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デザインシステムを作る前に考えるべき「らしさ」とは?—ブランディングの学び直し

デザインシステムを実践しようと進める中で、思わぬ壁にぶつかりました。カラーやロゴなど、デザイン要素を決める際に必ず出てくるのが「ブランディング」の話。そのたびに、自分たちの会社のブランディングをどう捉えるべきか、考えざるを得なくなりました。

そこで、まずはブランディングについて学び直そうと、いくつかの書籍を手に取りました。その中でも、最初の一歩として参考にしたのが、「現場のプロがわかりやすく教えるUI/UXデザイナー養成講座」で紹介されていた「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」という書籍です。

学んでいく中で気づいたのは、ブランディングとは単なる色やロゴの話ではなく、「自分たちの『らしさ』」を探り、それを形にするプロセスだということでした。これまで中小企業診断士の学習で「ブランド戦略」という言葉には触れてきましたが、それはどこか表面的なもので、本質を掘り下げる作業ではありませんでした。

デザインシステムを深めるためには、この「らしさ」の探求が欠かせない
─ そう気づいたところから、ブランディングの学びが始まりました。


1.ブランドとは

アメリカン・マーケティング協会(American Marketing Association:AMA)が定義する以下のものが一般的、とまず説明されます。

A brand is a “Name, term, design, symbol, or any other feature that identifies one seller's goods or services as distinct from those of other sellers.”

ブランドとは、商品やサービスを競合他社から明確に区別し識別させるための、名称、言葉、デザイン、シンボル、その他の特徴である。

つまりブランドには、ロゴや名称、色、書体、写真、エクスペリエンス、シンボル、ストーリー、ビジョン、タグラインなど。
「強み」や「らしさ」を、消費者に伝わるような特徴として、多角的にブランドを表現し、消費者が「このブランドはこういうブランドなのだな」とその世界観を直感的に感じることができるようにするのが、ブランディング。

2.ブランディングのプロセス

とても具体的なプロセスが、順を追ってわかりやすく説明してくれています。そのプロセスとは以下のようなステップです。

STEP 01 ヒアリング・リサーチ・分析
STEP 02 ブランドDNA
STEP 03 ビジュアルアイデンティティ
STEP 04 ブランドコラテラルの構築
STEP 05 インナーブランディング
STEP 06 ブランドマネジメント

この中で、まずは経営者などトップの思いを確認するヒアリング、リサーチ・分析。そこから作成するブランドDNAについて、ここでは特に丁寧に書いてくれています。

これを読んでいると、経営者がミッション・ビジョン・バリューを考えるのであれば、本当はブランドDNAまで考えてしまえるとよいのだろうと感じました。

3.ブランドDNAの詳細

ブランドの本質を概念化する。そこではブランドDNAをわかりやすく概念化する項目として、以下の14の項目が挙げられています。

①ターゲット・オーディエンス
②プロダクト・ベネフィット
③ブランド属性とブランド価値
④ブランド・パーソナリティ
⑤ブランド・ビジョン
⑥ブランド・プロポジション
⑦市場での位置づけ
⑧ブランド・プロミス
⑨ブランド構造
⑩ブランド・エクスペリエンス
⑪トーン・オブ・ボイス
⑫ブランド名称
⑬ブランド・ストーリー
⑭タグライン

4.実際に考えてみて

ブランドDNAを考える前に、

STEP 01 ヒアリング・リサーチ・分析

を考えます。

そこでEXERCISEがあるのですが、

・なぜ、ブランディングをすることにしましたか?
・今回のブランディングで解決したい問題点は何ですか?
・・・

とまさに自問自答する機会が与えられます。そしてこれがしっかりと整理できていないとブランドDNAも考えられないのです。

するとやがては、ミッション・ビジョン・バリューにまでさかのぼることになります。

自分たちが提供した価値とは?
自分は何をしたいのか?
・・・
という思考がつねに頭を巡ります。

自問自答をする時間が本当に増えた、そんな機会も与えてくれた書籍であり、そしてブランディングとは何かを教えてくれた書籍だと思い、感謝の気持ちが大きいです。

教科書的な本なども読んでみたので、そこはまた後日ご紹介できればと思います。


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