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なぜ定着しないルールがあるのかと人間の意識の構造

内部統制を整備すると必ず運用の際に「ルール通りに行動しない人がいる」に対して、「一生懸命啓蒙活動をする」という対策がセットで出現する気がします。これに対して、例えばよりチェックを厳しくしても、ルール通りにしない人はゼロにならないような気がします。

また、これは現場だけではなく経営側でも起きそうな感じがします。例えば、最近のATMでのカード取り込みのように、現場レベルでは何度か起きていたことが、経営陣にうまく届かずに事故につながってしまうなども、「リスクの芽をつみとろう」という様々なルールや仕組みがその意図通りに定着していなかったのかもしれません。この問題に対しても、経営側により厳しい対応を求めても、やはり同型の問題や不祥事は発生してしまう気がします。

本当に啓蒙や賞罰の問題なのか

ある程度の啓蒙や考え方の共有は大事だとは思うのですが、対策が啓蒙に次ぐ啓蒙で良いのだろうか・・・ということと、「報告ない場合は評価が下がります」みたいに賞罰運用に走ることで解決できるのだろうか、という2点が気になります。

意識の構造を考えるとルールの啓蒙は伝わらない

これは、「動物意識の誕生(上)」p.164に載っていた図です。

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これだけ見るとわかりにくいのですが面白いなと思ったのはこの図の右側だけがループしているところです。(図の言葉は少し書き換えてしまっています。)

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右側のループでは、人間は外から入ってくる情報を使ってカテゴリーを作り、そのカテゴリーを用いて情報そのものを区別することができます。

ところが、左側の体の内側から湧き上がってくる感覚についてはループがありません。ただ、「ルールとしてこうしてくださいね」と啓蒙するだけでは、その人の報酬系に影響を与えないので、行動は変わりようがない。

強引に報酬系を起動させる

評価を用いて、報酬系を起動させればある程度真ん中の紐付けは進みます。悪い評価を用いてその人の内部的な「不快感」を喚起する手法です。

これはかなり広く用いられていると思うのですが、問題としては「n対n」でルールと賞罰を大量に紐付けるか、地位のある人の命令に対応させるみたいな感じになってしまい、判断力の向上にはつながらないところがちょっともったいない感じがする。

個人の価値観を起動させる

そこで、「場面を整えて個人の価値観を起動させる」方法があるのではないかと思いました。

誰でもある程度の自己概念を持っているため、受け取ったエピソードが自分から見てどうなのか、については判断ができます。最近子供が保育園で言われているのか怒られると「もし自分がそう言うこと言われたら、どんな気持ちがするの?」と逆に問い返してくるのですが、そう言う感じです。

具体的には以下の部分を起動しようとする。

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どんな手順でやるのかはこれからなのですが、今、想定しているのは、アンケートなどで集めたエピソードを、その会社が大切にしている価値観軸で「判断する」という状況を設定することです。

エピソードは、そもそも自分を時間の中において没入させるコンテンツなので、報酬系がその時間の中で発動がしやすいと考えられます。

例えば「ATMがカードを飲み込んでしまい、7時間待っているお客さんがいました。私は担当者として●●をしました。」といったエピソードを聞いた時に、自分がその周辺のスタッフとして何ができたのか、そのお客さんの心の中まで含めてリアルに想像を巡らすことをやるということです。

こんな妄想ができる楽しい本なので、「動物意識の誕生」おすすめですよ!と言う話でした。

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