見出し画像

(少しずつ編集予定)15年間の初恋

これは、私が15歳から30歳になるまで淡く好きだった男の子との思い出。もちろん、他の男の子と恋をしたこともあるし、彼の存在をすっかり忘れた時期なんてたくさんある。でも、一つの恋が終わると、必ずどうしているかなと思い出す存在が彼だった。

彼と出会ったのは、15歳。高校一年生の春。隣のクラスで、選択授業の美術が一緒だった。とぼけたキャラクターで、クシャッとした笑顔で空気をなごますのが得意だった。

ある日、私が絵の具を片付けている間に私の席に誰かが水をこぼしてしまった。
こぼした人は気づいていなかったようで、それを片付けるのを手伝ってもらったのが始まり、だった気がする。

彼の事が自然と気になるようになっていたが、彼は女友達も多く、そのほとんどが彼に告白し、玉砕した。彼は不思議な魅力があったのだ。そんなこともあって私は彼と友達でいるほかなかった。

学年が上がると彼と同じクラスになれた。嬉しかったし、彼と話す機会も増えた。
でもそれも束の間。彼は2学期からアメリカに留学するのだそうだ。そして、帰国後は1学年下のクラスに編入し、1年遅れて高校を卒業する。

彼が渡米するときに、みんなで壮行会を開いた。全員が激励の手紙を書いた。もちろん私も書いた。なんて書いたかは忘れたけど、告白はしていない。ただ、彼への応援の気持ちと人としての尊敬の念を書いたと思う。

その頃、私は海外ドラマにハマっていて、流行り始めたfacebookをいち早く始めていた。留学した彼からは時々メッセージが届いた。誕生日にはおめでとうのメッセージが届いた。(それはfacebookが下火になるまで数年続いた。)
なぜか、距離が離れてからの方が、ずっと仲良くなった気がする。

帰国後も交流が続いたし、私の受験勉強中は彼が私を励ましてくれた。高校卒業時、ウイちゃんは”高校で一番信頼できる女友達”だと言ってくれた。きっと、彼に恋愛感情はない。臆病だった私は即座にそう思い込むと決めた。

高校卒業後、クラスのみんなと彼で遊ぶ予定を立てていた。

2011年3月11日、彼の誕生日にそれは起きた。東日本大震災。みんなの予定は流れた。彼は、俺たちだけでも会う?と聞いてくれたけど、私は断った。私はただの”高校で一番信頼できる女友達”なのに、ドギマギしてしまう自分を想像して怖くなったから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?