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【CES2021】 今後注目すべきスタートアップ

はじめまして、Plug and Play Japan Smart Cities Team InternのYuです。

みなさんはCESをご存知でしょうか?
CESは、「見れば未来の預言者の一員になれる」と言われているイベントです。CTA(Consumer Technology Association)が主催している50年以上続く世界最大のテクノロジー展示会で、これまでにも様々なトレンドを予測してきました。

今年は1月11日(月) - 1月14日(木)の5日間、オンラインにて開催されました。

CES2021で発表された内容をご紹介することで、今後注目が予想されるスタートアップなど、最新のスタートアップ動向をお届けできればと思い、今回記事にまとめてみました!

□これまでのCES

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まずは、開催初期のCESについて振り返っていきましょう。1967年から1995年まではテレビ、オーディオ機器、パソコンといったハードウェアが取り上げられ、その流行を作り出しました。

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1995年から2006年まではテレビが薄型化され、録画機能やゲーム機能の搭載など、これまでに発明されたハードウェア、テレビなどを進化させたものに注目が集まりました。

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2007年、Apple社がiPhoneを発表したことにより、世界が大きく変わりました。世界はハードウェアとネットウェアが融合される時代となりました。

iPhoneの発表により、次のトレンドが「タブレット」だと予測した企業は次々とタブレットをリリースするようになりました。そして、2012年にAndroid OSを搭載したタブレットがデビューしたことにより、タブレット競争時代は終幕を迎えました。2013年からはタブレットが多機能化し、携帯電話の他にも身につけられる「ウェアラブル」なものがトレンドになりました。そして、2015年にドローンが紹介されたことにより、トレンドが「ドローン」へとシフトチェンジしました。

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Source(画像上4枚): timeline of technology milestones

ドローンのトレンドは2016年まで続きますが、2017年にAmazon社が「Hey Alexa!」で有名なAlexaを発表したことにより音声認識、AIなどがトレンドになってきます。同時に自動運転技術が搭載されたIoT自動車も話題となってきます。ここでIoTとAIの普及により、生活様式の進化が加速していきます。

2018年まで音声認識IoT自動車のトレンドが続き、2019年に5G対応スマートフォンが紹介されたことにより2020年も引き続き5Gがトレンドに。そして、2020年に空飛ぶ車の開発が本格化していきます。

□今年のCES

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Source: 5G Tech Trends Media Briefing CES 2021

今年のCESは6つのKey Trendsを発表しました。このうちDigital HealthDigital Transformationは今年度より注目されたトレンドとなります。
今回は、この2つに着目していきます。

CES 2021 Key Trends
1. Smart Cities
2. Vehicle Technology
3. Robotics Drone
4. 5G Connectivity
5. Digital Health
6. Digital Transformation

□Digital Health & Digital Transformation

Digital Health市場は、Covid-19の影響を受け、大きく成長しました。

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Source: Global Market Insights,Digital Health Market size

Global Market Insightによると、2019年に1,060億$推定だった市場規模は2026年までに6,394億$になるだろうと予測されています。これは今後、年平均成長率が28.5%、約800億$の成長を示しています。

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Source: 5G Tech Trends Media Briefing CES 2021

急速に成長しているDigital Health市場の中でもコネクテッドヘルスセクターは特に成長しているとされています。コネクテッドヘルス市場は一年間で3億6500万から6億3200万$約2倍に成長しており、2020年以降も止まることなく伸びることが見込まれます。
2024年には、さらに2倍の12億4600万$規模の市場に成長するだろうとCTAは予測しています。

(おまけ)
先程ご紹介したコネクテッドヘルス市場の中から私が注目した2つのプロダクトを紹介します。

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Source: 
LG Wearable Air Purifier(画像左): CES 2021公式ページ
Bioheart(画像右): Biotricity Inc.公式ページ
LGの『LG Wearable Air Purifier(画像左)』は今の私たちの生活に欠かせないマスクに空気洗浄機が搭載された製品です。快適な呼吸の実現だけでなく、メガネが曇ることも防いでくれます。
Biotricityの『Bioheart(画像右)』はベルト型のプロダクトで、ユーザーの心臓のパフォーマンスに関する重要な情報を提供してくれます。Covid-19にかかると重症化しやすいとされる心血管疾患と診断された人やそのリスク
がある人のために設計されたものです。

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Digital Transformation市場は、2020年にCovid-19の影響を受けて急速なスピードで成長しました。

「2年かかるデジタルトランスフォーメーションが2ヶ月で進んでいる」とマイクロソフトのCEOサティア・ナデラが語った通り、ロックダウン中の米国やヨーロッパで自宅でできるフィットネス教育のニーズが急激に高まったためです。

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Source: Coursera-Impact-Report-2020

Covid-19の影響で、12億人以上の子供や学生がオフラインでの授業を受けられなくなったことで、教育形態は劇的に変化しオンライン学習が主流となってきました。大手教育プラットフォーム会社Courseraによると、2019年度と比較して248%以上、利用者が増えたそうです。

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Source: CES 2021 Innovation Award Honorees

フィットネス市場もCovid-19以前と比較して、売上が約30%〜35%増加しました。

ちなみに今回CESで紹介されたプロダクトの中でも、個人的にはYogiFi Series-1はアプリの操作性も直感的で利用しやすく、それぞれのレベルにあったプログラムが用意されているので、スポーツ初心者でも始めやすく、おすすめです!

□今年の注目すべきスタートアップ

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Source: Business Insider Japan - フレンチテックに続け! 日本ベンチャー連合「J-Startup」は成功したか【CES2019】

スタートアップの説明に入る前に、みなさんはエウレカパークをご存知でしょうか?主催者であるCTAが設定した厳しい審査基準に達した企業のみが出典できる展示会場として知られており、初めて披露される新製品や
新技術が展示されているため、近年ではメイン会場よりも注目度が高いとも言われています。出展社数も増えていて、エウレカパークが創設された2012年の出展社数94社に対して、2020年は1200社以上の企業が出展したとされています。

そんなエウレカパークの盛り上がりに日本もしっかりとついてきています。まず、各国の出展が減っているCES2021の中でも日本企業の出展社数は2020年の28社に対し、2021年は53社2倍の出展社数となりました。

日本からは、昨年度選出のなかったベスト・オブ・イノベーションアワードに、今年度はVanguard Industries株式会社の『moflin』が選出されました。

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Source: Vanguard Industries公式ページ

moflinはまるで本物のいきもののような、もふもふした愛らしさを持つ全く新しいコンセプトのAIペット型ロボットです。見た目の愛らしさからも世界で高く評価されています。

また、ニューアーク発のプロダクトVisionCheck 2はリモートワークの影響で目が悪くなった人にオススメのプロダクトです。

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Source: EyeQue Corporation公式ページ

眼科に行かずともスマートフォン一台と付属のメガネと検査器具だけで視力検査からメガネ購入まで全てのフローが完結できます。それだけでなく、2年の検査サブスク付きで65$とかなりお財布に優しいプロダクトということも個人的な注目ポイントです。

□今年のCESを経て、トレンド予測

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最後に今年のCESを経て、どのようなイノベーショントレンドが起こるのか?私の見解は「サスティナブル分野でのオープンイノベーションが増える」ということです。サスティナビリティがトレンドとなる根拠としては以下の3つです。

1. イノベーション・アワードの受賞数
2. 大手企業のリブランディング
3. アメリカ新政権の影響

1. イノベーション・アワードの受賞数

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Source: CES 2021公式ページ

毎年CESに出展する企業・製品の中から、特に優れたものに贈られる「イノベーション・アワード」「Sustainability, Eco-Design & Smart Energy」カテゴリー内における受賞作品数が、ここ3年で8社から22社と3倍近く伸びています。このことから、「Sustainability, Eco-Design & Smart Energy」が、28あるCESのカテゴリーの中で最も注目されているカテゴリーのひとつであることが伺えます。

CES2021でイノベーション・アワードを受賞したサスティナブルなプロダクトを提供する2社をご紹介します。

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Source:
GoSun Flow(画像左): GoSun公式ページ
Bioenzymatic Fuel Cells(画像右): CES 2021公式ページ
GoSunの『GoSun Flow(画像左)』は、太陽電池で
水に含まれている病原体の99%を
ろ過し、綺麗な水を提供してくれます。こちら、水環境ソリューションに取り組んでいる企業と提携・協業できるのではないでしょうか?
BeFC®の『Bioenzymatic Fuel Cells(画像右)』は、環境に
優しいペーパータイプの生体酵素燃料電池です。
こちら、有害なボタン電池の代わりになると注目されています。ボタン電池を使用している企業と提携・協業の可能性がありそうです。

2. 大手企業のリブランディング

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Source: CNN Business - GM redesigns its logo after more than 50 years

大手企業のGeneral Motors (ゼネラルモーターズ)が、環境を配慮した電気自動車の浸透を加速させる意思表示で、ロゴをすべて大文字の「GM」ロゴからゼロエミッションできれいな空を連想させるソフトな青いグラデーションの小文字「gm」に変更しました。会社の顔であるロゴを変更したことにより、サスティナビリティに対する本気度を感じ取ることができます。

3. アメリカ新政権の影響

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Source: THE WALL STREET JOURNAL - What Is the Paris Climate Agreement and Why Is Biden Rejoining Now?

アメリカではバイデン政権が誕生しました。新政権では公約通り、
環境分野への積極的な投資やパリ協定への復帰が実現しました。
このことから、今後さらに「サスティナブル × イノベーション」が注目され、この流れは世界へと波及していくと考えられます。
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Source: 帝国データバンク- 温室効果ガス排出抑制に対する企業の意識調査

日本も同様に、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを政府が目標として掲げています。帝国データバンクによると、日本で温室効果ガス排出抑制に取り組んでいる企業は約83%ですが、そのうち達成が困難 or できないと考えている企業は約61%です。その解決策として、温室効果ガス削減に前向きな大企業と有効な削減策を持っているスタートアップがつながる取り組み、オープンイノベーションが不可欠なものであると考えられます。

以上の理由から、今後サスティナビリティ分野でのオープンイノベーションの活発化が予測されます。

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ここまで長らく、お付き合いありがとうございました。
皆様も是非、今後のトレンドの予測や新技術、新製品をいち早く知るためにCESへ注目してみてください。

そして、今回CESで紹介されたような最新技術やアイデア持ち合わせたスタートアップを支援していくためにも、Plug and Play Japanはイノベーションプラットフォームとして「大手企業とスタートアップ」「海外と日本」をつなぎ、日本のオープンイノベーションを活性化していきたいと思います!

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