フィクション
回る猫に落ちる鍵
カチャン
雪が残った木々に囲まれた道を進む
下り坂のウインターブルー
木の実を踏む感触が案外心地いい
死んだ蜘蛛が引っ付いている
返却日の紙がすり抜けてひらひらと飛んで
電車とホームのぎりぎりで止まった
いちいちドアを閉める音で心臓が痛む
声帯の振動って涙のスイッチなんだね
いつも通り花を買って飾るよ
ちなみにホットコーヒーは飲む?
そんな愛は嘘よ
大丈夫よ私は
別にいつものことだから大丈夫
あの子は泣いてたけど
「もう泣き止んだ」だって
抱きしめてあげて
やっぱりフィクションが書けないんだな君って
フィクションだと思って書いた結末
今になって運命だったなんて
もう遅いよ
2023.12.10 星期天 くもり
(♫ a子「racy」)