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脊損障害自立評価(SCIM)について詳しく解説!
皆さんこんにちは!
リハビリナレッジです!
今回のテーマは【脊損障害自立評価(SCIM)について詳しく解説!】していきます。
SCIM(Spinal Cord Independence Measure)とは
脊髄損傷(SCI)は、身体機能に大きな影響を与え、日常生活における自立度が著しく低下します。そのため、リハビリテーションにおいて、患者がどれほど自立して生活できるかを客観的に評価することが非常に重要です。その指標の一つがSCIM(Spinal Cord Independence Measure)です。SCIMは脊髄損傷患者の機能的な自立度を評価するために開発された評価ツールで、日常生活動作(ADL)の自立度を測るために使用されます。
SCIMの目的
SCIMは、脊髄損傷者のリハビリ進行状況を評価し、彼らがどの程度日常生活を自立して行えるかを測定することを目的としています。この評価は、リハビリチームが患者の改善状況を把握し、今後のリハビリ計画を適切に立てるために重要です。また、SCIMは介護者の負担を減らし、患者のQOL(生活の質)を向上させるための基準としても機能します。
SCIMの構成
SCIMは、以下の3つの主要な領域に分けられ、合計19の項目で構成されています。これらの項目は、脊髄損傷患者のADLを幅広く評価し、身体機能の回復度を数値化するものです。
1. 自己管理
2. 呼吸と括約筋の管理
3. 移動能力(室内外)
1. 自己管理(Self-care)
この領域では、患者が日常生活の基本的な活動をどれだけ自立して行えるかを評価します。評価項目は6つあり、それぞれ0~20点で評価されます。
・食事(0~3点)
患者が食事をどれだけ自立して行えるかを評価します。完全に自立している場合は3点、介助が必要な場合は点数が低くなります。
・顔や歯、髪の手入れ(0~2点)
洗顔や歯磨き、髪の手入れを自分で行えるかどうかを評価します。
・入浴(上半身・下半身)(0~5点)
上半身と下半身それぞれで、どれくらいの介助が必要かを細かく評価します。
・更衣(上半身・下半身)(0~8点)
服を着替える際にどれだけ介助が必要かを上半身と下半身に分けて評価します。完全に自立している場合は8点が与えられますが、全介助の場合は0点です。
・排便/排尿の後処理(0~2点)
排泄後の清潔保持や処理がどれだけ自立して行えるかを評価します。
2. 呼吸と括約筋管理(Respiration and sphincter management)
この領域では、患者の呼吸機能や排泄管理に関する自立度を評価します。評価項目は4つあり、それぞれ0~40点で評価されます。
・呼吸管理(0~8点)
患者が呼吸補助を必要とするかどうかを評価します。自発呼吸ができ、補助が不要であれば8点です。
・排尿管理(0~7点)
排尿の管理が自立して行えるかどうかを評価します。カテーテルなどの補助が必要であれば点数が低くなります。
・排便管理(0~8点)
排便の管理が自立して行えるかを評価します。自立して管理できれば8点、補助が必要であれば低くなります。
・排泄(トイレ利用)(0~5点)
トイレの利用に関する自立度を評価します。どの程度の介助が必要か、補助具が必要かなどに基づいて評価します。
3. 移動能力(室内外の移動)(Mobility)
この領域では、患者の移動に関する能力を評価します。評価項目は9つあり、0~40点で評価されます。評価は室内での移動と、外出時の移動能力に分かれます。
・ベッド・車椅子への移乗(0~15点)
ベッドや車椅子、トイレなどへ自分で移乗できるかどうかを評価します。移乗が自立して行える場合は高得点、介助が必要な場合は点数が低くなります。
・屋内の移動(車椅子または歩行器の使用)**(0~7点)
屋内での移動が自立して行えるかどうかを評価します。歩行器や車椅子の使用が必要な場合、介助がどれほど必要かによって点数が決まります。
・屋外の移動(車椅子または歩行器の使用)**(0~12点)
屋外での移動がどれほど自立して行えるかを評価します。室内と異なり、地面の不整や坂道などがあるため、難易度が高くなります。
・階段の昇降(0~8点)
階段を昇り降りする能力を評価します。自立して階段を昇降できれば8点が与えられますが、全介助の場合は0点です。
SCIMの評価方法
SCIMは、患者がどれだけ自立して生活できるかを、総合的かつ具体的に評価するためのツールです。合計スコアは最大100点で、点数が高いほど自立度が高いことを示します。
評価手順
1. 自己管理から始めて、食事や更衣、入浴といった日常の動作を1つずつ確認し、介助がどれくらい必要かを評価します。
2. 呼吸と括約筋管理では、呼吸補助の必要性や排尿・排便の管理が自立して行えるかを確認します。尿カテーテルやオストメイトなどの補助具の使用も考慮します。
3. 移動能力では、ベッドや車椅子への移乗、室内外の移動能力をチェックし、介助の度合いに応じて点数をつけます。
SCIMの特徴と有用性
SCIMは、脊髄損傷患者のADLに特化した評価ツールとして、他の評価スケールよりも具体的であり、日常生活に密着した評価を行える点が強みです。また、単に機能的な評価を行うだけでなく、患者の生活の質(QOL)の向上に直結する部分を重視しているため、リハビリテーションの目標設定や介護者のサポートにも大いに役立ちます。
SCIM評価用紙
評価用紙☟
https://www.keio-rehab.jp/wp-content/uploads/2017/05/236bfcbdbb3315e775c80b49ef97b932.xlsx
患者記載用紙☟
https://www.keio-rehab.jp/wp-content/uploads/2017/05/4c690bdab862ce7dc4602de0d51c401b.pdf
点数☟
https://www.keio-rehab.jp/wp-content/uploads/2017/05/6b0dc28f20cb882274256fa2a6dcee2d.pdf
引用☟
Takeuchi S, Uemura O, Unai K, Liu M., Adaptation and validation of the Japanese version of the Spinal Cord Independence Measure (SCIM III) self-report. Spinal Cord 2021. https://doi.org/10.1038/s41393-021-00633-5 https://rdcu.be/cjJeC
まとめ
脊髄損傷患者のリハビリにおいて、SCIMは自立度の詳細な評価を行い、個別のリハビリ計画を立てる上で非常に有用なツールです。SCIMを用いることで、患者の生活機能を細かく把握し、効果的な介入が可能となります。リハビリテーションを通じて、患者が少しでも自立した生活を送れるよう、SCIMを活用した適切な評価が求められます。
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