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書籍紹介(思考)|問題発見力を鍛える

本来はUXデザインの勉強の過程を遡って、これまで読んだ本を紹介する予定でしたが、たまたま本日読み終えた細谷功さんの著書『問題発見力を鍛える』を先に紹介します。
書店でWeb Designing 2024年10月号を読んでいた際に「問いの立て方」というテーマに触れ、その中でこの本が紹介されていました。ちょうど本屋で見つけたので、Web Designingと一緒に購入し、読み終えました。

細谷功さんは、以前にフェルミ推定について書かれた『地頭力を鍛える』の著者でもあり、今回も非常に興味深い内容でした。本書では、変化が激しいVUCA時代において「問いの立て方」がいかに重要であるかを解説しています。

VUCA時代の「問い」

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)を表す言葉で、変化が激しく、先が読めない時代を指します。このような時代には、単純に「答え」を探すのではなく、「問い」そのものを見直す必要があると著者は言います。

例えば、以前であれば、上司から「電気自動車の未来について調査してくれ」と言われた場合、その問いに答えを出すだけで良かったかもしれません。しかし、現在のような変化が激しい時代では、「そもそも、なぜ電気自動車について調査してくれと上司は依頼してきたのか?」といった問いの背景に遡り、問いを再考することが求められます。問いを深めることで、より本質的な解決策にたどり着けるのです。

問い直しの具体例

本書を読んで思い出したのが、先日にあるセミナーで聞いた「1200円ののり弁当」の事例です。のり弁といえば、一般的には低価格帯の商品とされています。しかし、そのセミナーの講師がふとその常識を疑い、高価格の1200円でのり弁当を販売したところ、すぐに完売した、ということでした。この事例は、まさに常識を疑い、問い直すことで成功した好例です。

トヨタ生産方式の「Why」思考

トヨタ生産方式で有名な「Whyを5回繰り返す」方法も、本書に関連するポイントです。トラブルが発生した際、表面的な問題だけでなく、その原因を探るために「Why?」を繰り返して真因を見つけ出す。この思考法は、過去に遡るプロセスです。

一方で、著者が提案するのは、さらに問いを俯瞰する形で視点を上にもっていく「メタ思考」です。何か問いがあった際に、その問いの背後にある問題や背景を見つめ直すことで、新たな視点から物事を捉えることができるという考え方です。これにより、より広い視野で解決策を見出すことができるのです。

UXデザインと問いの力

UXデザインでは、プロダクトのビジョンやユーザーニーズを明確にする過程で、問いを深める力が不可欠です。例えば、ユーザーが抱える課題が何かを調査する際、「なぜその課題が重要なのか?」という問いを立て直すことで、より根本的なニーズに応えるデザインが可能になります。

問題発見力を鍛えることで、プロダクトやサービスの価値をより高めることができると感じました。また、この本を読んで、UXデザインのプロセスにも「問い直し」を取り入れる重要性を再確認しました。

まとめ

今回紹介をした『問題発見力を鍛える』は、問いの立て方を見直し、VUCA時代における思考の柔軟性を養うための一冊です。UXデザインやプロダクト開発に携わる方にとって、この本は新しい視点を提供してくれると思います。
Web Designing 2024年10月号では、もう1冊紹介されている書籍があったので十日、その書籍についてもご紹介したいと思います。


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