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一日一頁:佐々木実『今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて』講談社現代新書。

一気に読み終えた。

常にshadowに立ち続けただけに宇沢は、市場を主とし人間を従うとの考え方自体が誤りと解く。経済学そのものをひっくり返さなけれえばならない。

時間がなくても1日1頁でも読みないことには進まない。

 社会的共通資本は、一見すると、市場領域を補完する存在に見える。しかし、人類の長い歩みをふりかえれば、社会的共通資本を核とする希少資源の社会的配分のメカニズムとそが主役だった。生産手段の私有制を前提とする分権的な市場経済制度はむしろ、「第二義的(secondary)な制度」と位置づけるべきなのではないか。そう宇沢は「経済解析展開備』(岩波書店)で語っている。宇沢の資本主義観がよくあらわれている解説だ。
 教育や医療など、社会的共通資本の主要な構成要素を見ればわかるとおり、社会的共通資本は市民の基本的権利ときわめて密接に関係している。いや、順序は逆だ。市民の基本的権利を守るために、宇沢は社会的共通資本という概念を創造した。そして、宇沢の考察によれば、社会的共通資本を完全に市場原理にゆだねてしまえば、社会は必然的に不安定化する。市場は本質的に不均衡、不安定への傾きをもつからだ。

佐々木実『今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて』講談社現代新書、2022年、98頁。

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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。