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「元気を取り戻す鍵」WRAPで自分らしい毎日を作る方法とは?
みなさんこんにちは!
リハビリナレッジです。
今回は、リハビリナレッジメンバーに入ってくれた作業療法士の田門さんがアウトプットしてくれました。内容は【「元気を取り戻す鍵」WRAPで自分らしい毎日を作る方法とは?】です。
WRAP(元気回復行動プラン)とは
Wellness Recovery Action Plan
元気でいるために,そして気分がすぐれないときに元気になるために,また自分で責任を持って生活の主導権を握り,みずから望むような人生を送るために,あなた自身でデザインするプランがWRAPです。⁽¹⁾メアリー・エレン・コープランド:メンタルヘルスのリカバリーとWRAP(日本語版ホームページ)より
①自分の好きなことを想像してみる。
どんなことでも構わないので「自分はこうです!」といえるような,自分が本当に好きだなあと「実感」していることを挙げましょう。
〈私の場合〉
・音楽を聴くこと(スピッツ,あいみょん,バンプ,ミセス,など)
・フルートを吹くこと
・プールで泳ぐ
・紅茶やハーブティーを飲むこと
・おしゃべりすること
・メイクすること
・おしゃれすること
・読書
・ペットのうさぎと戯れること
WRAPではこれらを【元気に役立つ道具】と呼んでいます。
②好きなことをしているときの「感じ」
その好きなことをしているときの自分のこころ,気持ち,感情,体の感じを思い浮かべてみましょう。
〈私の場合〉
・音楽を聴くこと(スピッツ,あいみょん,バンプ,ミセス,など)
→楽しい気持ち,ノリノリ,癒される,歌詞の深さにうっとりする,アーティストたちの顔を見てこちらも楽しい気持ちになる。
・フルートを吹くこと
→きれいな音色に癒される,自分の上達に嬉しくなる,高い音でフーっと吹くと気持ちが晴れやかになる。
・プールで泳ぐこと
→ブクブクが楽しい,水の中で感じる音が好き,全身運動ですっきりする。
・紅茶やハーブティーを飲むこと
→ほっとする,喉が温かくなる感覚が好き
・おしゃべりすること
→嫌なことが頭から離れてくれる
・メイクすること
→やっている最中はめんどくさいけど完成形を見ると嬉しくなる
・おしゃれすること
→かわいくなった気がする
・読書
→賢くなっている気がする,登場人物の心情と重ね合わせたり展開にドキドキしたりする。
・ペットのうさぎと戯れること
→とにかくかわいいなあという感じ,もふもふしていて気持ちいい。
③【元気に役立つ道具箱】とリカバリーの【鍵】
【元気に役立つ道具】を使っているときの自分の状態や自分の好きなこと,得意なこと,自分の方法を使えているときの自分の状態を想像しましょう。そこに【リカバリーのキーコンセプト】があります。WRAPではこのとき湧いてくるエネルギーを使っていきます。
自分の【元気に役立つ道具箱】を使っているとき,その人には「リカバリー」が起きています。そしてそのカギは①希望(hope),②自分で責任を持つこと(personal responsibility),③学ぶこと(education),④自分をアドボケート(権利擁護)すること(self-advocacy),⑤サポート(support) です。
WRAPとは,これらをどのようなときにでも使えるようにしていくために開発された,アクションプランです。
では,どんなタイミングがあるのでしょうか?
1)6つのタイミング
①Daily Maintenance Plan(日常生活管理プラン)
②Trigger(引き金)
③Early Warning Sign(注意サイン)
④When Things Are Breaking Down(調子が悪くなってきているとき)
⑤Crisis Plan(クライシスプラン)
⑥Post Crisis Plan(クライシスプランを脱したとき)
これら6つの観点で「いま」を観ていきます。すると自分の【元気に役立つ道具箱】が適切なタイミングで使えるようになっていくイメージです。
細かく見ていきましょう。
① Daily Maintenance Plan(日常生活管理プラン)
「いい感じの自分」を観ていきます。いい感じの自分は「なりたい自分」「本来の自分」「素の自分」などです。その自分をメンテナンスしていくためのプランがここです。いい感じの自分でいるために,「毎日するべき道具」と「時々するとよい道具」がここに入ってきます。
〈私の場合〉
→メイクする…なりたい自分になれる
音楽を聴く…落ち着いてありのままでいられる
フルートを吹く…なりたい自分になれる
② Trigger(引き金)
ここでは「苦手な状況や出来事」を観ていきます。生きていれば誰でも経験するような苦手な事柄を指します。
(例)突然の大雨
人に嫌なことを言われる
乗った電車が満員電車だった
自分の力ではコントロールしようがない,「外部」で起きている事柄ということがポイントです。そしてこの「引き金」となる出来事があったときに使える道具をここには入れておきます。
〈私の場合〉
→人に話す…笑い話として昇華できるとよい
音楽を聴く…冷静になれる
③ Early Warning Sign(注意サイン)
ここでは,調子を崩すかもしれない「かすかな変化の兆し」を観ていきます。ポイントは,引き金が「外部」で起きる事柄だったのに対し,注意サインは自分の「内部」で起きるもの,ということです。
(例)なぜかイライラする
早口になる
階段で躓くようになる
気が付くと歯を食いしばっている
微かな変化であるので自分で気づくのが難しいかもしれません。人から言われて気づくこともあると思います。そんなときに使える自分自身の「道具」を用意しておきましょう。
〈私の場合〉
→寝る…ストレスから一時的に離れられる
ストレッチをする…全身リラックスすることが大事
④ When Things Are Breaking Down(調子が悪くなってきているとき)
「ギリギリだ」というときを観ます。あたかも「崖っぷちに立たされているようなとき」です。ここには,「いざ」と言うときの道具を入れておきます。いざというときの道具ですから,それは普段使わないような道具かもしれません。
注意サインの時の道具にはさまざまな選択肢があるかもしれませんが,ここでは選択の余地を与えずに道具をサインに対応させておきましょう。そしてそのサインがあったときは「これを使いなさい」と自分で自分に指示をしておきます。
〈私の場合〉
→仲の良い友人のグループラインに連絡する
病院に電話する
⑤ Crisis Plan(クライシスプラン)
ここでもぎりぎりのときを観ています。④との明確な違いはプランを使う人が自分ではなくて,「サポーター」だということです。つまりこのプランは自分で使うのではなく,他人に使ってもらうプランなのです。自分の道具箱を自分で使えないときもあります。そういった「ギリギリのときに,他人に自分の道具箱を使ってもらう」ためのプラン。サポーターに渡しておくプランです。
〈私の場合〉
→病院に連れて行ってもらう
話を聞いてもらう
⑥ Post Crisis Plan(クライシスプランを脱したとき)
クライシスプランを使ってもらった後を観ます。「病み上がり」のときを想像するといいかもしれません。誰かにサポートしてもらった後の状態・状況です。このとき,クライシスを抜けた後の不安定さがあるかもしれないし,クライシス前とは状況が変化しているかもしれません。そのときに,例えば「自分をどう労わっていくか」「助けてくれた人にどうお礼をしていくか」などを考えます。クライシスのあとすぐに日常生活管理プランに戻るのではなく,この時期を考えることがポイントです。この時期を丁寧に扱うことで,クライシスは単なる「危機」ではなく「学びと成長の機会」に変わるだろうし,クライシスのときのかかわりがサポーターとの絆を深める機会ともなるでしょう。次に進むための「移行期」のプランです。
〈私の場合〉
・家事手伝いをする
・YouTubeを観る。
以上のように【元気に役立つ道具箱】を6つに振り分けて使いこなしていきましょう。
それぞれの道具に適切な使用のタイミングがあり,適切な「場所」や「人」もあります。
違うと思ったら修正することも大切です。
WRAPは「概念」ではなく,「論理」でもなく,「日常」です。WRAPは自分で作って,使ってこその「自分の取扱説明書」。WRAPは日常生活で使ってなんぼの仕組みです。多くの人の努力のもとに開発された,自分で作って,自分で使う,リカバリーのためのシステムです。
皆さんもよければぜひ試してみてください。
参考文献
増川ねてる 藤田茂治 編著,「WRAPを始める!-精神科看護師とのWRAP入門【WRAP(元気回復行動プラン)編】」,精神看護出版
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