内部統制をわかりやすく伝えるプレゼン資料をつくってみた&配布します!
前回の記事では、日本の内部統制報告制度が中小上場企業では運用がつらいかもしれないことを書きました。
運用がつらい中小上場企業の内部統制担当者は先進国中でも日本だけの特殊な状況の中で働いているので、ここはお互いに助け合っていくと良いのでは。この逆境を活かしたら、どんどん役立つものをつくれるのでは!と思ったので、まず社内向けにつくった内部統制をわかりやすく伝えるプレゼン資料を配布します。無料です!
資料の解説
資料だけだと、実際には説明しづらいかもしれないので、解説を書きます。
*前提として、販売プロセスの内部統制にフォーカスした説明になっています。不正発生可能性よりは、現場で身近に感じやすい事故防止に力点が置かれています。
いらすとやさんから、画像をいただいております。ありがとうございます。
まず、今の業務システムが使いにくいと感じているであろう現場の意見が今後も欲しいなと思ったので、それを予告しました。(実際に勉強会をやるかどうかはわかりません。)またアンケートでは、10段階評価で、今日聞いた話がどれくらい聞いたことある内容だったかを聞きました。
アンケートの意図は、初めて聞いた人が多いなら単純に説明不足、もし聞いたことがあるけれども何かの理由で取り組みが進んでいないのであればそれを知る、と問題の分解をしたかったからです。また、この説明がわかりやすかったですか?と聞くと、暗黙のうちに「うまく説明できていれば問題解決する」という構図をお互いに想定してしまい、それでは内部統制の進化につながらないのではと考えました。
仕組という名前で説明をしています。「内部統制」という言葉では説明していません。言葉でつまずいて欲しくないという気分があります。
ここで強調しているのは「善意」の人の集団なのに問題が発生する、ことです。みんな懸命に任務に忠実に働いているのに、なぜか変なことが起きる、それを止めるのが人類が積み重ねてきた「仕組」というものなんです。
まず、人というのは目の前の困っている人を助けたいですよね。
でも、急いでいたから書類は後回しにしてしまった、みたいなことはありませんか? 結果、助けたかったクライアントも困ってしまう。
よく考えてみるとこういう目の前の問題の背後には、ずっと手前で誰かがリスクを取らないで済ませている、という真因が潜んでいたりするかもしれません。
ここでは、発注書を事前に取らないと起きるヒヤリとする事例が社内であれば、書きましょう。生々しいほど心に刺さると思います。
そうしたヒヤリとした事例は、なぜ起きるのでしょうか。きっとどこかで無理を飲み込むような流れがあったのだと思われます。ポジティブな姿勢は基本的に良いものですが、このままではせっかくのポジティブが不幸を呼んでしまいます。
そこで「仕組み」登場です。「待ってください!」と言う人が、忖度の連鎖を断ち切ります。なかなか1人格ではできないことを人格を分けて仕組み化しているのです。
「仕組み」は、約束事を明確にし、関係する全ての人を守ることにつながります。事故がないからと言って、これをおろそかにしていると、たくさんの人を巻き込むトラブルになってしまいます。
自分の会社の売上計上基準を説明するコーナーです。
ここでは、最近の大きめの事件を取り上げていただくのが良いと思います。大きい会社でも、起きることなんだ!
また、中小の上場企業でも「開示すべき重要な不備」の原因として、取引に関して必要な証憑の入手が表面的・形式的になっている事例は多いですよ、という説明です。こうした意識が問題に繋がってしまうよ!と警告をするパートです。
基本のおさらいです。3点セットと呼ばれているものの確認をします。
どうして3点セットが必要なのかを説明します。例えば大きい会社で不正が起きたケースではどうだったのかを説明します。この仕組みは会社の大小にかかわらず、適用されている仕組です。
「稲盛和夫の実学」からの要約です。京セラでもこのような課題があって、ダブルチェックを徹底することによって解決したのです。「人を守るシステム・人に悪い気持ちが起きないシステム」をつくる。これが「仕組」をつくることです。
もし会社の中にその他にも仕組みがあれば追記します。また、内部統制上の課題や組織の歴史が生み出した歪み的なものがもしあれば、それも書きます。
みんなが頑張って仕事をしているのに、問題が起きる。そんなのはいやですよね!「仕組」で問題を防ごうとするのは人類が積み上げてきた貴重な知見です。ぜひ、活かして楽しく仕事をしてきましょう。
まとめ
前回の記事で書いたように、日本の内部統制報告制度が中小上場企業では運用がつらいかもしれない。
そこで、まずは「内部統制ってなに?」と言うベーシックなWhyを解説する資料をつくることで、足りないリソースを底上げできないかと考えました。
実際にこの資料を説明して感じたのは、意外と正面から内部統制を説明されるシーンが少ないのかもしれないことと、みんなこの仕組の意義についてはすでに知っている、ということでした。
ここでの気づきは、組織には時に「情報として知らない」から問題になるのではなくて、知っているけれども「共通理解に達するまでこの話題をお互いにしていない」から問題になる、ことがあるのではということでした。
この気づきをもとに、組織内での情報の展開の方法について、考えはじめています。このことについては、また試してみたことを書いていきたいと思っています!
みなさんの気づきもぜひ教えてください!新しい記事はtwitterにも投稿します!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?