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一日一頁:高橋源一郎『ぼくらの民主主義なんだぜ』朝日新聞出版、2015年。

総選挙が終わったので、あえて紐解いている。

初出から10年近く経過したが、「ぼくたちは、ひとりで、何種類もの『民主主義』に参加している」のだろうか。そのことが問われている。

時間がなくても1日1頁でも読みないことには進まない。

 「民主主義」とは、たくさんの、異なった意見や感覚や習慣を持った人たちが、一つの場所で一緒にやっていくためのシステムのことだ。だから、ものすごく小さな場所(たったふたりだけ)から、ものすごく大きな場所(世界全体)まで、それぞれに違った「民主主義」があるはずだ。ぼくたちはひとりで生きていくことはできない。でも、他人と生きることはとても難しい。だから、「民主主義」はいつも困難で、いつも危険と隣り合わせなものだ。誰でも使える、誰にでもわかる、「民主主義」なんてものは存在しない。
 ぼくたちは、ぼくたちの「民主主義」を自分で作らなきゃならない。
 他人と一緒にやってゆくこと……それは、ぜんぜん特殊なことじゃないし、政治家たちの占有物でもない。いろんな場所でいろんな人たちがいろんなやり方で、「民主主義」を実現している。

高橋源一郎『ぼくらの民主主義なんだぜ』朝日新聞出版、2015年、254頁。

氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。