11月23日。撮影場所は香川県三豊市。
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氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。