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難しいタスクの割り振りは簡単。簡単なタスクの割り振りが難しい。

不平等の進化的起源という本を読んでいて、発見した「難しいタスクの割り振りは簡単だが、簡単なタスクの割り振りが難しい」についてです。

この本はジェンダー概念や人種差別が最初は、誰が何をするのか決めるのに便利というところから始まって、誰も非合理的な行動はしていないのに不平等が結果的に広がっていくメカニズムを進化ゲーム理論というものを用いて描いている本です。

この本の最初に「協調問題」が出てきて、これは面白い!と思ったのは、「どちらでも良いこと、誰がやっても同じになること、誰でもできること」ほど決め手がない、というようなところです。(だからジェンダー概念とか人種概念とかで解決しようとする。)

例えば、道のどちら側を車が走るべきか、とかは、どちらでも良いことで、そのこと自体に重要な意味を見出している人はあまりいない。だけど、これを決めないと、大混乱になる。
家事のうち「ゴミを捨てる」「料理をする」「買い物をする」というタスクには、それほどの難しさがないので、誰でもできるがゆえに誰ができるのかを決められない難しさがあります。
そして世の中、大体のことは、「意味がない区別」をつけるしかない事柄ばかりなので、これの優先順位とか、誰がやるべきかはすごく難しい。(このあたりまでが本に書いてあったこと。)

(ここから下が、本から連想したこと)

どちらでも良い事こそがブルーオーシャン!

世の中の大半は、人間が進化で獲得した注意能力の中では特に興味を持つことができない出来事で占められていて、これは努力ではどうにもならない。進化が解決するかもしれないけど時間がかかりすぎる。
そうすると、人間に興味を持ってもらえることは、原理的には増えようがなくて、右側の「興味ないけど仕方なく整理されたこと」。しか増えていく可能性がない。(だから「どちらでも良いこと」はブルーオーシャンであり続ける。)

人間は昔からこの「どちらでも良いこと」の決め手のなさに困っていたので、区別をつけることを習慣化してきたけど、その反対にある、決め手がある仕事の割り振りが簡単である、ということも真理なのではないでしょうか。

難しい仕事をする人は簡単に見出される、簡単なタスクの方がむずい

「難しいタスクをこなす人は希少性が高く、なかなか見つけられない」。という感じがあります。でも、難しい仕事は、誰ができるかできないかが明確なので、割り振りは実は超簡単でもあります。もし、できる人がいなければ、そもそもできないのでやらない判断も超高速で可能なのです。

ところが、簡単なタスクには、やれる人は見つけられるけれど、「誰にやってもらうのかが難しい」という重大な欠点があります。
「誰がやっても同じ結果になるタスク」は「誰がやっても褒めてもらいにくいタスク」でもあります。
そうすると、この簡単なタスクは、「お願いするのが悪い感じがするタスク」になってしまうのです。

そうすると、譲り合いが強い職場で、「ちょっと悪いんですけど」とお願いが言えない感じに忙しくなると、放置されているタスクは依頼されず溜まっていき、めっちゃ簡単なタスクが積み上がり仕事が進まない職場が完成してしまうかもしれません。

左側は変えようがない、右側を移動できることしかできない

まとめ 難しいタスクの割り振りは簡単、簡単なタスクの割り振りが難しい

難しいタスクの割り振りは簡単で、簡単なタスクの割り振りが難しい。
どちらが解決しやすいかというと、前図の通り「簡単なタスクの割り振りを簡単にする」が解決しやすいです。

なぜなら、難しい仕事をする人が少ないのに、これを急に増やすことは難しいからです。
ただし、何かのタグ付けで仕事を割り振りすることから不平等への道は近いらしいので、その工夫は別で必要になりそうです。
よくある言い方の1つで、「仕事を割り振るルールや仕組みは、自由な発想を阻害する」というものがありますが、もし割り振りのルールや仕組みがなければ、そもそも簡単なタスクに溺れて何もできなくなるのではと個人的には思います。

なので、仕事を割り振るルールや仕組みを敷いて、かつその副作用を乗り越える方法が必要だ、ということなんだと思っています。


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